尿酸値を下げるためにサプリメントは有効?注意すべき点は?
突然ですが、「尿酸値が高い」「尿酸値に異常がある」と指摘された場合、どのようなことを考えますか?
尿酸値が高いと何がいけないのかわからないという方も「何がいけないのかわからないけど、どうすれば治るの?」「何かサプリメントで効果のあるものはないの?」と考える方が多いと思います。
この記事では、尿酸値を下げるために効果的なサプリメントはないのか、サプリメントを飲む際に注意すべきことはあるのか、ということについて、正しい知識を身につけられるよう丁寧に解説していきます。
この記事で分かること
- 尿酸値が基準値を超える高い状態は高尿酸血症である
- 高尿酸血症の治療には、「生活習慣の改善指導」と「薬物療法」が行われる
- 高尿酸血症には「アンセリン」と「キトサン」のサプリメントが推奨される
- サプリメントの摂取の際には、医薬品との飲み合わせに要注意である
尿酸値とは
尿酸値は、血液検査で判定することができる血液内に含まれる尿酸という物質の濃度を表す値です。尿酸は、細胞の核酸(DNA/RNA)の成分であるプリン体と一緒に、細胞が古くなることで分解されてできる物質を指します。
通常、尿酸の産生量と排出量は正常の範囲内で保たれています。血液中に存在する尿酸の正常値(基準値)は以下の通りです。
正常値(基準値):男性(3.0~6.9㎎/dl)女性(2.5~6.0㎎/dl)
この数値は、6.8mg/dL〜7.0mg/dL以上になると血液中に溶けきれなくなり、体内で血液から分離(析出)して尿酸塩の結晶を形成することから定められた値です。
尿酸はプリン体の代謝産物
尿酸は細胞が古くなり、新陳代謝の過程でプリン体が分解される際に、一緒に分解されてできる代謝産物です。プリン体は、細胞の核酸(DNA/RNA)の成分であるとともに、運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギー物質でもあります。
通常、細胞の増殖・代謝のために利用されますが、利用されなかったプリン体は主に肝臓で分解され尿酸へ変化し、一時的に体内に溜め込まれた後に尿や便として排泄されます。
しかし、食事や飲酒などのプリン体の過剰摂取により、排出過程で体内に蓄積される尿酸の量が、排出される尿酸の量を超えると、血液の中の尿酸値増加に伴って痛風発症のリスクを上昇させるのです。
尿酸値が高いと高尿酸血症
血液中の尿酸値が正常値(基準値)を超えている状態を、高尿酸血症と言います。
血液中の尿酸値が高くなる原因として、食事や飲酒などによるプリン体の過剰摂取が挙げられ、遺伝的要素ももちろんありますが、生活習慣も関係します。。
また、高尿酸血症は
- 産生過剰型
- 排泄低下型
に区別されます。
産生過剰型の原因として、以下のような理由が挙げられます。
- 高プリン食(肉類/魚介類など)
- ビールなどのアルコール接種
- 果物などの果糖の過剰摂取
よって、産生過剰型の高尿酸血症の方は、食生活などの生活習慣の見直しが推奨されています。
排泄低下型は産生過剰型と同様に、生活習慣が原因として挙げられるでしょう。しかし、排泄低下型の場合は、
- 肥満
- 糖尿病によるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)
- アルコール
などが原因です。
尿酸値の基準値の上限は、血液中での尿酸の飽和濃度に相当します。つまりその上限を超えた場合、それ以上は血中に溶け込めなくなり、各関節や腎臓、尿路などに沈着していきます。
尿酸値が低いと低尿酸血症
一般的に血液中の尿酸値が低く、2mg/dL以下を低尿酸血症と言います。低尿酸血症の原因として、腎臓において尿酸排泄機能が亢進(過度に進行)していることが挙げられる場合がほとんどです。このような腎性低尿酸血症の人の一部には、運動後の腎障害や尿路結石が起こる可能性があります。
低尿酸血症の場合、激しい運動後(ダッシュなどの無酸素運動)に急性腎不全を合併する頻度が高いことが分かっています。腎臓における血液不足が原因だと考えられていますが、メカニズムは未だ完全には解明されていません。
日本痛風・核酸代謝学会から出版されている(現時点では2017年出版、第一版)腎性低尿酸血症の診療ガイドライン(腎性低尿酸血症診療ガイドライン)には、「血清尿酸値が2mg/dL以下の人は一度、尿酸を専門とする医療機関の受診を勧める。」との記載がされています。
高尿酸血症になると
高尿酸血症になると、以下のような様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。
- 痛風発作による単関節炎
- 心血管疾患(狭心症、心不全など)
- 慢性腎臓病
- 動脈硬化に関連した疾患(脳卒中など)
- 腎結石(尿路結石)
また、高尿酸血症の方は
- 肥満
- 高血圧
- 脂質異常症
- 高血糖
を複合的に合併していることが多く見られます。
痛風になるリスク
高尿酸値血症になると、最も有名な合併症である痛風を引き起こすリスクが高まります。
痛風のメカニズムはまず、細胞の新陳代謝やエネルギー代謝によって作られる物質であるプリン体を多く含む食べ物やお酒の過剰摂取が挙げられるでしょう。
体内に大量のプリン体が入り、利用されないプリン体は肝臓で分解されて、尿酸へと変化します。新陳代謝の過程で一時的に蓄積する尿酸の量が、排泄する量を超えてしまい、血液中の尿酸が増えていき、基準値の上限に達すると、溶けきれなくなった尿酸が血液から分離(析出)し、尿酸塩の結晶を形成して関節に沈着します。
尿酸塩の結晶が激しい運動やストレスなどにより剥がれ落ち、異物と判断した白血球が排除しようとして炎症反応が起こります。その反応によって血流が激しくなって熱を持ち、足首や足の親指などの関節が腫れ上がって激痛が生じます。
尿路・膀胱結石になるリスク
高尿酸血症は、痛風だけでなく、尿路・膀胱結石のリスクも高まります。
尿路・膀胱結石とは、腎臓に結石ができていまい、背中に痛みを生じることや、結石が尿管や膀胱に移行した場合に炎症を起こし、激痛を生じる病気のことです。
尿路・膀胱結石の原因として、尿酸が腎臓に溜まって結石ができることが挙げられます。尿は腎臓で作られ、尿路(尿管・膀胱・尿道)を経て排泄されます。
水分摂取量が少なく尿の量が減少したり、プリン体を多く含む食品やお酒を過剰に摂取したりすると、尿中の尿酸濃度が高まり尿酸が結晶化して、尿路に石を作る尿路・膀胱結石のリスクが高まります。
また結石は酸性で固まる性質を持ちます。よって、尿が酸性に傾きやすい高尿酸血症の方は特に要注意です。
尿酸値を抑えるサプリメント
尿酸値を抑えるには生活習慣を改めるとともに、サプリメント摂取も検討して良いでしょう。サプリメントは以下の2種類が推奨されています。
- アンセリン
- キトサン
それぞれどのような効果があるのか、解説していきます。
アンセリン
アンセリンは尿酸が生成されすぎることを抑える尿酸生成抑制効果と、生成されすぎてしまった尿酸を体外への排出を促進する尿酸排泄促進効果があると考えられています。
アンセリンは、再利用酵素と呼ばれる「HRRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)」という酵素の量を増加させます。この酵素は分解されたプリン体が尿酸へと変化する前に、再度プリン体へと戻す作用があり、それによって尿酸の生成を抑制するのです。
また、アンセリンは「XO(キサンチンオキシターゼ)」という酵素を阻害する効果もあり、それによっても尿酸を減らす効果があると報告されています。
アンセリンは交感神経を抑制する作用もあります。尿酸は過度なストレスにより交感神経優位になってしまうと、排泄されにくくなってしまうのです。よって、交感神経の活動を抑制し、尿酸の排泄を促す効果があると考えられています。
アンセリンが摂取できるサプリメント
アンセリンが摂取できるサプリメントは以下の通りです。
商品名 |
尿酸値が高めの方のタブレット(大正製薬) |
アンセリン |
アンセリン(DHC) |
価格(税込) |
980円 |
3,390円 |
2,263円 |
内容量 |
約30日分 |
約30日分 |
約30日分 |
1日あたりの価格 |
33円 |
113円 |
約75円 |
機能性関与成分 |
アンセリン |
アンセリン |
アンセリン |
商品URL |
https://aisei-c.jp/media/nyousan-supplement/#nyousanchigatakamenokatano-tablet |
http://www.minami-hf.co.jp/healthfood/support/4945904016138/ |
キトサン
アンセリンとともに、キトサンにも尿酸値への作用があると考えられています。キトサンはカニやエビなどの甲殻類に含まれる動物性の食物繊維で、食事から摂取される、尿酸のもととなるプリン体の吸収を抑制する作用があると考えられています。
キトサンが摂取できるサプリメント
商品名 |
尿酸サポート(FANCL) |
キトサンプラスクロム(ナウフーズ) |
キトサン(FANCL) |
価格(税込) |
3,499円 |
1,965円 |
972円 |
内容量 |
約30日分 |
約40日分 |
約30日分 |
1日あたりの価格 |
117円 |
約49円 |
約32円 |
機能性関与成分 |
アンペロプシン、キトサン |
キトサン |
キトサン |
商品URL |
https://aisei-c.jp/media/nyousan-supplement/#nyousan-support |
https://jp.iherb.com/pr/now-foods-chitosan-plus-chromium-500-mg-120-veg-capsules/ |
サプリメントを飲む際に注意すること
サプリメントなどの「健康食品」の効果を期待して、摂取しすぎてしまうと、健康被害を及ぼす可能性があります。理由としては、成分を濃縮していたり、医薬品の成分を含んでいる場合が多いことが挙げられるでしょう。
また、服用している医薬品との組み合わせの作用で、思わぬ健康被害を引き起こす可能性も少なくありません。
そもそもサプリメントは、英語で「補充」というような意味です。よって、健康に効果的かどうかの科学的根拠は、必ずしも十分ではなく、薬の代わりではありません。
過剰摂取による被害
サプリメントには、摂取したい栄養素以外の成分が入っている可能性があります。そのため、栄養素の過剰摂取による健康被害のリスクが高くなります。
例えば、ビタミンでいうとそれぞれ過剰摂取により、以下のような副作用があります。
- ビタミンA 脱毛や皮膚の剥離
- ビタミンD 高カルシウム血症、軟組織の石灰化
- ビタミンE 下痢など
- ビタミンB6 神経障害、シュウ酸腎臓結石
- ナイアシン 皮膚発赤作用、消化管・肝機能障害
医薬品との飲み合わせ
食品と医薬品を一緒に摂取した場合、単純な足し算ではなく、お互いに影響を及ぼして医薬品の効果が増強したり減弱したりします。
そのため胃に食べ物がない起床時や食前・食後2時間などの、医師による薬を飲むタイミングの管理がされています。
医薬品を服用している方で、サプリメントを摂取したい場合は、医師や薬剤師に摂取する予定のサプリメントについて相談して摂取することが大切です。
まとめ
サプリメントで尿酸値の上昇を抑制することに効果的な栄養素は、
- アンセリン
- キトサン
が挙げられます。
アンセリンは分解されたプリン体が尿酸へと変化する前に、再度プリン体へと戻す作用がある「HRRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)」という再利用酵素と呼ばれる酵素の量を増加させます。これにより尿酸生成を抑制するため効果的な栄養素です。
また、ヒポキサンチンをキサンチンへ酸化し、さらに尿酸への酸化を触媒する酵素である「XO(キサンチンオキシターゼ)」という酵素を阻害する効果もあり、それによっても尿酸を減らす効果があると報告されています。
キトサンは、カニやエビなどの甲殻類に含まれる動物性の食物繊維で、食事から摂取される、尿酸のもととなるプリン体の吸収を抑制する作用があると考えられています。
これらのサプリメントを摂取することで、尿酸値の上昇を抑制する効果があるのです。
しかし、サプリメントはあくまで補助的な役割でしかありません。また、服用している医薬品がある場合、その医薬品との組み合わせ次第では、健康被害を引き起こす可能性もあります。
よって、これまで解説した内容を踏まえて、医師や薬剤師に相談したうえで、尿酸値を下げるために効果的なサプリメントを摂取することが大切です。
参考サイト一覧
■医療法人社団ウィズヘルス 二子玉川メディカルクリニック(https://nicotama-cl.com/blog_clinic/793)
■大正製薬(https://brand.taisho.co.jp/contents/livita/238/#m1)
■株式会社 三和科学研究所(https://www.skk-net.com/health/illness/01/index02.html)
■公益財団法人 痛風・尿酸財団(https://www.tufu.or.jp/gout/gout2/61)
■かい内科クリニック(https://kai-clinic.net/explanation/sick04/)
■あおいクリニック(https://aoi-clinic.yokohama)
■全国健康保険協会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat450/sb4502/p017/)
■公益社団法人 日本整形外科学会(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/gout.html)
■ユアクリニック お茶の水(https://yourclinic.jp/hyperuricemia)
■独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター(https://www.google.com/search?q=nsaids&rlz=1C1JJTC_jaJP1024JP1024&oq=&aqs=chrome.0.35i39i362l8.2510481761j0j15&sourceid=chrome&ie=UTF-8)
■焼津水産化学工業株式会社(https://www.yskf.jp/anserine/uric_acid_2.html)
■日清製粉グループ ファルマ株式会社(https://www.nisshin-pharma.com/livlon/anserine/)
■LIFE LOG(https://aisei-c.jp/media/nyousan-supplement/)