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LDLコレステロールの正常値とは?高い場合のリスクや改善方法を解説

[2023.01.18]

一般的に健康診断などで指摘される名称は一括りに「コレステロール」ですが、コレステロール値にもLDLとHDLが存在します。

今回はコレステロールの中でも”LDL”と”HDL”の違いや、それぞれの正常値、またコレステロールが高い場合のリスクと改善方法を解説していきます。

LDLコレステロールとHDLコレステロールの違い

一般的にコレステロールと一言でまとめられますが、コレステロールと呼ばれる数値には下記の2つがあります。

  • LDLコレステロール
  • HDLコレステロール

LDLコレステロールとHDLコレステロールは物質としては同じものですが、体内での役割が異なります。それぞれ分けて見ていきましょう。

LDL(悪玉)コレステロールとは

肝臓で合成されたコレステロールは血管や全身へ流れていきますが、その中でも血管へ流れていくものがLDLコレステロールです。血管へ流れ出たLDLコレステロールは、過剰なコレステロールを血管壁に残して動脈硬化を促進させるため、「悪玉」コレステロールとも言われます。

また、LDLコレステロールは日本において、血管疾患や脂質異常症などの診断基準として用いられる数値です。参考までに「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」の脂質異常症の診断基準は以下の表の通りです。

数値

症状名

140mg/dL以上

高LDLコレステロール血症

120〜139mg/dL

境界域高LDLコレステロール血症

糖尿病合併症や喫煙などの他の因子がある場合は、LDLコレステロール値は100mg/dL未満が目標数値とされています。

HDL(善玉)コレステロールとは

HDLコレステロールはLDLコレステロールと異なり、血管から余計なコレステロールを回収して肝臓へ戻す役割があるため善玉コレステロールと呼ばれます。

LDLコレステロールと違い不要なものを掃除してくれる役割があることから、少ない方がさまざまな疾患のリスクが高まるもので、HDLコレステロールの数値はメタボリックシンドロームの診断基準にも用いられています。

また前述の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版における、脂質異常症の診断基準で定義されているHDLコレステロールの値は下記です。

数値

症状名

40mg/dL未満

低HDLコレステロール血症

HDLコレステロールは一般的に男性よりも女性の方が高くなるとされているものの、診断基準の数値に差はなく、男女ともに上記の数値とされています。

LDLコレステロールの正常値

コレステロールの正常値はさまざまな機関が提示するものによって幅があるため、前述した脂質異常症などの疾患診断基準を健康指標として参考にするのが良いでしょう。

また、日本人間ドック学会が示した基準では正常値は下記の通りです。

正常値

基準値

LDLコレステロール

60~119mg/dL

HDLコレステロール

40mg/dL以上

LDLコレステロールが高く、HDLコレステロールが低いほど、さまざまな生活習慣病や心疾患のリスクが高まります。基準値内であっても、LDLが増加傾向にないか、HDLが減少傾向にないかなど、どのように推移しているか確認すると良いでしょう。

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悪玉コレステロールによる体への影響と危険な病気

悪玉コレステロールであるLDLコレステロールの増加、善玉コレステロールであるHDLコレステロールの減少によって、体にさまざまなリスクをもたらします。

異常値が続くことで体にどのような変化が起きていくのか、体への影響や危険な病気を解説していきます。

脂質異常症

LDLコレステロールの増加やHDLコレステロールの減少に加えて、中性脂肪(トリグリセライド)やNon-HDLコレステロールといった体内のコレステロールのバランスが崩れて基準値から外れている状態を脂質異常症といいます。

脂質異常症は、高LDLコレステロール血症や低HDLコレステロール血症、高中性脂肪血症の3つがあり、特に高LDLコレステロール血症は、次に説明する動脈硬化を進行させるリスクが高く注意が必要です。

そして低HDLコレステロール血症または高中性脂肪血症、もしくはどちらも該当する場合は、メタボリックシンドロームの診断基準に該当し、さまざまな生活習慣病のリスクが高い状態であると言えるでしょう。

動脈硬化

LDLコレステロールやHDLコレステロールが基準値から外れた状態が進むと、動脈硬化が進行します。

動脈硬化はコレステロールが動脈壁に付着し血管そのものを固くしたり、血液の通り道を塞いだりすることです。

動脈硬化が悪化し血液の流れが悪くなることで、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患や、脳卒中などの脳血管疾患などのリスクが高まっていきます。冠動脈疾患や脳血管疾患は命の危険があるものも多く、重大な疾患になる前に、動脈硬化の進行を一刻も早く防いでいくことが重要です。

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LDLコレステロールが高い原因と改善方法

では動脈硬化を進行させるLDLコレステロールの数値は、なぜ高くなるのでしょうか。

LDLコレステロールが高い一番の原因は食生活にあります。それぞれ理由と改善方法を解説していきます。

食生活が原因

LDLコレステロールの数値が高くなるのは、食事に含まれる中性脂肪が原因とされています。

そもそも中性脂肪には脂肪酸があり、脂肪酸は飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸の3つがあります。全ての脂肪が悪い訳ではなく、その中の飽和脂肪酸が多いものを食べると、肝臓でコレステロールが多く作られLDLコレステロールの増加につながるという仕組みです。

飽和脂肪酸が含まれる食品は、動物性の肉の白身の部分や、インスタント食品、バターや生クリームなどで、これらの食品の摂取基準量は1日あたり総エネルギー摂取量の7%と定められています。

ちなみに卵の黄身や魚卵などといったコレステロールの摂取は、LDLコレステロール値の増加の大きな要因とはならず、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」でも基準値は定められていません。しかしすでに脂質異常症の方は、重症化を防ぐためにコレステロールの摂取は1日200 mg未満に抑えると良いと言われています。

食生活の改善方法

LDLコレステロール値の改善は、飽和脂肪酸が含まれる食品の摂取を減らすのが一番です。飽和脂肪酸が多く含まれる食品は下記のものなので、食生活を振り返ってみましょう。

  • パーム油
  • ヤシ油
  • 牛脂
  • バター
  • 生クリーム(乳製品) など

また多価不飽和脂肪酸というコレステロールの合成を抑える役割を果たすものも存在することから、摂取する脂肪の質が重要と言えます。魚によく含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が、このコレステロールの合成を抑える多価不飽和脂肪酸に当てはまります。そのため鶏肉や豚肉など肉中心の食生活を、焼き魚や刺身など魚中心に変えてみると良いでしょう。

さらにビタミンAやビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用を持つビタミンを摂取するのも良いとされています。酸化したLDLは動脈硬化を促進させるため、LDLの酸化を防ぐためにもビタミンを摂取すると良いでしょう。

下記がそれぞれのビタミンが含まれる食品例です。献立の参考にしてください。

種類

食品例

ビタミンA

ほうれん草、うなぎ、ニンジン

ビタミンC

赤ピーマン、黄ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ

ビタミンE

カボチャ、しそ、大豆、アボカド

他にもコレステロールや中性脂肪の吸収を妨げてくれる食物繊維が豊富な海藻やキノコを摂取するなど、全体的な栄養バランスも考えて少しずつ食生活を改善していくと良いですね。

コレステロール値を標準値に維持する方法

コレステロール値を標準値に維持するには、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスが重要です。

それぞれのコレステロール値を標準の値に維持するには下記の2つも重要な要素です。

  • 喫煙を控える
  • 運動不足を改善する

それぞれ理由を解説していきます。

喫煙を控える

喫煙は「遊離脂肪酸」という、LDLコレステロールと中性脂肪の元になる物質を増加させるだけでなく、HDLコレステロールを減らす要因とも言われています。

喫煙を止める、または減らすことでLDLコレステロール値とHDLコレステロール値の改善が期待できるでしょう。

また喫煙は血中に一酸化ヘモグロビンを増加させ、血栓ができやすい状態にします。喫煙は動脈硬化を進行させて冠動脈疾患や脳血管疾患のリスクを増大させてしまう危険因子でもあり、コレステロール値の改善を目的とするのはもちろんですが、なるべく控えるべきでしょう。

運動不足を改善する

有酸素運動はHDLコレステロールを増やすとされているため、日常生活に有酸素運動など適度な運動習慣を取り入れて運動不足を解消することで、善玉コレステロールでもあるHDLコレステロールを増加させることができます。

脂質異常症の場合の運動療法としては、毎日30分以上の有酸素運動が求められており、前述資料の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版においては下記の運動がおすすめとして挙げられています。

  • ウォーキング
  • エアロビクスダンス
  • 水泳
  • サイクリング
  • ジョギング

生活習慣を改善してコレステロール値を正常に保とう

ここまで、LDLコレステロールとHDLコレステロールの違いや正常値、改善方法、コレステロール値が正常値から外れていると、動脈硬化が進行し、さまざまな命に関わる疾患のリスクがあることも解説しました。

食事が主なコレステロール値に及ぼす原因ですが、喫煙や運動不足などのHDLコレステロールに作用するとされる因子も重要です。

食事だけでなく、喫煙や運動習慣など全体的な生活習慣を見直し改善していくことで、コレステロール値を正常に維持していきましょう。

参考サイト一覧

・日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」( ​​https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/publications/pdf/GL2022_s/jas_gl2022_2_220926.pdf

・公益社団法人 日本人間ドッグ学会「血液検査|脂質系検査」(https://www.ningen-dock.jp/public/method

・農林水産省「脂質による健康影響」(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html

・厚生労働省 SMART LIFE PROJECT「健康イベント&コンテンツ|脂質異常( コレステロールなど)」(https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/disease/cholesterol/

・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

・厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』「オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと」(https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/05.html

・厚生労働省「e-ヘルスネット|脂質異常症を改善するための運動」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-003.html

・厚生労働省「e-ヘルスネット|脂質異常症」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html

・神戸大学保健管理センター「Tobacco or Health ! 「たばこと健康」」(http://www.health.kobe-u.ac.jp/news/tabaco.html

・生活習慣病オンライン「喫煙の何がそんなに悪いのか」(https://www.sageru.jp/improvement/etc/non_smoking.html

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