バーンアウト症候群とは?定義や症状、なりやすい人の特徴を解説
職場で働く上で、日々のストレスや負担が増えていくと、体と心に異変を感じることがあります。長時間労働や過剰な責任感からくる疲れが溜まり、心身ともにボロボロになってしまう状態を「バーンアウト症候群」または「職場の燃え尽き症候群」と言います。
名前からは少し軽い症状のように感じられるかもしれませんが、社会生活に適応するのが難しくなってしまったり、精神的な落ち込みが強く出てしまったりと、じつは生活への影響が大きな状態です。
自身の健康と幸福を保つために、バーンアウト症候群の予防と対策がいかに重要であるかを理解することが大切です。そこで本記事では、「バーンアウト症候群」について、その特徴や原因、そして簡単なチェック方法や予防法について詳しく説明します。
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バーンアウト症候群とは?
まずは、バーンアウト症候群について詳しくみていきましょう。
バーンアウト症候群の定義
バーンアウト症候群は、心理学者のフロイデンバーガー博士がつくった概念です。
あるものごとに熱心に取り組んでいた人が、ある時突然意欲を失ってしまい、その物事に取り組むことができなくなるなど、心身を消耗させてしまうことを指します。専門的には、「長期にわたり人を援助する過程で、心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の身体疲労と感情の枯渇を示す症候群である」という風に定義されています。
スポーツ選手や医療・福士関係者、教員などに多いと考えられてきましたが、今ではあらゆる対人サービスをおこなう人に生じる可能性が高いことがわかってきました。また、受験勉強を一生懸命頑張ったあと、目標を失ってバーンアウト症候群に陥ってしまうということも少なくありません。社会人だけでなく、子どもにも生じうる状態です。
今後、高齢化社会が進むにつれ、医療や介護・福祉といった対人サービスに従事する人が増え、バーンアウト症候群に陥る人が増えるのではないかと考えられています。
バーンアウト症候群かどうかのチェック方法は、いくつかの質問からその傾向をみるMBI(Maslach Burnout Inventory:バーンアウト尺度)が主流です。
MBIでは、バーンアウト症候群は以下の3つの症状に分類されるとしています。
・情緒的消耗感
バーンアウト症候群の症状の中では早くから見られます。体というよりは、心の疲れを反映した症状です。「今まで頑張って取り組んでいたものが、急に色褪せて感じる」「やる気が出ない」というような状態を指します。
・脱人格化
わけもなくイライラしたり、周囲への配慮ができなくなったりする状態です。
・個人的達成感の低下
情緒的消耗感や脱人格化を起こした状態のまま物事に取り組んでいると、当然、パフォーマンスの質が低下します。すると、周りからの評価も変わってしまうでしょう。やりがいや達成感を感じられず、「自分はだめだ」と自己否定的な思いが強くなります。
医学的には「うつ病」に近い
「バーンアウト症候群」は心理学の用語なので、バーンアウト症候群という病名はありません。医学的な病名をつけるとしたら、多くの場合は「うつ病」に近いと考えられます。
バーンアウトの状態からうつ病になることもあれば、うつ病がきっかけでバーンアウトを起こすこともあり、お互いに影響する関係性です。バーンアウトの状態にある方の50〜90%がうつ病の診断基準に当てはまります。とくに、「情緒的消耗感」はうつ病との親和性が高いです。
そのため、治療としてうつ病と同じような方法や薬を使うことがあります。
バーンアウト症候群になりやすい性質とは?
どなたでもバーンアウト症候群に陥る可能性はありますが、なりやすいとされる要因はいくつかわかっています。
<個人的な要因>
- まじめ
- 熱心仕事に対する責任感が強い
- オンオフの切り替えが苦手
- 人と関わろうとする性格、人と関わる仕事をしている
- 若い、経験年数が浅い
<環境的な要因>
- 高い成果が求められる
- ノルマが厳しい
- 人手不足
- 残業や休日出勤が多い
バーンアウト症候群のチェックをしてみよう
「なんだかやる気を失ってしまった」そのような方は、バーンアウトの状態かどうかチェックをしてみませんか?
放っておくと気持ちの落ち込みが進行して、仕事や学校に行けなくなってしまうこともあります。なかなか自分では気が付きにくいかもしれませんが「バーンアウト症候群かもしれないな」「自分は今バーンアウトしているのかも」と思ったら早めに対応を取ることが大切です。
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世界中でよく使われる「MBI(バーンアウト尺度)」を日本向けに改良したテストがあります。それぞれの質問に対して、その程度を「全くない・稀にある・時々ある・しばしばある・いつもある」の中から選び、バーンアウトの傾向をみる方法です。
ここでは、MBIで使われる質問からいくつかご紹介します。ご自身の状態を振り返るきっかけとしてみてください。
(学生の方は、「仕事」を「学校・勉強」などに置き換えてください。)
- 自分の仕事がつまらなく思えて仕方ない
- 職場に行くのが嫌になり、家にいたいと思う
- 1日の仕事が終わると「やっと終わった」と感じる
- 誰とも話したくなくなることがある
- 仕事のために心にゆとりがなくなったと感じる
- 体も気持ちも疲れ果てたと思う
バーンアウト症候群にならないために
バーンアウト症候群に陥ってしまわないよう、日頃から意識しておきたいことについてご紹介します。
ストレスチェックを活用して
職場で、年に1度「ストレスチェックテスト」があると思います。
ストレスチェックテストは、メンタルヘルス不調を予防するために、厚生労働省が事業者に対して義務付けているものです。労働者の義務ではありません。
「めんどうくさい」「結果を会社に知られるのではと心配」と感じる方もいるかもしれませんが、ご自身の状態を知ることができるよい機会です。質問票の内容や結果について会社側は見ることができませんので、ご安心ください。
ご自身がストレスの高い状態にあるかどうかを知れるだけでなく、希望があれば医師(産業医)との面談を行うことができます。産業医は、必要に応じて職場環境(過重労働など)の改善のために働きかけをしてくれます。
産業医との面談をおこなわなくとも、ご自身の心身の状態を客観的に把握する機会になりますので、ぜひストレスチェックを受けてください。また、厚生労働省は、インターネットで回答できる簡単なストレスチェックを公開していますので、そちらを活用するのもよいでしょう。
意識して休息をとる
仕事や学業が楽しく、やりがいに満ちているときには、ついつい無理をしてしまいがちです。もちろん、楽しく取り組むことは素晴らしいことですが、「休息日もスケジュールに入れる」ことを意識しましょう。休むことを忘れてしまうと、バーンアウトしてしまうリスクが高まります。
日曜日は仕事のことをしない、週に1回は趣味の時間をつくる、友人とご飯の約束をする、なんでもけっこうです。休息日を決めて、しっかり心身を休ませましょう。
仕事とプライベートを区別する
仕事とプライベートの区別が曖昧になると、心が休まらず、ストレスが溜まりやすくなります。
自宅に帰ったら仕事のメールや電話を受けない、残業を減らしプライベートの時間をしっかり確保するなど、切り替えを意識するようにしましょう。在宅ワークの方は、オンとオフの切り替えが難しく、ずっと仕事モードが抜けないということもあります。作業をするスペースと休息を取るスペースを仕切って明確にするとよいです。
まとめ
今回は、バーンアウト症候群(燃え尽き症候群)についてご紹介しました。健康と幸せを保つためには、バーンアウトの予防と早期対策が重要です。
頑張りすぎているな、ストレスが溜まっているなという方は、意識的に休息をとるようにしましょう。バーンアウト尺度やストレスチェックテストといったツールを使えば、ご自身の状態について客観的に確認することができます。
また、バーンアウト症候群に陥りそうなとき、心身のつらさを感じたときは、症状が重くなる前に一度専門家へご相談ください。
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参考
- 久保 真人. バーンアウト (燃え尽き症候群) - ヒューマンサービス職のストレス. 日本労働研究雑誌. No. 558/January 2007.
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/01/pdf/054-064.pdf - 厚生労働省 e-ヘルスネット:バーンアウトシンドローム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-047.html - 井川 純一. 日本版バーンアウト尺度とMBI-HSSの異同に関する研究. 心理学研究 2019 年 第90巻第5号, pp.484 - 492.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/90/5/90_90.18230/_pdf