パニック障害とは
「過呼吸とかもパニック障害の1つなの?」
「病院で診てもらえば完治するのかな...」
パニック障害という名前は聞いたことがあるものの、実際にどんな病気なのか、イメージが湧かない方は多いですよね。
また、なかには急な発作や息苦しさ・不安感などに襲われ「この症状...前に聞いたことがある、パニック障害なのかも...」と半信半疑な方もいるはず。
そこで、この記事ではパニック障害がどんな病気なのかを、主な症状も交えわかりやすく解説します。パニック障害が発症する原因や治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
パニック障害とは?
パニック障害とは、強い不安感や恐怖に襲われることで、身体に悪影響を及ぼす精神疾患です。具体的には、パニック障害が発症することで、次のような症状に襲われます。
- 心臓が急にドキドキする
- 息苦しさを感じる
- めまいや吐き気を催す
発症するタイミングを予測しづらく、上記のような症状に日常生活で突然襲われるのは、パニック障害の大きな特徴といえます。
150人に1人が生涯で抱える病
世界精神保健調査(日本における精神障害の有病率とメンタルヘルスサービスの利用)から、日本においてパニック障害は「150人に1人が生涯で抱える病」だと明らかにされています。「150人に1人が経験している」とイメージすると、身近な病気だと感じる方もいるのではないでしょうか。
ただ、諸外国に比べ、日本でのパニック障害といった精神疾患の有病率は低い傾向にあります。特に、米国や欧州諸国では精神疾患全般の有病率が日本よりも高く、パニック障害も例外ではありません。
出典:日本における精神障害の有病率とメンタルヘルスサービスの利用
なお、諸外国と日本における有病率の違いには、診断基準の違いや精神疾患に対する偏見といった文化的な背景が影響しています。
とはいえ、近年は日本でも精神疾患を有する総患者数が右肩上がりに増えています。
出典:厚生労働省「第13回地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」
「150人に1人がパニック障害を発症する」という事実は、決して自身に関係のない話とはいえないのです。
発症は30~40代の女性に多い
パニック障害は、特に30~40代の女性の多くが発症する傾向が強いです。事実、パニック障害に悩む7万人以上が参加するオンラインコミュニティ「nicot+(にこっとプラス)」の会員は30?40代の女性が多くを占めています。
30~40代の女性は、仕事や家庭・育児などで多忙を極める方が多く、過度なストレスを抱えがちです。またストレスや生活リズムの変化から、体内のホルモンバランスも乱れ、結果として精神的な不安定さを引き起こしやすくなります。
上記から、パニック障害は30~40代の女性が特に発症しやすい病気だといえるのです。
適切な治療を続ければ完治可能
適切な治療を続ければ、パニック障害は完治可能な病気です。現在では、薬物療法や認知行動療法(CBT)に代表される心理療法といった、パニック障害に適した治療法が確立しているからです。
元を辿れば、パニック障害という病名は1980年代に登場しました。病気自体は19世紀のイギリスの心臓学者によって記載されたとされています。その後、1894年に精神分析学者の「フロイト」が提唱した「不安神経症」という病名が、現在のパニック障害に該当するわけです。
以降、パニック障害の診断基準が確立され、治療法も進化していきました。
上記の背景から、パニック障害は適切な治療を続ければ完治可能な病気であることがわかります。実際のところ、現在では多くの方がパニック障害の完治に成功し、健康な生活を取り戻しています。
補足:「パニック」という言葉の語源
「パニック」という言葉の語源は、ギリシャ神話に由来する説が有力とされています。牧神パン(Pan)が突然の怪物の出現に慌て川に飛び込んだ結果、水に浸っていた部分は魚に、水面に出ていた部分は山羊の姿になったという逸話があります。恐怖や混乱といったパンの様子が「パニック」という名前の語源になったとされているのです。
パニック障害の主な症状
ここからは、パニック障害の主な症状を、3つにまとめて紹介します。
- パニック発作
- 予期不安
- 広場恐怖
パニック発作
パニック発作は、突然強い不安感や恐怖に襲われることで、次のような身体障害を引き起こす症状です。
- 動悸(どうき)
- 発汗
- 身体の震え
- 息切れ
- 息苦しさ
- 胸の痛み・不快感
- 吐き気・腹部の不快感
- めまい・ふらつき
- 手足のしびれ
突然、上記のような症状が現れ、数分から数十分続くケースもあります。発作で感じる恐怖が次の発作への不安を助長(じょちょう)するため、症状に苛まれる時間が長引いてしまうのです。
予期不安
予期不安は、次のパニック発作がいつ起こるかわからないことへ強い不安や恐怖を感じる症状です。
過去、発作に襲われた経験がトラウマのように呼び起こされ不安が増幅します。結果として、常に発作を恐れるような精神状態となるのです。日常生活では常に緊張状態が続き、外出や人と会うことを避けがちになる方もいます。
発作の経験から不安に苛まれる症状が、予期不安の特徴といえます。
広場恐怖
広場恐怖は、次のような特定の場所や状況で襲われるパニック発作を恐れる症状です。
- 人混み
- 満員のバスや電車
- 閉鎖的な空間
上記のような状況でパニック発作に襲われると「また同じ状況で発作が出たらどうしよう..」といった不安や恐怖から以後、同様の状況を避けるようになります。
広場恐怖の症状が進行すると「二度と発作に襲われた状況に陥りたくない」という抵抗感から、外出自体が困難になり、家に引きこもりがちになるケースも多いです。
発作に襲われた場所や状況へのトラウマから恐怖に苛まれる症状が、広場恐怖の特徴といえます。
パニック障害が発症する原因
ここからは、パニック障害が発症する主な原因を、4つにまとめて解説します。
- 日常生活におけるストレスの蓄積
- 悲観的な捉え方による不安の増大
- 遺伝による発症
- 不規則な生活習慣
日常生活におけるストレスの蓄積
日常生活で蓄積したストレスは、パニック障害の発症を引き起こす原因の1つです。
多忙な仕事や職場での人間関係・家事や育児などからくるストレスは心身に大きな負担をかけます。日々蓄積していくストレスが限界を超えると、パニック障害の発症を引き起こすケースもあります。
日々ストレスを管理し解消できなければ、発症だけでなく症状に襲われる頻度も増していくのです。
悲観的な捉え方による不安の増大
物事への悲観的な捉え方で増大した不安も、パニック障害を発症する原因の1つになり得ます。常に物事を悪い方向へ考える傾向がある場合、不安感が強まりやすく、結果としてパニック症状を引き起こしやすくなるのです。
悲観的な捉え方やネガティブな思考は、自己肯定感を下げるだけでなく、症状の悪化も招きます。
遺伝による発症
パニック障害は、遺伝的要因で発症するケースもあります。親御さんがパニック障害を患っている場合、そうでない家庭に比べ、自身が発症する可能性は高まる傾向にあります。
もちろん、遺伝による発症を完全に避けるのは困難です。ただし、家族がパニック障害を患った経験があるかを確認し、早期に対処ができれば症状の軽減・予防は可能です。
不規則な生活習慣
不規則な生活習慣もパニック障害を発症する原因の1つです。睡眠不足や暴飲暴食・喫煙などは、身体だけでなく心にも大きな負荷をかけることになります。
生活習慣が乱れ不規則になればなるほど、体調は不安定になるため、パニック障害を発症しやすくなるわけです。
パニック障害の治療法
ここからは、先にて軽く触れたパニック障害の主な治療法を、それぞれ詳しく解説します。
- 薬物療法
- 心理療法
薬物療法
薬物療法はパニック障害における主要な治療法の1つです。抗不安薬や抗うつ薬などを服用することで、発作の頻度や症状を軽減します。
抗不安薬は即効性の高いものが多いため、突然出た症状も素早く軽減できます。また、抗うつ薬はパニック障害の原因となる不安を、長い期間をかけコントロールするのに効果的です。継続的に服用し続けることで、症状の軽減や再発防止につながります。
なお、市販薬だけでパニック障害を完治させるのは困難です。大前提として、パニック障害は専門的な治療が必要な精神疾患です。
一時的な症状の緩和を目的に、市販薬を服用するのは効果的なものの、根本的な治療にはつながりません。最悪の場合、今以上に症状を悪化させる危険もあります。
そのため、薬物療法は必ず医師の診察を受け、処方薬で治療に取り組むのが賢明です。
心理療法
心理療法も、薬物療法と同様パニック障害における主要な治療法の1つです。心理療法士やセラピストとのカウンセリングを通じて、思考や感情・行動の面から改善をはかることで、パニック障害を治療します。
特に、前述した認知行動療法(CBT)は、パニック症状を引き起こすパターンを認識し、思考を矯正することで治療をはかります。
認知行動療法は、不安を引き起こす思考や行動を分析し、健全かつポジティブな捉え方や視点を養うのが目的です。セラピストとのカウンセリングを通じて、不安の管理方法を学ぶことで、症状の軽減や発症頻度を減らせます。
参考:パニック障害(パニック症)の 認知行動療法マニュアル (治療者用)
なお、パニック障害への克服に向けたサービスを提供する「nico株式会社」では、症状の治療に特化した心理カウンセリングが受けられます。
出典:nico株式会社
株式会社nicoのカウンセリングでは、5,000件を超えるパニック障害に悩む人の症例データや経験をもとに、対話を通じて不安感を取り除く心理療法を行います。
2012年の創業からパニック障害への克服に向け活動を続けてきた株式会社nicoのサービスなら、カウンセリングも苦手なイメージを抱いている人でも、気兼ねなく試すことができますよ。
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パニック障害になりやすい人の特徴
ここからは、パニック障害になりやすい人の特徴を、4つにまとめて紹介します。
- 心配や不安を感じやすい人
- ストレスに敏感な人
- 自身を追い込みがちな人
- 完璧を求める傾向がある人
心配や不安を感じやすい人
心配事や不安を感じやすい点は、パニック障害になりやすい人の特徴といえます。 心配や不安を感じやすい人は、日常生活での些細な出来事に対し「もしこうなってしまったらどうしよう...」と過度に心配し、最悪の事態を想像することが多いです。 もちろん、心配すること自体は悪いことではありません。しかし、心配している時は心身にかかる負担が増し、ストレスが蓄積されます。
結果として、心配する状態が続けば続くほど、パニック障害を引き起こしやすくなるわけです。
ストレスに敏感な人
ストレスに敏感な人も、パニック障害になりやすい傾向にあります。前述したとおり、日常生活におけるストレスの蓄積は、パニック障害を発症する原因になり得るからです。
ストレスに敏感な人は、身体や心に負荷がかかる状況に置かれると、強い不安感や恐怖を感じやすい傾向にあります。そのため、過度なストレスや不安感が動悸や息苦しさなどのパニック症状を引き起こすきっかけとなってしまうのです。
症状を誘発する原因となる点から、ストレスに敏感な人はパニック障害を発症しやすい傾向にあるといえます。
自身を追い込みがちな人
自身を追い込みがちな人も、パニック障害になりやすい傾向にあります。
仕事や家事など、あらゆる状況で「まだまだ自分は大丈夫」「こんなことで疲れていたらダメだ」と、自身に厳しく接している人は多いのではないでしょうか。「ストイック」という言葉から、一見すると自身に厳しくすることは良いことに感じられますよね。
ただし実のところ、自身に厳しく接する時は心身に大きな負荷がかかります。休むことなく自身を追い込み続ければ、過度にストレスが蓄積してしまい、結果としてパニック症状を引き起こしやすくなってしまうのです。
完璧を求める傾向がある人
「完璧主義者」といった、失敗を許さず完璧を求める人も、パニック障害になりやすい傾向が強いです。
大前提として、完璧主義者の人はあらゆる物事に対し、達成が非常に困難な高い基準を設定しています。ただし、自身は設けた基準が実現困難だとは感じていないため、基準に達しないと強いストレスを感じてしまうのです。
自身への過度なプレッシャーは、結果的にパニック症状を引き起こすきっかけとなります。過度に完璧な状態を追い求めてしまう点で、失敗が許せない人はパニック障害を発症しやすい傾向にあるといえます。
パニック障害の症状が出た時の対処法
なかには、いざパニック障害の症状に襲われた際、どう対処すればいいのかわからない方もいますよね。
発作や不安感など、症状に応じて適切な対処ができなければ、最悪症状が悪化してしまう可能性もあります。
そこで、ここからは次の症状別に、パニック障害の症状が出た時の対処法を紹介します。
- パニック発作
- 予期不安
- 広場恐怖
パニック発作への対処法
パニック発作が出た際は、まず落ち着ける安全な場所に移動しましょう。移動後は、座るなど楽な姿勢を取り、深呼吸して呼吸を整えましょう。
具体的には、鼻からゆっくりと息を吸い込み、口からゆっくり息を吐き出します。吸う・吐く息を感じるようにゆっくり深呼吸することで、心拍数を安定させることができます。 また、発作が出ている時は「これは一時的なものだから大丈夫。すぐに和らぐ」と、自身に肯定的な言葉を言い聞かせるのも重要です。前向きな言葉を繰り返すことで、不安感や発作への恐怖を和らげられます。
予期不安への対処法
予期不安の症状が出た際は、瞑想(めいそう:目をつぶり背筋を伸ばし目から入る他の情報を遮断すること)やヨガなどのリラクゼーション技法に取り組みましょう。
瞑想やヨガには心身のリラックスを促し、不安を軽減する効果があります。
また、日常生活でのストレスを管理・解消しやすいよう、適度な運動や趣味に時間を割くのも効果的です。不安感をすぐに落ち着け、安心感を促す行動をとれることが、予期不安への対処法として有効です。
広場恐怖への対処法
広場恐怖の症状が出た際は、曝露(ばくろ)療法が効果的です。曝露療法とは、不安を感じる状況に少しずつ身を置くことで、徐々に恐怖を克服する治療法です。
例えば、恐怖を感じる場所や状況に身を置き、徐々に滞在時間を増やしていきます。結果として、脳が「ここは安全な場所だ」と認識し始め、恐怖感が薄れていくわけです。
ただし、いきなり過度な曝露療法に取り組んでは症状が悪化しかねません。そのため、無理に恐怖へ向き合うのではなく、医師や専門家の指導のもと段階的に進めることが大切です。
また、前述した深呼吸やリラクゼーション法を併用すると、広場恐怖の際に感じる身体的な症状(動悸や息苦しさなど)を和らげられますよ。
パニック障害の前兆があれば医師に診てもらおう
パニック障害の前兆を感じたら、できるだけ早く医師に診てもらいましょう。具体的には、次のような症状が数日または数回にわたって続くようであれば、診察を受けるのが賢明です。
- 突然の動悸
- 息切れ
- めまい
- 強い不安感
なかには、上記の症状が出たとしても、軽い程度であれば「病院に行くほどではないな」と判断してしまう方もいるかもしれません。しかし、そのまま放置すれば、症状が重度になる可能性があります。
特に、パニック障害は治療が早ければ早いほど改善しやすいため、前兆を無視せず適切な対応を取ることが大切です。
とはいえ、いざという時にどの病院で診てもらえばいいのか、わからない方は多いですよね。原則、パニック障害は精神科や心療内科で診察を受けます。
下の記事では、パニック障害の治療を専門とした東京都で評判の良い病院を、選び方も交え詳しく解説してるのでよければ参考にしてください。
まとめ
この記事では、パニック障害がどんな病気なのかを解説しました。パニック障害は、30~40代の女性に多く見られる病気です。
日常生活に支障が出るほど、動悸やめまいなどの症状に苛まれた際は我慢せず、一度病院で診てもらいましょう。早期に治療へ取り組めば、スムーズに完治することができますよ。
なお「もっとパニック障害への知見を深めたい」「病院に行くのはなんだか気が引ける...」という方は、先ほど紹介したnico株式会社が提供する下記のサービスをご活用ください。
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次の記事では利用者の口コミも交え、ここまでに紹介したnico株式会社が提供するサービスの評判を詳しく解説しているので、よければ参考にしてください。