健康診断で採血しない方法|断る条件、拒否できる項目を解説
[2023.10.25]
会社の定期健康診断は、法律・労働安全衛生法(労働安全衛生規則第66条)で定められているものになります。
事業主は、定期健康診断をもとに、社員の健康状態を把握して、適切な業務量・内容の検討をするものとされています。
項目を省いての実施では、企業が法令を守っていないとし、罰せられるおそれもあります。
省略が可能な検査項目もありますが、条件などが定められています。
しかし、採血をパスすると、会社の義務である健康診断としての項目を満たす事ができなくなってしまいます。
ぜひ参考にされてください。
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-saiketsu-kowai
ぜひ参考にされてください。
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-kyoufushou
ぜひ参考にされてください。
https://mame-clinic.jp/column/kekkanmeisoushinkeihansha
健診時の給与待遇については、遠慮なく確認しましょう。
有給扱いが可能かも同様です。
健診の結果、要所見があった社員に関しては、産業医の意見を聞いた上で、労働時間や勤務内容の変更などを検討する必要があります。
「労働安全衛生法で定められた11項目」以外の検査結果については、個人情報保護法が優先となるため、会社への結果報告は、本人の同意の上となります。
しかし、誓約書を提示しても、勤務先にこれが受け入れられるかは不明です。
実施対象となる従業員が、健康診断を受けない場合、企業が法を守れていないという事になり、罰せられるおそれがでます。
企業サイドとしては、対象となる従業員には必ず健康診断を受けて欲しいのです。
心配事や気になる点は、勤務先と相談し、納得が行く道筋を模索しましょう。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/000010390
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の診断項目の取扱いが一部変更になります」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000194701.pdf
事業主は、定期健康診断をもとに、社員の健康状態を把握して、適切な業務量・内容の検討をするものとされています。
定期健康診断では、基本的な検査項目が定められており、血液検査もこの中にあります。
項目を省いての実施では、企業が法令を守っていないとし、罰せられるおそれもあります。
以上の事から、勤務先の健康診断で血液検査・採血を断りたいとしても、個人的な理由での拒否は難しいと言えます。
省略が可能な検査項目もありますが、条件などが定められています。
この記事では、健康診断ので検査項目、省略できる項目とその条件、健康診断での血液検査、採血への対策を解説します。
健康診断での診断項目と、血液検査・採血の省略条件
ここでは、健康診断での診断項目の内容、血液検査、採血などの省略ができる条件などについて解説します。- 健康診断での採血を断れるかどうかは状況による
- 定期健康診断等の診断項目
- 医師が「必要でない」と認めた場合に省略できる診断項目
健康診断での採血を断れるかどうかは状況による
所属する企業での健康診断で、血液検査等の診断項目は、省略できるものとできないもの、省略できるタイミング、できないタイミングがあります。
- 雇入れ時の健康診断では「必須」のため、「省略はできない」
- 定期健康診断では、「労働安全衛生規則第44条第2項」により、「医師が必要でないと認めた場合は省略する事ができる」とされています
血液検査、採血などの省略は、あくまで「医師が不要と認めた場合」となっており、健診を受ける本人の意思で拒否する事は、法的にはできません。
定期健康診断等の診断項目
労働安全衛生法に基づく、定期健康診断等の診断項目は以下になります。診断項目
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長(※)、体重、腹囲(※)、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査(※)及び喀痰検査(※)
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GPT)(※)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、 HDLコレステロール、血清トリグリセライド)(※)
- 血糖検査(※)
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
- 心電図検査(※)
医師が「必要でない」と認めた場合に省略できる診断項目
診断項目 | 医師が必要でないと認めた場合に診断項目を省略できる方 |
---|---|
身長 | 20歳以上の方 |
腹囲 | 次のいずれかに当てはまる方
|
胸部エックス線検査 | 40歳未満で、次のいずれにも該当しない方
|
喀痰検査 | 次のいずれかに当てはまる方
|
血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査) 心電図検査 |
35歳未満の方、及び36~39歳の方 |
健康診断での血液検査、採血への対策
ここでは、理由別に、血液検査、採血に対する対策を解説します。- 注射や採血後に具合が悪くなった事がある
- 注射が怖い場合
- 血管迷走神経反射になりやすくて採血や注射が怖い
- 忙しくて時間が取れない
- 健診結果を知られたくない
- 誓約書の提出
注射や採血後に具合が悪くなった事がある
注射や採血が怖い、苦手という方は多くいらっしゃいます。しかし、採血をパスすると、会社の義務である健康診断としての項目を満たす事ができなくなってしまいます。
注射や採血が怖い理由や原因に応じて、健康診断の採血時に、医師や看護師に相談して怖さや不安を回避する対策をすると良いでしょう。
- 痛み止めの麻酔テープを使用する
- 注射が苦手、怖い旨、看護師さんに相談し、対策を取る
- 消毒薬、ラッテクス他のアレルギーを事前相談する
- 採血される際に腕を見ない
- 血管が見つけづらい人は、採血しやすい部位(場所)を覚えておく
- 深呼吸をしてなるべくリラックスする
- 好きな事や趣味の事を考える
- 病気を予防をする、知る、治すためと思って納得をする
採血や注射が怖い場合の対処法を詳しく解説した記事もございます。
ぜひ参考にされてください。
関連記事:「採血や注射が苦手・怖い理由と対処法を解説|大人も子どもも」
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-saiketsu-kowai
注射が怖い場合
注射前の不安感や緊張、強い恐怖感などから、制御できないほどの不安感、恐怖感、 呼吸の早まり、失神などの症状が出た場合、「注射恐怖症」のおそれもあります。注射に対して極度に恐怖や不安を感じて、健康診断での採血を拒否すると、健診結果を勤務先に正しく提出する事ができなくなってしまいます。
注射恐怖症かもと感じたら、自己判断はせず、カウンセリングや心療内科など、専門家をあたり、相談をすると良いでしょう。
注射恐怖症に関して、詳しく解説した記事もございます。
ぜひ参考にされてください。
関連記事:「注射恐怖症とは|症状と対処法を解説」
https://mame-clinic.jp/column/chuusha-kyoufushou
血管迷走神経反射になりやすくて採血や注射が怖い
血管迷走神経反射自体に後遺症は無いのですが、失神しての転倒などによるケガの心配や、その他の病気が隠れているケースもあります。採血や注射のストレスで血管迷走神経反射の症状が出た、出やすい方は、注射・採血前に医師に相談の上、横になって施術してもらう等の対策を取りましょう。
血管迷走神経反射について、詳しく解説した記事もございます。
ぜひ参考にされてください。
関連記事:「血管迷走神経反射になりやすい人へ。6つの対処法、治療法、解決法を医師が解説」
https://mame-clinic.jp/column/kekkanmeisoushinkeihansha
忙しくて時間が取れない
勤務先と相談をし、健康診断を受ける時間の確保をしましょう。時給制で働いており、健診時間中の給与が出ないのではないかと心配をされる方もいらっしゃいます。
健診時の給与待遇については、遠慮なく確認しましょう。
有給扱いが可能かも同様です。
健診結果を知られたくない
健康診断の結果を、職場の方に知られたくないという方もいらっしゃいます。しかし、企業には、社員の健康状態を把握して、健康診断の結果を5年間保管するという決まりがあります。
健診の結果、要所見があった社員に関しては、産業医の意見を聞いた上で、労働時間や勤務内容の変更などを検討する必要があります。
そのため、健康診断の結果を勤務先に伏せておく事は難しいと言えます。
「労働安全衛生法で定められた11項目」以外の検査結果については、個人情報保護法が優先となるため、会社への結果報告は、本人の同意の上となります。
誓約書の提出
様々な理由により、どうしても採血をしたくない場合、勤務先に誓約書を提出する方もいらっしゃいます。採血を受けない事で起こる事象に関して、会社に責任を問わない旨を書いたものです。
しかし、誓約書を提示しても、勤務先にこれが受け入れられるかは不明です。
企業には、労働安全衛生法(労働安全衛生規則第66条)によって、健康診断(定期健康診断)の実施が義務付けられています。
実施対象となる従業員が、健康診断を受けない場合、企業が法を守れていないという事になり、罰せられるおそれがでます。
企業サイドとしては、対象となる従業員には必ず健康診断を受けて欲しいのです。
既往病などで、採血や健康診断の一部などを受けたくない場合、受ける必要が無い場合の省略に関しては、『「医師が必要ないと判断した」場合のみ、省略可能な項目に関して』認められるので、個人が書いた誓約書の効力は不明となります。
健康診断で採血しない方法まとめ
会社での健康診断での採血は、- 雇入れ時の健康診断では「必須」のため、「省略はできない」
- 定期健康診断では、「労働安全衛生規則第44条第2項」により、「医師が必要でないと認めた場合は省略する事ができる」とされている
健康診断を受ける事で、体調の把握、病気の早期発見、スムーズな就労を可能にするために必要と言えます。
心配事や気になる点は、勤務先と相談し、納得が行く道筋を模索しましょう。
参考文献
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/000010390
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の診断項目の取扱いが一部変更になります」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000194701.pdf