なぜ痛い!?採血・注射が痛くない方法7選を徹底解説(医師監修)
「注射は痛い」という事実は、麻酔をして感覚がわからなくなっている時を除き、避けようがないものです。
「痛みを感じる」という事自体は、身体を守るために必要な感覚なので、無くす事はできません。
この記事では、注射が痛い理由や痛みの種類、痛くなくする方法・対策を解説します。
注射、採血の痛みの種類
注射や採血の痛さには、実はいくつかの種類があります。
ここでは、痛さの種類について解説します。
自分がどの痛さが苦手かを知る事で、注射や採血への心構えを持つ事ができます。
針をさす痛み
皮膚の表面には、痛みを感じる「痛点」と呼ばれる感覚点があります。
感覚点とは、痛覚、触覚(圧覚)、温覚、冷覚などをキャッチする皮膚上の点です。
痛さ、何かが触った感覚、暖かい、冷たいなどを感じるための点です。
感覚点のうちの、痛点を針が刺激するので、人は痛みを感じます。
細い針を使用する事で、痛点を避ける事ができ、痛さを軽減する可能性が高くなります。
薬液が注入される痛み
針の痛みではなく、薬液が注入される感覚が苦手、痛いと感じる方もいらっしゃいます。
これは、薬液と血液の浸透圧の違いによって起こります。
濃度の異なる液がある場合、濃度を均一にしようとして、薄い液が濃い液へと移動していきます。その際の圧力が「浸透圧」になります。
血液と薬液の濃度差が小さいほど、からだに対して低刺激となり、痛さは軽減される事になります。
薬液のpH(酸性かアルカリ性か)による痛み
液体が酸性かアルカリ性かを表すpH(ペーハー)。酸性でもアルカリ性でもない中間の状態は「中性」と表され、水のpH7.0が基準となります。
ヒトの血液は、通常pH7.4ほどで、中性と呼べます。
注射で注入された薬液と血液の間でのpH差が大きいと、違和感を感じ、痛みの原因となる事があります。
注射・採血の種類・違い
注射は、打つ方法や部位(場所)によって、様々な種類があります。
ここでは、よく耳にする注射の種類を解説します。
採血
様々な身体の状態を確認するため、血液を採取するのが「採血」になります。
- 静脈採血
- 動脈採血
の2つに分けられます。
血液を吸い取る感覚、施術時間の長さなどから、痛さを感じる方も多い傾向にあります。
皮下注射
- インフルエンザワクチン
- 日本脳炎ワクチン
など、日本国内で行われる予防接種で、多く行われている方法になります。
皮膚と筋肉の間にある「皮下組織」に、薬液を注入する方法です。
薬液の効果が出るまでに時間がかかるものの、効果の継続性があるという特徴があります。
採血・注射は痛くなくできる!痛み止めを使用した採血・注射攻略法
筋肉注射
- 新型コロナウイルスワクチン
- B型肝炎ウイルス
- ヒトパピローマウイルス(HPV)
などのワクチン、予防接種で使われている注射方法です。
皮膚の表面から最も深く、筋肉に薬液を注入します。
薬液の効果の出が速い、刺激の強い薬液でも注入できる等の特徴があります。
皮内注射
- アトピー性皮膚炎
- 気管支喘息
といったアレルギー検査でよく見られる方法です。
皮膚の表皮(皮膚の外側の皮)と、その下の真皮の間に薬液を注入します。
薬液の効果が出るまでに時間がかかるタイプの注射です。
治療用というよりは、薬液への反応を確認する目的で行われる事が多い方法です。
静脈内注射
- 救急時の緊急処置
- 血管内にしか投与できない薬液
などの場合に、用いられる注射方法です。
血管内に直接、薬液を注入する事で、薬液が素早く全身に行き渡ります。
ブロック注射
- 腰、肩、手足、膝、首などの痛み
- 帯状疱疹や顔面神経麻痺
など、痛みのある部位付近に、麻酔薬を注入する方法です。
痛さを抑える事のみが目的ではなく、興奮している神経を落ち着かせ、筋肉や血管の緊張をほぐし、血行の改善を目指します。
注射・採血の痛くないコツ
痛みの感じ方や、疼痛ケアによる働きの現れは、人により異なるものですが、注射をする際はどうしても様々な痛みが伴います。
ここでは、少しでも注射による痛みを軽減するための方法を解説します。
注射の痛さをケアする意義
人間は、生まれた時から「痛い」と感じる感覚を持っています。
「痛い」と感じる事は、外部からの刺激や危険を感知するために必要なものです。
痛みを継続して受けていると、身体にストレスがかかり、心身への影響が大きくなります。
年齢に関わらず、痛みのケアというものは必要とされています。
きちんとした痛み対策は、
- 心理面での不安感、恐怖感を軽減する
- 身体への不要なストレスを軽減し、術後などの回復が順調になる
など、様々な側面から有用とされています。
注射においても、痛さへの対策や心構えで痛さを感じにくくする・軽減する事は、心身にとってとても重要です。
ここでは、少しでも注射による痛みを軽減するための方法を解説します。
痛くなくする方法7選
注射の痛さを軽減ために、様々な方法が取られています。
例として
- 呼吸を整え副交感神経を活性化させる
- 注射する部位以外の部位を刺激する(DNIC)
- 注射部位を冷やす
- 麻酔テープを使う
- 細い針を使ってもらう
- 気をそらす
- 注射、採血を受ける目的を再度確認する
などがあります。
詳しく解説した記事もございます。ぜひ参考にされてください。
「痛くない注射の打ち方の工夫・コツを解説」
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-itakunai
注射・採血のよくある質問
ここでは、注射や採血でよく見受けられる質問を解説します。
- 採血・注射は痛くなくできる!痛み止めを使用した採血
- 自己注射を痛くないようにするコツ4つ
- 痛み止めの注射を打つ部位は様々
- 痛点が少ない場所は上腕や太ももなど
- なぜ注射が怖いか、理由は心理的な事も
- インスリン注射は針が短く細いので痛みが軽減される
- 皮下注射の際に皮膚をつまむのは、皮下組織を固定するため
自己注射を痛くないようにするコツ4つ
自己注射を行う環境や、注射する薬液などにもよるので、以下は一例として挙げます。
ご自身が使用する薬液を常温にして大丈夫なのかどうか等は、必ず主治医と相談ください。
- 注射液を常温にしてから注射する
- 注射する部位を冷やす、もしくは温めて注射する
- 注射部位をつまんでから注射する
- 深呼吸をし、息を吐くタイミングで針をさす
など
痛み止めの注射を打つ部位は様々
- 痛みのある部位の神経近辺に麻酔薬を注射するブロック注射
- 筋肉に緊張やこわばりのある背中や肩、腰などに注射するトリガーポイント注射
など、痛む部位や症状によって、痛み止めの注射を打つ部位は変わってきます。
主治医と相談し、自身に適した痛み止め注射を模索しましょう。
痛点が少ない場所は上腕や太ももなど
痛みを感じる「痛点」。痛点が少ない部位は
- 前腕の外側
- 前腕の内側
- 手の甲
- 上腕
- 大腿部(ふともも)
などが知られています。
なぜ注射が怖いか、理由は心理的な事も
痛みや血が苦手、前回の注射の痛さや失敗などの記憶があって怖い、先端恐怖症で注射の針が嫌、など、注射が怖い理由は実に様々です。
そして、痛いというだけでなく、痛さの記憶や予測といった心理的なものも加わり、益々注射への恐怖心が強くなる事も。
極度に恐怖心をはらう事が出来ない場合は「注射恐怖症」の場合もあるので、こころの対策をとっていく場合もあります。
注射が怖い・苦手な理由と対処法の記事もございます。ぜひ参考にされてください。
「採血や注射が苦手・怖い理由と対処法を解説|大人も子どもも」
インスリン注射は針が短く細いので痛みが軽減される
糖尿病などの治療のために、自己注射を行う必要がある場合があります。
自分で注射をするとなると、うまく打てるかどうか、痛くはないか等、心配な事も少なくありません。
ですが、インスリン注射で使用される注射針は、採血や通常の予防接種などで使われる針と比べると、
- 長さが5分の1から9分の1ほど(短い)
- 太さが3分の1ほど
となっています。
痛みを感じる痛点を刺激しにくいため、注射での痛さは軽減されています。
また、インスリン注射を打つ部位は、上腕、お腹、ふともも等の、比較的痛点が少ない場所なので、通常の注射より、針を刺す痛みは軽いと言われています。
打つ必要がある注射を、痛さや怖さで打たずにいると、健康状態の低下にも繋がるので、打ち方の疑問や困り事は遠慮せず主治医や看護師に相談しましょう。
皮下注射の際に皮膚をつまむのは、皮下組織を固定するため
皮下注射をする際、上腕や腹部、大腿部など、どこに注射を打つ場合でも、皮膚をつまんで行われます。
これには、皮膚の下にある「皮下組織」を固定するという理由があります。
「皮下組織」は、脂肪が多いため、動きやすいという場所になります。つまむ事によって「皮下組織」を固定し、注射針が不必要な所まで行かないようにするという狙いがあります。
痛みを我慢する必要はなくなっている
- 会社の健康診断で採血があるけど、数日前から想像するだけで動悸がする
- インフルエンザの予防接種を子供に受けさせたいけど、注射のたびに大暴れする子どもがかわいそう
- 家族のためにワクチンは打ちたいけど、大人になっても注射は怖い
採血や注射について悩むのは、子供だけではありません。
実は、成人の10人に1人が「注射恐怖症」という注射処置に対して不安や恐怖を感じる病に悩んでいます。
子供の場合は、3人に1人が注射に恐怖を感じています。
注射恐怖症は、
- コントロールの出来ない強い不安、恐怖感
- 胸が締め付けられるような不快感
- 動悸、発汗、吐き気
などの症状があり、中には注射針を見るだけで倒れてしまう方もいらっしゃいます。
ワクチン接種による注射や、健康診断での採血は、私たちの健康を守る上で欠かせないものです。
嫌がって注射を避け続けていると、自分が病気になってしまったり、あるいは大切な家族に病気をうつしてしまうリスクがあります。
「痛み」を大きく緩和させる「医療用麻酔シール」
多くの注射恐怖症の原因は、注射の時に感じる「痛み」が原因です。
「痛みを我慢するのはおかしい。」という、医療従事者の声から開発されたのが、「エムラパッチ」です。
「エムラパッチ」は医療用麻酔シールで、皮膚に麻酔をかけることで針の痛みを大幅に軽減し、不安感を解消します。
テープタイプ、クリームタイプ、パッチタイプの3種類があり、テープタイプなら0歳の赤ちゃんから利用できます。
麻酔で皮膚の神経を麻痺させることで、痛み信号が一時的に伝達されなくなり、痛みを感じなくなります。
2017年に開発された、効果が高く、かつリスクの少ない医薬品です。
日本ではまだ馴染みが薄いですが、海外では10年以上前から、子供の痛みのケアのために麻酔クリームが使用されていました。
海外の子供たちの間では『マジック・クリーム』という愛称で親しまれ、注射などの処置の前に塗布する習慣があります。
ここ最近、日本でも「痛みの緩和は重要」という意識が周知され、痛みを軽減する処置やお薬に保険が適用できるようになってきました。
これにより、子供たちが不安を感じることなく、治療を受けられる環境が整いつつあります。
医師の処方が必要だが、全て無料オンラインで完結できる
処方には医師の診断が必要ですが、わざわざ病院に行く必要はなく、オンラインから無料で診断ができます。
注文〜到着までをスマホだけで全て完結することができ、忙しい人でもスピーディに入手できます。
注射の痛みを軽減する方法は、他にもサプリや医薬部外品の湿布などがあります。
しかし、サプリや湿布では効き目が少なく、痛みを感じてしまうことが多いです。
一方で、医師の処方が必要は麻酔シールには、ハッキリとした痛みの軽減が期待できます。
購入には費用がかかりますが、1枚だけテスト用の麻酔シールがもらうことができ、もしも効果が得られなかった場合は全額返金してくれる保障もあります。
痛みをなくして、生活の質(QOL)向上を
痛みは、我慢すれば耐えることができます。
しかし、果たして痛みは、本当に我慢するべきものなのでしょうか?
注射や採血する日が近づいてくるだけで、胸が苦しくなって、何日も気分が沈む人もいます。
数秒の痛みが怖くて、注射の日まで怯えて過ごす人もいます。
また、嫌がるお子さんを無理やり病院に引っ張っていくことに、つらさを感じる親も多いと思います。
ですが、注射や採血の「血管や筋肉に注射針を刺す」仕組みは、これからも変わらず続きます。
最新医療をうまく使うことで、痛みのない注射を受け、憂鬱な時間から解放されましょう。
関連記事
この記事の他にも、注射に関しての記事がございます。ぜひ参考にされてください。
採血・注射は痛くなくできる!痛み止めを使用した採血・注射攻略法
https://mutsusaiketsu.jp/
「血管迷走神経反射になりやすい人へ。6つの対処法、治療法、解決法を医師が解説」
https://mame-clinic.jp/column/kekkanmeisoushinkeihansha
「採血や注射が苦手・怖い理由と対処法を解説|大人も子どもも」
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-saiketsu-kowai
「痛くない注射の打ち方の工夫・コツを解説」
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-itakunai
「注射恐怖症とは|症状と対処法を解説」
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-kyoufushou
「エムラパッチ、麻酔シールはどこで売っている?購入方法、市販場所(医師監修)」
https://mame-clinic.jp/column/masui-tape-emulapatch
「子どもの注射|嫌がる理由と対策、予防接種、スケジュール」
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-kodomo-iyagaru-schedule
参考文献
厚生労働省「筋肉注射とはどのような注射でしょうか。痛いのでしょうか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0022.html