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市販薬と処方薬はどう違う? 花粉症の薬と治療法を解説!

[2022.12.15]

国民病とも言われる花粉症は、日本人の2人に1人が発症するとも言われています。
毎シーズン悩まされている方も多いのではないでしょうか。

日本気象協会の予測によると、2023年は全国的に花粉飛散量が増える地域が多いとしており、いつも以上に心配している方もいるはずです。

今回は「薬を使ってもあまり良くならない」「自分に合った薬がわからない」という方の悩みを解決する情報をお届けします。つらい花粉症にお悩みの方は、ぜひお役立てください。


目次

1.身近になり、副作用が少なめの薬も登場

2.そもそも花粉症はどんな病気?

3.花粉症の薬にはどんなものがある?

4.市販薬の特徴を比較!

5.病院で処方される薬の種類や特徴は?

 


 

身近になり、副作用が少なめの薬も登場

以前は医師の処方が必要だった薬が市販されるようになるなど、より気軽に服用できるようになりました。
さらに1日1回の服用で済み、眠くなるなどの副作用が少なく利用しやすいものも増えています。

また薬以外にも、症状をほぼゼロにして毎日の服薬を不要にする治療法や、花粉症を根本的に治すことが期待できる治療法も登場しています。

完治は難しいと言われる花粉症。
しかし、治療は進化してきていますから、症状や生活スタイルを考慮して、自分自身に合った最適な方法を選択するとよいでしょう。

そもそも花粉症はどんな病気?

季節性アレルギー鼻炎ともいう花粉症

花粉症は医学用語では「季節性アレルギー鼻炎」と言います。

体内に花粉が入ると、免疫システムが花粉を異物(抗原)と判断し、花粉に対抗するための武器である抗体が作られます。
再び花粉が侵入した際に、免疫システムが過剰な抗原抗体反応を起こすと、くしゃみや鼻水などのアレルギー反応が起きてしまうのです。

花粉症のアレルゲンとなる花粉は、約60種類にものぼると言われています。
代表的なアレルゲンは以下のとおりです。

  • スギ(2〜4月)
  • ヒノキ(3〜4月)
  • イネ科(5〜6月)
  • シラカンバ(3月下旬〜6月)
  • ブタクサ(8〜9月)
  • ヨモギ(9〜10月)
  • カナムグラ(8〜10月)

どのアレルゲンに反応するかは人それぞれです。
春秋が花粉のピークですが、人によっては一年を通して症状が出ることもあります。

2023年は花粉量が増える予測。早朝や夕方は特に注意

日本気象協会の発表によると、2023年春の花粉飛散量は前シーズンよりも増加傾向にあるとされています。
北海道や東海の静岡県以外の県は前シーズンよりやや少ない一方で、それ以外の県はやや多いか、非常に多いという予測でした。

また、1日のうちでも花粉の飛散量は異なり、ピークは1日2回です。
花粉は早朝に飛散し始め、昼頃に一旦落ち着きます。
しかし夕方気温が下がると地面に落ちた花粉が舞い上がったり、上空に止まっていた花粉が落ちてきたりするため、飛散量が再び増えてしまうのです。

花粉症シーズンは早朝から昼、夕方の2回のピークに特に注意しましょう。

花粉症の薬にはどんなものがある?

花粉症の薬には、医療用医薬品(処方薬)とOTC医薬品(市販薬)の二種類があります。

処方薬も市販薬も症状を一時的に抑えるための対症療法的な薬が中心で、それぞれ内服薬(飲み薬)・点鼻薬・点眼薬があります。
点鼻薬は鼻の粘膜に滴下したり、噴射したりして使用するもので、点眼薬はいわゆる目薬です。
市販薬と共通する成分の薬もありますが、処方薬には以下のような種類があります。

内服薬

抗ヒスタミン薬(第1、第2世代)

抗ロイコトリエン薬

ステロイド薬

漢方

点鼻薬

局所ステロイド点鼻薬

血管収縮性点鼻薬

点眼薬

抗ヒスタミン点眼薬

抗アレルギー点眼薬

ステロイド点眼薬


内服薬の抗ヒスタミン剤は、一部市販薬としても手に入るものがあります。

手軽に利用できる市販薬。コストで優位な処方薬

花粉症の市販薬はドラッグストアなどで購入できるため、手軽に利用できるのが特徴です。

「処方薬の方が効果が高いのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、実は花粉症の薬として代表的なアレグラやアレジオンは、処方薬と成分が同じ量のものが市販薬として販売されています。
(ただし、使用できる症状の範囲が異なります)
また、安全面に考慮して成分の含有量を減らしたものも販売されており、選択肢があるのも市販薬の特徴です。

通院の手間がかかりますが、継続的なコストを考えた場合はジェネリック医薬品なども選べる処方薬が有利です。
市販薬にも点鼻薬や点眼薬はありますが、内服薬と組み合わせて使用したいといった場合は、病院を受診してまとめて処方してもらったほうがよいでしょう。

花粉症は症状が出る前からの対策が大切

初めて「花粉症かな?」と感じた場合は、まず病院を受診しましょう。
花粉症の症状は新型コロナウイルス感染症の症状と似ているため、自己判断をしてしまうと感染を広げてしまう恐れもあるためです。

一般的に、病気の場合は症状が出て初めて治療を行いますが、花粉症の場合は予防療法が認められています。
毎シーズン花粉症に悩まされているなら、花粉が飛び始める約2週間前から治療を始めると、症状が軽くなったり、使用する薬の量を減らしたりといった効果が期待できるので、つらい症状をお持ちの場合は早めに病院を受診するとよいでしょう。

花粉の症状の度合いは、花粉の飛散量で変わってきます。
飛散量が減って一時的に症状が治ったからといって薬の使用をやめてしまうと、飛散量が増えるとまた症状が悪化してしまうので注意しましょう。
症状が治ったように感じても、服用を続けることが大切です。

もし薬を服用しても症状がよくならない場合は、薬が合っていない可能性があります。
その場合は病院で相談するようにしてください。

市販薬の特徴を比較!

市販薬の使用を考えているのなら、それぞれの薬の特徴を理解しておきましょう。
市販薬は内服薬・点鼻薬・点眼薬などがありますが、製品によって成分や作用が異なります。

市販薬に含まれる代表的な成分は以下のとおりです。
購入する際の参考にしてみてください。

  • ケトチフェンフマル酸塩:抗ヒスタミン剤(ヒスタミンや炎症物質の作用を抑える)
  • メキタジン:抗ヒスタミン剤(ヒスタミンの作用を抑える)
  • フェキソフェナジン塩酸塩:抗ヒスタミン剤(ヒスタミンの作用を抑え、アレルギー症状を和らげる)
  • エバスチン:抗ヒスタミン剤(ヒスタミンの作用を抑え、アレルギー症状を和らげる)
  • エピナスチン塩酸塩:抗ヒスタミン剤(ヒスタミンの作用を抑え、アレルギー症状を和らげる)
  • セチリジン塩酸塩:抗ヒスタミン剤(アレルギー反応を抑制する)
  • クロモグリク酸ナトリウム:抗アレルギー薬(アレルギー症状を引き起こす物質の放出を防ぐ)
  • ジフェニルピラリン塩酸塩:抗ヒスタミン剤(くしゃみや鼻水の症状を和らげる)
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩:抗ヒスタミン剤(くしゃみや鼻水の症状を和らげる)
  • テトラヒドロゾリン塩酸塩:交感神経刺激成分(鼻水・鼻詰まりを一時的に和らげる)
  • ナファゾリン塩酸塩:交感神経刺激成分(鼻水・鼻詰まりを一時的に和らげる)
  • フェニレフリン塩酸塩:交感神経刺激成分(鼻水・鼻詰まりを一時的に和らげる)
  • プソイドエフェドリン塩酸塩:交感神経刺激成分(鼻水・鼻詰まりを一時的に和らげる)
  • ベラドンナ総アルカロイド:副交感神経遮断成分(鼻水・鼻詰まりを抑える)
  • グリチルリチン酸二カリウム:抗炎症成分(鼻粘膜の炎症を抑える)
  • リゾチーム塩酸塩:消炎酵素成分(鼻水の海粘液を分解し園主を鎮める)
  • サイシン:生薬成分(鼻水・鼻詰まりを和らげる)
  • シンイ:生薬成分(鼻水・鼻詰まりを和らげる)

自分にあった薬はどれ? 主な市販の飲み薬を比較

花粉症用の市販鼻炎薬(内服薬)はさまざまなものがありますが、よく知られているものにアレジオン・アレグラ・クラリチン・エバステルなどがあります。
いずれもアレルギー性鼻炎によるくしゃみ・鼻水・鼻詰まりにおすすめの市販薬です。

それぞれの薬の特徴を比較しましたので、購入の際の参考にしてみてください。

 

配合されている抗ヒスタミン剤

飲み方

眠気

効果

年齢

アレジオン20(エスエス製薬)

フェキソフェナジン塩酸塩

1日1回

ややあり

やや強い

15歳以上

アレグラFX(久光製薬)

エピナスチン塩酸塩

1日2回

なし

やや強い

15歳以上

(7〜14歳用あり)

クラリチンEX(大正製薬)

ロラタジン

1日1回

ほぼなし

やや強い

15歳以上

エバステル(興和株式会社)

エバスチン

1日1回

ほぼなし

強い

15歳以上


どの市販薬を使用しても、眠気や効果には個人差があります。
また、いずれも口の渇きや便秘、下痢、吐き気、倦怠感などの副作用が出る可能性は0ではありません。
異変を感じたらすぐに使用をやめ、病院を受診するようにしてください。

市販薬に点鼻薬、点眼薬も登場。効果と使用感で選ぶ手も

花粉症に使用される点鼻薬は、ステロイド薬が一般的です。
市販薬として認められているステロイド剤は「べクロメタゾン」と「フルチカゾン」がありますが、「フルチカゾン」は要指導医薬品に該当するため通販が認められておらず、対面での販売が必要です。

市販の点鼻薬として代表的なものは、「ナザール」と「フルナーゼ」があります。

 

主成分

使用回数

年齢

ナザール

ベクロメタゾンプロピオン酸エステル

1日2回
(左右各1回噴射・1日最大4回まで使用可)

18歳以上

フルナーゼ点鼻薬

フルチカゾンプロピオン酸エステル

1日2回
(左右各1回噴射・1日最大4回まで使用可)

15歳以上


点眼薬は抗アレルギー成分を配合したものが主流です。
処方薬と同じ成分を配合したものや、清涼感をプラスしたものなどが販売されています。

病院で処方される薬の種類や特徴は?

花粉症で病院を受診して処方される薬は、内服薬・点鼻薬・点眼薬があります。

まずは代表的な内服薬から見ていきましょう。

  • 抗ヒスタミン剤(第1、第2世代):ヒスタミンの作用を抑える薬で、市販薬にも配合されている。
  • 抗ロイコトリエン薬:鼻詰まりや鼻粘膜の炎症を誘発するロイコトリエンの作用を抑える。抗ヒスタミン剤と併用されることが多い。
  • ステロイド薬:抗ヒスタミン剤や抗ロイコトリエン薬で効果がない時や症状が重い場合に処方される。副作用が出やすいため、短期間の服用が望ましい。
  • 漢方薬:小青竜湯が代表的。副作用の心配が少ない。

次に代表的な点鼻薬を紹介します。

  • 局所ステロイド点鼻薬:吸収されにくく素早く分解されるので、副作用が出づらい。鼻水・鼻詰まり・くしゃみに効果が期待できる。
  • 血管収縮性点鼻薬:一時的に鼻詰まりを解消する。連続して使用すると効果が薄れたり、症状が悪化したりする恐れあり。

最後に代表的な点眼薬を紹介します。

  • 抗ヒスタミン点眼薬:かゆみの原因物質が発生するのを予防する。即効性はない。
  • 抗アレルギー点眼薬:発生したかゆみの原因物質の作用を抑える。即効性がある。
  • ステロイド点眼薬:ひどい症状やすぐに症状を抑えたい時に効果が期待できる。長期間の使用は危険。

花粉症で処方される薬は、内服薬の抗ヒスタミン剤(第2世代)が一般的です。
抗ヒスタミン剤だけでは症状の改善が見られない場合は、点鼻薬や点眼薬が処方されることがあります。
それでも効果がない場合は、他の抗ヒスタミン剤に切り替えたり、別の治療法を提案されたりすることもありますので、医師に相談してみましょう。

2019年に重症花粉症用の薬として、ゾレアという注射薬が保険適用になりました。
ゾレアの投与を受けるにはさまざまな条件があり、取り扱っている病院も限られています。
費用も他の治療と比べると高額ですが、重度の花粉症に悩まされているのなら一度相談してみるとよいでしょう。

花粉症の根治を目指せる? 新しい治療法も登場

病院を受診する場合でも、薬での対症療法が主流ですが、レーザー治療や減感作療法といった根治を目指せる治療法も登場しています。

レーザー治療法は、鼻腔の下甲介粘膜にレーザーを照射し、アレルギー反応が起きる箇所を減らして鼻詰まりの解消やくしゃみ・鼻水などの症状軽減を目指せる治療です。

減感作療法はアレルゲンエキスを投与することで、少しずつアレルゲンに体を慣らす治療法です。
代表的なのは舌下免疫療法で、舌の裏側に治療薬を一定期間保持した後に飲み込みます。即効性はなく数年かけての治療が必要ですが、続けていくことで少しずつアレルギー反応を弱めることができます。

 

【参考】

アレジオン20(https://www.ssp.co.jp/alesion/
アレグラFX(https://www.allegra.jp/
クラリチンEX(https://brand.taisho.co.jp/claritin/
エバステルAL(https://hc.kowa.co.jp/otc/484
ナザールαAR(https://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/product/2184/
フルナーゼ点鼻薬(https://www.flunase.jp/

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