コロナで息苦しいときの対応 救急車を呼ぶタイミングはどんなとき?
コロナに感染して息苦しさを感じたとき、「どうすればいいの?」「救急車を呼んでもいいのかな?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
自宅療養中のかたも多い今、万が一のことを考えて、非常に不安になっている方も多いはずです。
そこで、今回はコロナの息苦しさをチェックする指標や対処法、救急車を呼ぶタイミングなどについてわかりやすく解説します。
現在無症状の方も急に症状が出ることがありますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
息苦しさは救急車を呼ぶサインかも。急変に注視を
コロナに感染して自宅療養を行っている場合、発症時は軽症でも症状が急変することもあります。
例えば「息が荒い(呼吸数が多い)」「座らないと息ができない」などいつもとは明らかに違う息苦しさを感じる場合、それは救急車を呼ぶべきサインかもしれません。
発症時に軽症や無症状だったとしても、異変があればすぐに救急車を呼びましょう。
また、厚生労働省や保健所から指示のある健康チェックをおこない、該当する場合はかかりつけ医や保健所等に相談するようにしてください。
飲酒習慣や喫煙習慣がある方は、療養中は飲酒・喫煙は厳禁です。
軽症・無症状だったとしても、正確な健康状態の把握ができず、症状を悪化させる原因にもなりますので、飲酒や喫煙は絶対に控えましょう。
コロナの感染を疑っているかたへ
息苦しさや倦怠感で「もしかしてコロナかもしれない」と疑っているのであれば、まずはかかりつけ医や近くの内科への電話相談をおこないましょう。
厚生労働省は、以下に当てはまる場合すぐに相談するように示しています。
- 息苦しさ
- 強いだるさ
- 高熱
- 発熱・咳などの軽い風邪症状(高齢者・持病のある方)
- 発熱・咳などの比較的軽い風邪症状が続いている(高齢者・持病のある方以外)
また、コロナに関することで相談したい方、不安なことがある方は厚生労働省の電話相談窓口でも相談を受け付けています。
厚生労働省電話相談窓口(コールセンター)
電話番号:0120-565-653
対応時間:9〜21時
各都道府県・保健所でも電話相談をおこなっていますから、お住まいの都道府県のホームページをご確認ください。
ただし、現在どの電話相談窓口も混み合っていて、なかなか繋がらないことがあります。
薬局でセルフチェック用に抗原検査キットを販売していますので、それを使って確認するのも一つの方法です。
2022年7月現在、神奈川県では医療のひっ迫を抑えるために、発熱があっても重症リスクが低い人には発熱外来を受診せず、自分で検査をして陽性の場合は自主療養をおこなうように促しています。
東京都も同じ流れになる見込みです。
自治体ごとに対応が異なるため、必ずお住まいの都道府県の情報をよく調べましょう。
コロナに感染したかたへ
医療機関での検査や自分でおこなう抗原検査で陽性となった場合、持病の有無や年齢、症状などを保健所が総合的に判断し、自宅療養・ホテル療養・入院のいずれかをおこなうことになります。
保健所の判断や対応は自治体によって異なりますから、各都道府県のホームページを確認しましょう。
自宅療養になるケースが多いですが、軽症で自宅療養をしていても体調が急変することもあります。
以下の症状のいずれかに該当する場合は、速やかに119番通報して救急車を要請してください。
- 顔色が明らかに悪い※
- 唇が紫色になっている
- いつもと違う・様子がおかしい※
- 息が荒くなった(呼吸数が多くなった)
- 日常生活の中で少し動くと息が上がる
- 胸の痛みがある
- 横になれない・座らないと息ができない
- 肩で息をしている・ゼーゼーしている
- ぼんやりしている(反応が弱い)※
- もうろうとしている(返事がない)※
- 脈が飛ぶ・脈のリズムが乱れる感覚がある
- 酸素飽和度が90以下
※印のチェック項目は、家族や同居者がチェックしましょう。
また以下の項目のいずれかに該当する場合は、救急車を呼ぶ必要はありませんが、すぐにかかりつけ医や保健所、自治体のコロナ相談窓口に連絡してください。
- 自宅内での生活動作(自宅内移動・食事・トイレ・着替えなど)がつらい
- 咳がひどい・痰が多い・発熱が続いている
- 経験したことがないひどい倦怠感がある
- 酸素飽和度が93以下
また、上記の症状はないものの、以下の項目に該当する場合は、様子を見てかかりつけ医や保健所、自治体のコロナ相談窓口に連絡するようにしましょう。
- 息切れがある
- 全身倦怠感がある
- 酸素飽和度が94か95
ここまで紹介した症状はないものの、以下の症状があり、悪化している場合もかかりつけ医や保健所、自治体のコロナ相談窓口に相談してください。
- 発熱・咳・感冒様症状は軽い
- 咳のみで息切れはない
- 味覚障害がある・鼻は詰まっていないのに味覚障害がある
- 軽い倦怠感がある
- 酸素飽和度が96
自宅療養や宿泊療養をする際はかかりつけ医や保健所から指示があるはずですが、常に医療従事者に状態を確認してもらえるわけではありません。
変化があればすぐに適切な対応ができるよう意識しておきましょう。
息苦しさをチェックする指標
自宅療養をする場合、自分自身もしくは同居する家族により毎日原則2回、パルスオキシメーターを使った酸素飽和度の計測・体温測定・顔色や息苦しさなどの症状の変化などをおこなうよう指示があります。
パルスオキシメーターとは、採血せずに酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を図ることができる装置のことです。
日本語では経皮的動脈血酸素飽和度測定器と呼ばれ、主流になっているのは大きなクリップで指先を挟んで測定を行うタイプのものです。
現在多くの自治体が、自宅療養者に対してパルスオキシメーターの無償貸し出しを行っています。
ただし、自治体によっては年齢や基礎疾患の有無で貸し出しされないこともありますので、お住まいの都道府県や市区町村のホームページでご確認ください。
コロナに感染し、発症時は無症状だったり軽い症状だったりした場合でも、療養中に症状が急激に悪化したケースは少なくありません。
強い息苦しさを感じていなくても、かならず1日2回は以下のチェックポイントを確認しましょう。
- 息が荒くなった・呼吸数が多くなった
- 急に息苦しくなった
- 日常生活のなかで動くと息があがる
- 胸の痛みがある
- 横になれない・座らないと息ができない
- 肩で息をしている・ゼーゼーしている
また、チェックポイントに加えて、必ず毎回酸素飽和度と体温の計測をおこなってください。
呼吸不全が起きていても自覚症状なく重症化することがありますが、パルスオキシメーターを使って酸素飽和度を測定すれば、重症化リスクを抑えられます。
コロナの軽症〜重症の違いについて
コロナの症状は大きく分けると軽症・中等症・重症の3つに分類され、中等症はさらに1と2に分けられます。
厚生労働省作成の「新型コロナウイルス感染症診療の手引き第5版」によると、各症状の重さは以下の基準となっています。
症状の重さ |
症状 |
重症 |
集中治療室での治療や人工呼吸器が必要 |
中等症2 |
酸素投与が必要 酸素飽和度93%以下 |
中等症1 |
呼吸困難・肺炎の症状がある 酸素飽和度93〜96% |
軽症 |
肺炎の症状がない 酸素飽和度96%以上 |
コロナに感染した人の重症化率は1.6%で、死亡率は1.0%です。
しかし、死亡した人の約70%は発症時は軽症か無症状だったこともわかっているため、軽症や無症状と言っても軽く見ることはできません。
ここからは中等症と重症の症状について解説しますので、ご自身の症状を見分けるために役立ててみてください。
まず、中等症の症状の特徴から紹介します。中等症1の特徴は以下の通りです。
- 酸素飽和度93〜96%
- 呼吸困難の症状は見られるが呼吸不全ではない
- 肺炎の症状が見られる
呼吸困難とは、息がしづらい・息が詰まるといった状態のことです。
呼吸不全は、呼吸器の機能が低下し、血中の酸素濃度が命に関わるレベルまで低下した状態のことですが、中等症1の場合は、この呼吸不全までは至っていません。
肺炎は胸の痛みや激しい咳などが症状です。また肺炎から呼吸困難も引き起こされます。
ただ、酸素飽和度が低下していても自覚症状がない人もいます。中等症1と認められた場合は、入院した上で医師による観察が必要です。
次に中等症2の特徴を紹介します。
- 酸素飽和度93%以下
- 呼吸不全を起こしている
- 酸素投与が必要
中等症2になると酸素飽和度がさらに低下し、自力での呼吸が難しくなります。そのため、酸素マスクを使用して酸素を強制的に肺に送り込む酸素投与が必要です。
中等症1から中等症2に症状が悪化した場合、高度医療をおこなえる医療機関への転院が検討されます。
最後に重症まで悪化した場合の特徴は、以下の通りです。
- 集中治療室での治療が必要
- 人工呼吸器が必要
重症まで進むと肺炎の症状がさらに悪化し、自力での呼吸ができなくなります。
そのため集中治療室で、酸素を送り、圧をかけて肺を広げる人工呼吸器を装着しなければなりません。
人工呼吸器は酸素投与よりも強く酸素を送る方法ですが、さらに容態が悪化すると、人工呼吸器でも呼吸ができなくなります。
その際は、人工心肺装置であるエクモにつないで治療がおこなわれます。
正常な肺は酸素を血液に取り入れ、血液から二酸化炭素を取り出すことができるのですが、人工呼吸器でも呼吸ができないほど病状が進行すると、体外に出した血液にエクモで酸素を取り込み、二酸化炭素を取り出して体内に戻す必要があるのです。
軽症から突然肺炎や呼吸困難になることも
コロナに感染して軽症だからといって、軽く考えることはできません。
発熱から1週間ほど経過したのち、軽症だった人が急に呼吸困難を起こし、咳が止まらなくなったというケースもあります。
発症から時間が経って息苦しさを感じたり、咳が止まらなかったりという症状があれば、速やかにかかりつけ医や厚生労働省・各自治体の相談窓口などに連絡しましょう。
また、オミクロン株に感染した患者さんのなかには、喉の奥が腫れて気道が塞がってしまい、呼吸困難になる症状も複数報告されています。
これは上気道狭さくと言われる症状ですが、なかには喉の切開が必要になったケースもあります。
血液中の酸素飽和度は直前まで異常が認められないこともあり、自覚症状がないこともあって、軽症と判断されてしまうことも珍しくありません。
息苦しさや唾を飲み込むのもつらい喉の痛みなどがある場合は、早めにかかりつけ医や近くの医療機関に相談して、受診するようにしましょう。
呼吸を楽にするにはどうすればいい?
軽症と判断されていても、息苦しさを感じてしまうことはあります。
呼吸を楽にするには、どうすればいいのでしょうか?3つの方法を紹介しますので、参考にしてみてください。
1.口すぼめ呼吸を取り入れる
自宅で息が苦しくなった時に呼吸を楽にするには、独立行政法人環境再生保全機構が紹介している「口すぼめ呼吸」がおすすめです。
最初は吐き出す息を意識しながら、軽く口をすぼめて息を吐きます。
息を吐く長さや呼吸の回数は気にする必要はありません。
呼吸を繰り返しながら、息を吐く時に少しずつ口すぼめを強くしていきましょう。
吸う息1に対して、吐く息が2倍以上になるように、口をすぼめていきます。
口をすぼめすぎると息切れしてしまうこともあるので、注意しながらおこないましょう。
口すぼめ呼吸は、鼻から吸った息を少しずつすぼめた口から吐く呼吸法です。
この呼吸法をおこなうと、気管支が広がるため、通常の呼吸よりもたくさんの空気が吸い込めます。
2.歩くリズムに呼吸を合わせる
外出時や動作時に息切れを起こすと、不安や恐怖に襲われてパニック状態になってしまうこともあります。
息苦しさが悪化した場合、かかりつけ医や近くの内科への受診が指示されていますが、息切れを改善し、不安や恐怖を自分でコントロールすることも大切です。
そこで覚えておきたいのが、歩くリズムに合わせて呼吸する方法です。
長く息を吐きながら4歩、息を吸いながら2歩というように呼吸と歩くリズムを合わせます。
無理に長く息を吐く必要はないので、可能な範囲で呼吸と歩数を合わせましょう。
この呼吸法は息苦しくなってから始めるのではなく、動作前にまず呼吸を意識することがポイントです。
3.腕を使って休み、呼吸に集中する
強い息苦しさを感じた場合は、壁や机などに腕を当て、呼吸に集中してみましょう。
両腕を重ねた上に頭を置いて、体重を預けてください。机で行う場合は、居眠りするようなポーズのイメージです。
そのまま呼吸することに集中します。
壁や机に腕を当てて体重を預けると、肩甲骨周りや首周りの筋肉の緊張が取れ、呼吸に集中しやすくなるはずです。
あくまで一時的に息切れを改善する方法ですが、息苦しさを感じたときは実践してみましょう。
症状を悪化させないために、飲酒と喫煙は厳禁
日頃から飲酒や喫煙の習慣がある方がコロナ陽性判定を受けた場合、飲酒と喫煙は厳禁です。
療養中に飲酒や喫煙をすると、健康状態を正確に把握できません。
また飲酒や喫煙がコロナの症状を悪化させてしまう可能性があるので、絶対に控えるようにしましょう。