コロナで鼻血は出るの? 因果関係や鼻血が出たときの対処法
新型コロナウイルスの感染拡大で、普段なら気に止めることもないちょっとした症状や体調の変化にも敏感になってしまいますよね。その一つに鼻血があります。
鼻血は誰にでも起こりうるものですが、急に鼻血が出ると「もしかしてコロナと関係ある?」と不安になってしまうのではないでしょうか。
そこで今回は、鼻血とコロナの因果関係や、鼻血が出た時の対処法について解説します。
なかには注意したい鼻血もありますので、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
1.コロナとの因果関係は不明。物理的刺激など別の原因の可能性も
コロナとの因果関係は不明。物理的刺激など別の原因の可能性も
コロナに感染した人のなかには、鼻血の症状を訴えた人もいます。
ただ、鼻血とコロナの因果関係はわかっておらず、鼻血症状を訴えた人もコロナ患者の10%未満です。
実は鼻血が出てしまう原因のほとんどは、物理的な刺激によるものです。
コロナに感染して鼻から検体を採取するタイプのPCR検査や抗原検査を受けた場合、綿棒が鼻の粘膜を傷つけてしまい、鼻血が出ることがあります。
普段から鼻血が出やすい方や、頻繁に検査をする必要がある方は、唾液から検体を採取する検査方法を検討してみましょう。
鼻血の90%は物理的な刺激が原因と言われていますが、なかには注意しなければならない鼻血もあります。
子どもは大人と比べると鼻血が出ることが多いですが、この場合も物理的な刺激による鼻血であることがほとんどです。
歯茎などそのほかの場所から出血が見られないようであれば、過度に心配する必要はありません。
コロナで鼻血が出ている人はいる?
千葉県が発表している新型コロナウイルス感染者の中で、20代女性で発症時の鼻血症状を訴えたケースが報告されています。
新型コロナウイルスの一般的な症状は発熱・咳・倦怠感・味覚障害・嗅覚障害などがありますが、それ以外にも症状はあり、そのうちの一つに鼻血も報告されています。
実際にどのような症状があり、どれくらいの人がその症状を訴えているのかを見てみましょう。
- 咳:50%
- 発熱:43%
- 筋肉痛:36%
- 頭痛:34%
- 息切れ:29%
- 喉の痛み:20%
- 嗅覚または味覚異常:10%未満
- 腹痛:10%未満
- 鼻血:10%未満
このように、コロナに感染した人のなかには鼻血症状を訴えているケースが10%未満ですがあります。
ただし、現在のところ、新型コロナウイルスと鼻血の関連性は指摘されていません。
ちなみに、上記以外に報告されている新型コロナウイルスの症状には、嘔吐・下痢・結膜炎・息苦しさ・胸痛・食欲減退などがあります。
コロナ患者で鼻血が出る原因は?
新型コロナウイルスとは因果関係が指摘されていない鼻血ですが、どうしてコロナ患者で鼻血症状が出ている人がいるのでしょうか。考えられる原因を紹介します。
物理的な刺激により、鼻粘膜が傷ついて出血する
一般的に鼻血が出てしまう原因は、鼻を強くかむ・鼻をほじるなどの物理的な刺激で鼻の粘膜が傷ついてしまい、血管が破れてしまうことです。
鼻血が起きてしまう原因の90%は、鼻の穴の入り口から1〜1.5cm程度のところにあるキーゼルバッハ部位が傷ついてしまうからだと言われています。
この部位には鼻粘膜の血管が集中している上に血管がほとんど保護されておらず、ちょっとした刺激で出血してしまいやすいのです。
風邪、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などで鼻をかむ回数が増えるとキーゼルバッハ部位が傷ついて鼻血が出やすくなってしまいます。
コロナに感染し、風邪に似た症状が出た場合、鼻をかむ回数が増えて、鼻血が出てしまう可能性は十分に考えられるでしょう。
検体採取が鼻血の原因であることも
コロナ感染の疑いがあると、PCR検査や抗原検査が行われますが、検査方法の一つに鼻から検体摂取する方法があります。
鼻から検体摂取をする際は鼻に綿棒を入れますが、その際に鼻血が出てしまうケースもあるようです。
実際にこんな体験談がありました。
“この頃は、PCR検査で2回続けて陰性が出ないと自宅に帰れないルールだったのですが、なかなか陰性になりませんでした。ほぼ毎日PCR検査をしていたので、最後の頃は鼻血が出てしまいました。”
引用:Humony International 「第9回 軽症者も苦しむ新型コロナウイルス感染症の後遺症」
特に鼻血が出やすい人や短期間で何度も検査が必要な人は、検査時に鼻の内側が傷ついて鼻血が出てしまうことがあります。
鼻から検体を採取する方法は検査精度が高いと言われていますが、鼻血が出てしまうとPCR検査や抗原検査で正確な検査ができません。
その場合は、唾液から検体を採取する検査に切り替えれば、鼻血を防いで検査ができます。
オスラー病の方は唾液採取も検討を
鼻から検体を採取する方法には鼻腔からと鼻咽頭からの二種類がありますが、鼻腔から採取する場合、オスラー病の方は注意が必要です。
指定難病であるオスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は血管がもろくなってしまい、体のさまざまな場所から出血してしまう病気です。
鼻血が出てしまうケースも多く、一度出血するとなかなか止まらなくなってしまいます。
オスラー病を発症している方は、検査時にそのことを伝え、唾液から検体を採取する方法も相談してみましょう。
鼻血が出たとき、どう対処すればいい?
鼻を強くかんだり、PCR検査や抗原検査で鼻血が出てしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
巷には間違った対処法も広まっていますから、今一度正しい対処法を知っておきましょう。
鼻血が出た場合、まず鼻を両側から強く押さえます。
この時、キーゼルバッハ部位を押さえるのがいいと言われていますので、鼻の下1/3か鼻の入り口から1〜1.5cm程度の場所を押さえましょう。
押さえる時は、顔を下に向けて押さえてください。こうすることで出血した血液を飲み込まずに済みます。
もし口の中に入ってきたら、そのまま吐き出しましょう。
その状態で5分程度押さえ続けます。
途中で「そろそろ止まったかな?」と確認したくなるかもしれませんが、力を抜くと血がなかなか止まらなくなります。
5分続けてまだ止まらないようであれば、同じようにしてもう一度5分間鼻を押さえ続けましょう。
もし10分以上押さえても鼻血が止まらない場合は、鼻腔内の奥にある動脈から出血している可能性があります。
この場合、出血量がかなり多く圧迫だけでは止血が難しいので、医療機関を受診してください。
一般的に知られている方法でありながらも、間違った鼻血の対処法は以下のようなものがあります。
- 上を向く
- 首の後ろを叩く
- 仰向けで横になる
- 鼻を冷やす
- 鼻をかむ
- ティッシュを詰める
これらは間違った対処法ですから、鼻血が出ても行わないようにしてください。
注意したい鼻血もある
物にぶつかる・鼻をかみすぎるなどの物理的な刺激や、鼻粘膜の乾燥などが原因で鼻血が出るのはよくあることなので、心配する必要はありません。ただ、鼻血のなかには注意しなければならないものもあります。
注意したい鼻血を紹介しますので、よく鼻血が出るという方は当てはまるものがないか確認してみましょう。
また、該当する場合はできるだけ早く医師の診察を受けてください。
1.高血圧や動脈硬化
高血圧や動脈硬化が進行して血管がもろくなると、動脈から出血が起こりやすくなり、鼻血が出やすくなってしまうことがあります。
この場合の鼻血はきっかけがなくても起こり、急に出血して止まらなくなったり、出血量がかなり多かったりすることもあるのが特徴です。
血圧が高い場合は、常に血管に強い圧力がかかってしまうため、血管がもろくなります。
また、動脈硬化の場合は動脈の壁が厚くなり、弾力を失ってしまって血管が破れやすくなってしまうのです。
緊張や興奮、のぼせや飲酒など、血圧が上がってしまう要因も鼻血が出やすくなる原因になりますから、高血圧や動脈硬化を抱えている方は注意して過ごしましょう。
2.鼻の腫瘍
鼻腔内に腫瘍がある場合、その一部から出血して鼻血が出てしまうことがあります。
腫瘍が原因で鼻血が出た場合、自力での止血が難しいことが多いので、医療機関を受診しましょう。
鼻の腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍がありますが、どちらの場合もよくある症状としては、片側の鼻詰まりや鼻血があります。
鼻にできる悪性腫瘍は中年以降、特に60代に多く、初期症状が感じにくいため、発見が遅れてしまうケースも多いです。
かつては副鼻腔の上顎洞に腫瘍ができるガンが多かったのですが、現在は鼻腔にできるガンや上顎洞以外にできるガンが増えていると言われています。
3.白血病
血液のガンと言われる白血病は、骨髄でガン化した白血球細胞が増殖し、正常な白血球が作られなくなってしまう病気です。
白血病を発症すると、赤血球や血を止める効果を持つ血小板が減少してしまうため、体のさまざまなところから出血しやすくなり、鼻血が頻繁に出てしまうことがあります。
鼻に触っていない・傷つくような物理的な刺激もない・鼻の中が乾燥したり荒れたりしていないにもかかわらず、鼻血が頻繁に出たり、歯茎から出血があったりするのであれば、注意が必要です。
鼻血や歯茎からの出血以外の白血病の症状は、動悸や息切れ、発熱、倦怠感、頭痛、めまいなどがあります。
また、ちょっとした刺激でアザができてしまうのも白血病によくある症状です。
4.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
特発性血小板減少性紫斑病は、免疫機能に異常が起きて脾臓で血小板が次々と破壊されることで、出血が起きやすくなり、止血しづらくなる病気です。
初期症状としては、体や顔に小さな点のような内出血がたくさん起こります。
進行すると大きな青あざができるほか、鼻血・血尿・血便などの症状が現れ、重症化すると脳出血が起きてしまう恐れがあります。
また女性の場合は、生理の量が増えたり、止まりにくくなって期間が長くなったりすることもあるようです。
5.ストレスの影響
過剰なストレスに晒されている生活をしているのであれば、前述のオスラー病の疑いもあります。
難病指定されているオスラー病は遺伝性出血性毛細血管拡張症とも呼ばれる遺伝性の疾患です。血管が拡張することで出血が起きやすくなってしまい、鼻血はもちろん、体のほかの場所からたびたび出血してしまいます。
鼻血が頻繁に出たり、手足にポツポツとした赤い斑点が出たりするのであれば、一度医療機関を受診しましょう。
オスラー病患者で40代以上の人の9割が頻繁に鼻血が出てしまうと言われています。
6.抗血小板薬や抗凝固薬の影響
脳梗塞や心筋梗塞などを発症したことがある場合や不整脈の治療などをしている場合で、抗血小板薬や抗凝固薬を服用している方は、薬の影響で鼻血が出てしまうことがあります。
抗血小板薬や抗凝固薬は血を固まりにくくする効果を持っているため、鼻血が出やすくなってしまうのです。
この場合、鼻の圧迫だけでは止血できないことがあるので、その場合は医療機関を受診しましょう。
鼻血が頻繁に出ると心配になるかもしれませんが、抗血小板薬や抗凝固薬の服用を中断する必要はありません。
服用をやめてしまうと、血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞が起きやすくなってしまいます。
あまりに頻繁に鼻血が出て不安を感じる場合は、自己判断で服用はやめず、必ずかかりつけ医に相談してください。
子どもはなぜ鼻血をよく出すの?
小さな子どもは、大人に比べて頻繁に鼻血が出ることが多いです。
親御さんとしては心配になるかもしれませんが、お子さんの鼻血のほとんどは、指で鼻をほじるなどして鼻の粘膜が傷ついて鼻血が出る単純性鼻出血であると言われています。
歯茎や白目などほかの箇所から出血が見られないのであれば、心配する必要はありません。
ただ、アレルギー性鼻炎を持っているお子さんは鼻の痒みを感じやすいため、無意識に鼻をいじってしまって鼻血が頻繁に出ることがあります。
しょっちゅう鼻をゴシゴシするような仕草をしているのであれば、一度検査をしてみましょう。
元となる病気を治療すれば、鼻血も改善する可能性が高いです。