【2023年10月更新】留学前に知っておきたい!海外のお薬事情を解説|日本の薬は持ち込みできる?現地での薬の購入方法は?
海外留学を検討されている方や、これから予定している方の中には「海外留学中に体調を崩してしまったらどうしよう…」と不安に思っている方もいらっしゃいますよね。
海外留学は、日本とは違う文化や勉強ができる素晴らしい経験ですが、同時に慣れない状況での生活によって、精神的・身体的に負担がかかってしまうということも忘れてはいけません。
以下のグラフは、「海外旅行で経験した健康トラブル」のランキングです。
ランキングを見ると、上位を占めるのは、腹痛や下痢・風邪・発熱などの症状です。
日本国内でこれらの症状が出た際、軽度であれば近場のドラッグストアや薬局で薬を買って…と対策ができますが、海外留学先では言語の違いや薬の取り扱いの違いがあるため、欲しい薬がすぐに手に入らない可能性もあります。
そこでこの記事では、留学前に知っておきたい海外の薬事情を詳しく解説していきます。
海外留学を検討している方や予定している方はぜひ参考にしてみてください!
- 日本の薬は海外に持ち込める?
- 薬を持ち込むときの注意点
- アメリカ留学中の市販薬購入と病院受診の際の注意点
- フィリピン留学中の市販薬購入と病院受診の際の注意点
- シンガポール留学中の市販薬購入と病院受診の際の注意点
留学前に知っておきたい、海外へ薬の持ち込み
留学先で薬を買おうとしても、薬の説明や注意書きは現地の言語で書いてあるため、自分に合った薬を見つけるのはなかなか難しいかもしれません。
そのため、基本的には日本国内から飲みなれている薬を持ち込むことをおすすめします。
ただし、日本の薬を海外に持ち込むためには、いくつかの注意点があります。
医薬品は基本的に持ち込みOK
日本から薬を持ち込もうとすると、空港の税関で止められてしまうのではないか…と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、基本的には、日本国内で購入した市販薬や国内で処方された薬剤のほとんどは、海外に持ち込むことが可能です。
ただし、精神安定剤や抗うつ薬などの一部の薬剤は、海外では規制薬物に指定されている場合があります。
その場合には持ち込みの際に特別な手続きが必要な可能性があるため注意が必要です。
機内持ち込みや入国の際の注意点
液体の医薬品は機内持ち込みの制限に注意
インシュリンなどの注射薬や液体状の薬を機内に持ち込む際には、100ミリリットル以下の容器に入れて持ち込む必要があります。
そして各容器は、縦横の辺の合計が40cm以内の透明な再封可能なプラスチック袋(ジップロック)に入れる必要があります。
市販薬の場合は、必ず販売されているパッケージのまま持ち込むこと。
市販薬を海外に持ち込む場合には、必ずパッケージに入ったまま持ち込みましょう。
パッケージから出した状態で持参してしまうと、薬の成分が判断できず、持ち込みの際に申請をする必要があったり、場合によっては持ち込みが出来なかったりということもあり得ます。
参考:海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続きについて|厚生労働省
持病の処方薬を服用している場合には、主治医に海外渡航を予定していることを伝え、「薬剤携行証明書」を英文にて作成してもらうとよい。
持病の治療薬を留学先でも服用する必要のある方は、主治医に海外渡航を予定していることを伝え、「薬剤携行証明書」を英文にて作成してもらうと安心です。
薬剤の名称は日本での製品名では理解されないことがありますが、薬剤携行証明書には薬剤の正式名称を英名で記載されているため、税関などでのトラブルも起こりづらく、スムーズに持ち込みができます。
粉薬を服用している場合は医師に相談を
粉薬を海外に持ち込むと、違法薬物の疑いをかけられる場合があります。
粉薬を服用している場合には医師に相談して、可能であれば他の形状の医薬品に変更してもらいましょう。
参考:海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続きについて|厚生労働省
留学先別!市販薬購入と病院受診の際の注意点
短期の海外旅行とは異なり、長期にわたる海外留学中は「日本製の薬を持ち込んでも、現地で薬を切らしてしまった…」という場合もあるかと思います。
ここからは、「アメリカ」「フィリピン」「シンガポール」での市販薬の購入方法や病院受診の際の注意点について解説していきます。
アメリカ
アメリカで市販薬を販売している場所
◆ドラッグストアチェーン
市販薬を購入するのに一番確実性が高い方法は、ドラッグストアチェーンに行くことでしょう。
アメリカのドラッグストアチェーンでも、日本と同様に、風邪や腹痛、頭痛などの様々な疾病の市販薬が販売されています。
特に「CVS Pharmacy」「Walgreens」「Rite Aid 」などの大手ドラッグストアチェーンは留学先でも見つけやすいため、近くにこれらの店舗があるかを確認してみるとよいでしょう。
◆大型スーパーマーケット
大型のスーパーマーケットには、薬局が併設されている可能性が高いです。
以下は、アメリカの大型スーパーマーケットの一例です。これらのスーパーでは医薬品の取り扱いを行っている場合があります。
- Walmart
- Kroger
- Costco Wholesale
- Safeway
- Albertsons
- Publix
- Target
- Whole Foods Market
- H-E-B
- Winn-Dixie
◆オンラインストア
Amazonなどのオンラインストアでも市販薬を購入することができます。
ただし、注文から配送までに時間がかかってしまう場合があるため、すぐに薬が欲しいという場合には、ドラッグストアやスーパーなどの店頭で購入することをおすすめします。
アメリカで買える代表的な市販薬
以下は、アメリカのドラッグストアやスーパーなどで購入できる代表的な市販薬です。
薬剤名 |
種類 |
DayQuil |
風邪薬・咳止め |
NyQuil |
風邪薬・咳止め |
Tylenol |
風邪薬・咳止め |
Advil |
風邪薬 |
Robitussin |
咳止め |
Claritin |
鼻づまり |
Benadryl |
鼻づまり・酔い止め |
Pepto-Bismol |
腹痛・吐き気・胸やけ |
Imodium |
下痢止め |
Penetrex |
捻挫・打撲・筋肉痛 |
Salonpas |
捻挫・打撲・筋肉痛 |
これらの市販薬は、ドラッグストアやスーパーなどで比較的簡単に入手できます。
ただし、使用の前にはしっかりと注意事項を確認しておきましょう。
参考:Student Medicover-Common OTC medications in US
アメリカの医療制度について
◆医療費が高い
アメリカは医療費が高いことで知られています。
病院での診察は日本円で2万円以上、処方箋で1万円以上かかることがほとんどで、仮に手術となると、数百万円という金額がかかる場合があります。
怪我や病気のレベルに関わらず、アメリカでは病院にかかると高額な費用が請求されます。そのため、留学生向けの保険には絶対に加入しておきましょう。
保険に加入していれば、高額な診察代や薬代を自己負担する必要がないため、万が一という時でも安心して病院にかかることができます。
◆まずはかかりつけ医に相談
アメリカではの医療保険のほとんどでは、主治医(かかりつけ医)の設定が必要となります。そのため、体調が優れないからといって近くの病院で診察してもらうということは難しいです。
専門医に診てもらいたい場合にも、まずはかかりつけ医に紹介状を書いてもらうということが必要となります。
ただし、どのような症状であっても同じ主治医に診てもらえるため、相談がしやすいという点はメリットと言えるでしょう。
アメリカで病院にかかる手順
①かかりつけ医に診療の予約をする
アメリカ留学中に病院にかかる必要がある場合には、まずはかかりつけ医に診療予約をしましょう。
アメリカの病院のほとんどは完全予約制であるため、予約なしで病院に行っても診察をしてもらえない可能性が高いです。
そのため、まずは事前に予約をとることが重要です。
もし、かかりつけ医がいない場合や日本語に対応している病院を探したい場合には、加入している海外旅行保険会社に連絡をするとよいでしょう。
②病院で診療を受ける
予約した日時になったら病院に行き診療を受けましょう。
その際、受付で自身の保険が適用されるかどうか保険証を見せて確認するとよいでしょう。
また、日本語対応でない病院での受診の際には、英語で現在の症状を説明する必要があります。
現在の症状についてうまく伝えられないと、適切な診療がされない可能性があるため注意してください。
【英語で症状を伝えるときに良く使うフレーズ 】
フレーズ |
意味 |
I have a headache. |
頭が痛いです。 |
I'm feeling dizzy. |
めまいがします。 |
I have a fever. |
熱があります。 |
I'm coughing a lot. |
たくさん咳が出ます。 |
My throat is sore. |
のどが痛いです。 |
I have a runny nose. |
鼻水が出ます。 |
I feel nauseous. |
吐き気がします。 |
I have a stomachache. |
お腹が痛いです。 |
I have diarrhea. |
下痢です。 |
I'm experiencing chest pain. |
胸が痛いです。 |
I have a rash on my skin. |
肌に発疹があります。 |
My joints ache. |
関節が痛いです。 |
I'm short of breath. |
息が切れます。 |
I've been experiencing these symptoms for ~. |
~(期間)の間、これらの症状が続いています。 |
③診断書や治療費の明細書は必ずもらう
診療が終わると診察料や処方料の支払いとなります。その際、診断書や治療費の明細書は必ずもらうようにしてください。
保険会社に治療費を請求する場合には、診断書や治療費の明細書が必要になります。
診断書や治療費の明細書がない場合には治療費を全額自己負担しなければならない可能性があるため、これらの書類のもらい忘れがないようにしてください。
フィリピン
フィリピンで市販薬を販売している場所
◆薬局・ドラッグストア
フィリピンには多くの薬局があり、一般的な市販薬、処方箋薬、健康製品が入手できます。
以下は、有名な薬局チェーンの一例です。これらの薬局の店舗は主要な都市や観光地で見つけられる可能性が高いです。
- Mercury Drug
- Watsons
- South Star Drug
- Rose Pharmacy
- Generika Drugstore
◆小売店(ストリートベンダー)
フィリピンには、路上で商品を販売する小売店(ストリートベンダー)が多いです。そのような店でも市販薬を購入できる場合があります。
ただし、このような店では品質の悪い商品や、偽物を扱っている場合があるため注意が必要です。
◆オンラインショップ
フィリピンでも、Amazonなどのオンラインショップで市販薬を購入することは可能です。
ただし、オンラインショップには地域によって利用の制限がある場合があります。オンラインショップを利用する際にはサイト内の注意事項をよく読むことが大切です。
フィリピン国内では、薬局以外にも小売店やオンラインショップを利用することで市販薬を購入することができます。
ただし、それらの方法は安全性や確実性の面で注意が必要な場合があります。
もし、フィリピンで市販薬を買いたいのであれば、大手の薬局チェーンで購入することをおすすめします。
フィリピンで買える代表的な市販薬
以下は、フィリピン の薬局・ドラッグストアで購入できる代表的な市販薬です。
薬剤名 |
種類 |
Biogesic |
鎮痛・解熱剤 |
Tempra |
鎮痛・解熱剤 |
Calpol |
鎮痛・解熱剤 |
Advil |
鎮痛・解熱剤 |
Imodium |
下痢止め |
Diatabs |
下痢止め |
Lomotil |
下痢止め |
Cetirizine |
アレルギー性鼻炎 |
Ventolin |
咳止め |
Maalox |
胃の不快感の緩和 |
これらの市販薬は、大手の薬局チェーンなどで比較的簡単に入手できます。
ただし、使用時の注意等はしっかりと確認しておきましょう。
参考:Philippine Primer-Over-the-counter Medicine and Where to Get Them in the Philippines
フィリピンの医療制度について
◆地域や病院によって医療レベルの差が大きい
首都のマニラやセブは、医療のレベルが比較的高く、日本と遜色ない診療を受けることが可能です。
しかし、フィリピンは都市部と地方での貧富の差が激しい傾向にあり、地方の医療レベルは都市部と比べて劣っていることが多いです。
そのため、フィリピンで病院にかかる場合には、都市部の病院を選ぶことをおすすめします。
◆留学生は私立総合病院に行くのが一般的
フィリピンの総合病院は、国立・公立・私立の3体制に分類されます。
国立病院は、国の予算によって運営されているため、治療費が安いです。しかしながら、待ち時間が長く、すぐに診療を受けられないことが多いです。
公立病院は、地方自治体や政府機関によって運営されており、国立病院と同じく費用は比較的安価ですが、待ち時間が長い傾向にあります。
私立病院は、個人や法人によって運営されているため、治療費は高めですが、待ち時間が少なく、設備が整っていることが多いです。
日本からの留学生は私立病院を利用することが多いため、医療のレベルや衛生面での心配は少ないですが、治療費が高額であるため海外旅行保険には必ず加入しておきましょう。
◆オープンシステムを採用している
フィリピンの医療機関の多くは、「オープンシステム」という体制を採用しています。
日本では医師は1つの病院だけで診療を行うことがほとんどですが、オープンシステムを採用しているフィリピンの場合は、医師は複数の病院と契約して、日によって別の病院での診療を行っています。
そのため、同じ病院に行っても必ず同じ医師に診てもらえるわけではないという点に注意が必要です。
フィリピンで病院にかかる手順
①海外旅行保険会社に連絡する
留学生がフィリピンで病院にかかる際には、まずは海外旅行保険会社に連絡することが一般的です。
そして、保険会社に海外旅行保険を利用したいという旨を伝えてから総合病院の予約を取ります。
海外旅行保険会社によっては、日本語に対応している病院と連携をとってくれる場合があります。
もし、日本語に対応した病院を探している方は、海外旅行保険会社に相談してみるとよいでしょう。
②病院での診察を受ける
予約当日になったら海外保険証書・パスポートのコピー・学生証などを持参して病院に向かいます。
フィリピンの公用語は、英語とフィリピノ語(タガログ語)の2つの言語がありますが、都市部の医療機関では英語での対応が可能な場合がほとんどですのでご安心ください。
一方、地方の病院にかかる際には、フィリピノ語で症状を伝える必要がある場合もあります。
そのような場合のために、以下のようなフレーズを覚えておくと良いかもしれません。
【フィリピノ語で症状を伝えるときに良く使うフレーズ 】
フレーズ |
読み方 |
意味 |
May lagnat ako. |
私は熱があります。 |
マイ ラグナト アコ |
Nahihilo ako. |
めまいがします。 |
ナヒヒロ アコ |
Masakit ang ulo ko. |
頭が痛いです。 |
マサキト アング ウロ コ |
Ubo ako. |
咳が出ます。 |
ウボ アコ |
Masakit ang lalamunan ko. |
のどが痛いです。 |
マサキト アング ララムナン コ |
Masakit ang tiyan ko |
お腹が痛いです。 |
マサキト アング チャン コ |
③診断書や治療費の明細書は必ずもらう
診療後の会計の際には、必ず診断書や治療費の明細書をもらうようにしてください。
これらの書類を後で海外旅行保険会社に提出しなければ、病院代が自己負担となる可能性が高いです。
また、処方薬は病院の外にある薬局での購入が必要となることが多いため、領収書はなくさないように注意してください。
シンガポール
シンガポールで市販薬を販売している場所
◆薬局(Pharmacy)・ドラッグストア(Drugstore)
薬局(Pharmacy)には薬剤師が常駐しており、現在の症状を伝えれば、症状に合った薬を提案してくれます。
ドラッグストア(Drugstore)には薬剤師が常駐していないことが多いですが、大手のドラッグストアチェーンでは、薬剤師が常駐している場合があります。
以下は、シンガポール国内でよく見かける大手の薬局・ドラッグストアチェーンです。シンガポール国内で市販薬を購入したい場合には、これらの店舗を探してみるとよいでしょう。
- Watsons
- Guardian
- Unity Pharmacy
- Mustafa Centre
◆オンラインショップ
シンガポールでは、オンラインショップで市販薬を購入することも可能です。
特に、以下のようなオンラインプラットフォームが利用されることが多いです。
- Guardian Online Store
- Watsons Online Store
- Amazon.sg
- Shopee
- Lazada
オンラインショップを利用することで手軽に市販薬を購入できますが、購入の際には、製品の詳細をよく確認しましょう。
シンガポールで買える代表的な市販薬
以下は、シンガポール国内で購入できる代表的な市販薬です。
薬剤名 |
種類 |
Panadol |
解熱鎮痛剤 |
NUROFEN |
解熱鎮痛剤 |
ZYRTEC |
鼻づまり |
STREPSILS |
喉の痛み |
SMECTA |
下痢止め |
ACTAL |
胃の痛み |
これらの市販薬は、大手の薬局・ドラッグストアに置いてある可能性が高いです。
ただし、購入時・使用時には、記載されている注意事項をよく確認しましょう。
参考:No. 1 Health & Beauty Retailer | Watsons Singapore
シンガポールの医療制度について
◆医療レベルの水準はかなり高い
シンガポールでは、医療観光(治療・手術を受けるための観光)を推進しています。
そのため、シンガポールの医療のレベルは世界的に見ても高く、日本と同程度、あるいはそれ以上に医療制度が整っています。
海外で病院に行く際には、衛生面や安全性の心配があるかと思いますが、シンガポールの病院では、そのような心配をする必要はほとんどないでしょう。
◆どのような症状でもまずは一般医に相談
シンガポールの医師は、一般医( General Practitioner )と専門医( Specialist )という2種類に分類されます。
基本的には、どのような症状でも、まずは一般医に相談します。そして、一般医の診療を経て専門医によるより詳細な診療を受けることができます。
ただし、軽度な症状の場合は、専門医による診療は行わないことがほとんどです。
◆医療費は病院によって異なる
シンガポールでは医療費を病院ごとに決めているため、同じ症状でも病院によってかかる費用は異なります。
一般相場は日本と同程度であることが多いですが、全額自己負担となるとかなりの額となってしまうため、シンガポール留学の際には、必ず海外旅行保険に加入するようにしてください。
シンガポールで病院にかかる手順
①一般医に診療の予約をする
シンガポール留学中に現地の病院に行く場合には、まずは一般医に受診の予約をします。
予約は電話でも行えますが、イントネーションの違いなどによる予約ミスを防ぐために、ウェブサイトを利用することをおすすめします。
シンガポールには、日本語に対応している病院も数多く存在します。日本語対応の病院に行きたいという場合には、学校や海外旅行保険会社などに相談してみるとよいでしょう。
②病院で診療を受ける
予約した日時になったら、海外保険証やパスポートのコピーなどを持って、病院に行き診療を受けましょう。一般医の診療後に、もし専門医による診療が必要と判断された場合には、紹介状が渡されます。
診療後の会計時には診断書や領収書などの保険会社に提出する必要のある書類を必ず受け取るようにしてください。
アメリカ・フィリピン・シンガポールで緊急時に救急車を呼ぶ際には、以下の番号に電話をしてください。
- アメリカ:「911」
- フィリピン:「117」
- シンガポール:「995」
ただし、これらの国をはじめ、海外では救急車は有料の場合が多いです。そのため、緊急時以外で救急車を呼ぶことは控えましょう。
安全に留学するための健康管理
アメリカ・フィリピン・シンガポールなど、留学先でも病院にかかることは可能です。
しかし、海外での通院には、衛生環境や言語の問題があり、思わぬトラブルが発生する場合があります。
もちろん、体調が優れない場合にはすぐに病院にかかることが理想的ですが、まずは次のようなことを意識して、病気になりにくい状況を作ることが大切です。
衛生状態の確認
水道水をそのまま飲める国は少ない
日本の水道水 は、厳格な水質基準のもと処理をされているため、そのまま飲むことが可能です。
しかし海外では、日本の異なる基準で水道水の処理を行っているため、水道水をそのまま飲めない場合があります。
また、日本の水道水のほとんどには軟水が使用されていますが、国によっては硬水が使用されていることもあり、日本人が水道水をそのまま飲める国は、あまり多くはありません。
海外留学の前には、自分の住むエリアの水道水が飲めるものかどうかをしっかりと確認しておくことが重要です。
【国ごとの水道水事情】
国 |
安全性 |
軟水 / 硬水 |
アメリカ |
高い |
州によって異なる |
フィリピン |
飲用には適さない |
硬水 |
シンガポール |
高い |
軟水 |
生ものには注意が必要
留学先(特に発展途上国)では、レストランや路面店で、カットフルーツなどの火の通されていないものが売られていることが多いです。
衛生環境が整っていない土地でそのような生ものを口にしてしまうと、食中毒になってしまう危険性があります。
その土地特有の食文化を楽しむことは悪いことではないですが、生もの食べることは極力控えた方がよいでしょう。
また、自分で調理をする際にも、食材にはしっかりと火を通してください。
参考:病気・ケガ(健康管理と対処法) | JCSOS 海外留学生安全対策協議会|渡航者向け
渡航前に予防接種を受ける
海外では、地理的要因や衛生環境の違いから、日本では蔓延しないような病気が発生しています。
そのため、留学先で注意するべき感染症を事前に調べて、渡航前に予防接種を受けておくことが大切です。
特に、長期留学の際には以下のような感染症に注意が必要です
- MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹)
- A型肝炎
- B型肝炎
- 破傷風
- 水痘(水ぼうそう)
- 狂犬病
MMR
MMRとは 、麻疹( Measles)、おたふく風邪(Mumps)、風疹(Rubella)の頭文字をそれぞれとったものです。
これらの病気に発症すると、高熱や皮膚の赤みや腫れなどの症状があらわれます。
ほとんどは軽症から中程度の症状で治まりますが、まれに合併症などを発症して重篤化するケースがあります。
MMRは世界的に感染が見られる病気ですが、特にアメリカ留学の際には、MMRの予防接種が必要となるケースが多いです。
ただし、日本ではこのMMRの予防接種は乳児のとき行っている方がほとんどです。
A型肝炎
A型肝炎は、 A型肝炎ウイルスによって引き起こされる感染症で、感染すると胃腸炎症状があらわれることが特徴です。
A型肝炎は汚染された水や食品などから感染することがあるため、発展途上国に行く際には予防接種が必要となる場合があります。
B型肝炎
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスによって引き起こされる感染症であり、主に肝臓に影響を及ぼす特徴があります。
人の血液や体液を介して感染するため、医療設備が不十分な地域に行く際には予防接種が推奨されています。
破傷風
破傷風は、土やほこりなどの中に存在する破傷風菌が傷口に付着することで感染し、筋肉のけいれんや全身の痛みなどがあらわれる病気です。
破傷風は世界中で広く分布しており、特定の地域に限定されているわけではありませんが、衛生状態の不良の地域では感染のリスクが高いです。
水痘(水ぼうそう)
水痘(水ぼうそう)は水痘ウイルスが感染者の飛沫などから広がっていく感染症で、発熱や発疹などを引き起こします。
特定の地域だけで蔓延しているわけではありませんが、学校などの多くの人が密接に集まる場所では感染が広がりやすいため、留学先によっては予防接種が必要となることがあります。
狂犬病
狂犬病は野犬やコウモリなどに噛まれることで発症する、非常に致死率の高い感染症です。
世界的に発症のリスクがある病気ですが、特に南アジア地域に行く際には注意が必要です。
上記以外にも、日本人にもなじみのあるインフルエンザやコロナウイルスなどの予防接種が必要となる場合があります。
留学の前には、留学先の国や学校でどのような予防接種が必要になるかをしっかりと確認しておきましょう。
メンタルヘルスも重要
留学中には、文化や寛容の違いなどから、精神的にストレスがかかることがよくあります。
精神的に過度なストレスがかかってしまうと、睡眠障害や抑うつ状態など、健康面に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
もし留学中に不安を抱えるようなことがあれば、留学生向けのサポートプログラムを利用したり、電話などで友人や家族とコミュニケーションをとるなどして、ストレスを抱え込まないようにすることが大切です。
まとめ
慣れない環境で生活する留学中には、健康上のトラブルがつきものです。もし体調を崩してしまった際にすぐに対処できるようにするためにも、日本国内で販売されている薬を持ち込むことをおすすめします。
現地で市販薬を購入したり病院を利用したりする場合には、事前に注意事項を調べて、トラブルが起こらないようにすることが大切です。
また、現地の衛生環境にも注意して、なるべく病気にかからないように生活することで、留学期間がより良い経験となることでしょう。