コレステロールが高いと、血管が詰まって重病にかかる!?コレステロールの下げ方も紹介!
血液検査や健康診断で、コレステロール値に異常が発見されてしまうと焦りますよね。「前々から少し気になっていた」「年齢を考えるとこのまま無視していられない」など、一人ひとり思うことがあるかと思います。
この記事では、コレステロール値が高いとどのようなリスクが潜んでいて、どうしたらコレステロールの値を下げられるのかについて紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。
コレステロールとは
コレステロールは血液中に流れる脂質のひとつで、主に3つの役割があります。
まず1つ目の役割は、細胞膜を構成する成分のひとつです。コレステロールは肝臓で合成されたあと血液に乗って全身に運ばれ、細胞を形作る細胞膜の成分となります。特に脳などの神経細胞では、正しい働きをするためにたくさんのコレステロールを持っています。
2つ目は、ホルモンの原料です。ステロイドホルモンは副腎皮質・精巣・卵巣・胎盤でコレステロールから合成され、生成されたステロイドホルモンは精巣でアンドロゲン(男性ホルモン)、卵巣でエストロゲン(女性ホルモン)、卵巣や胎盤でプロゲステロンが合成されます。
そして3つ目は胆汁の成分です。肝臓で作られたコレステロールは、代謝されて胆汁酸という成分になり、小腸の中で脂肪を消化吸収するのを助けます。
コレステロールは食事からも摂取できますが、そのほとんどは体内で合成されており、1日に体重1kgあたり約12gのコレステロールが合成されていると言われています。
善玉コレステロール
HDLコレステロールは、「High Density Lipoprotein」の頭文字で日本語では高比重コレステロールです。主に肝臓と小腸で合成されており、増えすぎたLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を回収し、さらには血管壁に溜まったコレステロールを取り除いて肝臓に戻す役割を担っています。
LDLコレステロールが動脈硬化を促進するのとは反対に、抑制する役割があることから、善玉コレステロールと呼ばれます。
HDLが基準値より低い場合は動脈硬化・高脂血症・虚血性心疾患などへの危険があるため注意が必要です。
悪玉コレステロール
LDLコレステロールは、「Low Density Lipoprotein」の頭文字で日本語では低比重リポタンパクです。肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担っており、低すぎると長生きしない、増えすぎると動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞を発症することが知られています。
さらに、女性の場合、ホルモンの関係で年齢を重ねるにつれてLDLコレステロールが増えるため注意が必要です。理由としては、閉経すると女性ホルモンであるエストロゲンが減少し、善玉コレステロールを増やせなくなるためです。
LDLコレステロールは動脈硬化を促進させることから、悪玉コレステロールと呼ばれています。
コレステロールの基準値について
血液検査では総コレステロール値のほかに、HDLコレステロール・LDLコレステロール・トリグリセライド(中性脂肪)・Non-HDLコレステロールの値があります。
以下、脂質異常症の診断基準です。
トリグリセライド (中性脂肪) |
150mg/dL以上(空腹時採血) |
高トリグリセライド血症 |
175mg/dL以上(随時採血) |
||
HDLコレステロール |
40mg/dL未満 |
低HDLコレステロール血症 |
LDLコレステロール |
140mg/dL以上 |
高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL |
境界域高LDLコレステロール血症 |
|
Non-HDLコレステロール |
170mg/dL以上 |
高non-HDLコレステロール血症 |
150~169mg/dL |
境界域高non-HDLコレステロール血症 |
出典:日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
総コレステロールの基準範囲は150〜219mg/dLですが、日本人は相対的にHDLコレステロールが高い傾向にあるため、判断するのが難しいとされています。そこで日本では、動脈硬化に影響が大きいとされるLDLコレステロール値を基準に診断するようになりました。
また、総コレステロールからHDLコレステロールを引いたものをNon-HDLコレステロールといい、中性脂肪が高い人の場合、こちらで判定する方が良いとされています。
高コレステロール血症について
定義に明確なものはなく性差があるものの、一般的に高LDLコレステロールが140mg/dl以上を高LDLコレステロール血症と言います。
高LDLコレステロールの原因は食事中の飽和脂肪酸の摂り過ぎです。バターや生クリーム・バラ肉などに多く含まれており、食べすぎると動脈硬化につながります。
動脈硬化を起こす機序
血管内でLDL-Cが増加すると血管壁に傷がつきます。その傷からLDL-Cが中に入り込み、酸化LDLに変わったものが悪玉コレステロールです。
酸化LDLは毒性のため、マクロファージが酸化LDLを食べますが、酸化LDLが過剰であると食べきれず死んでしまい「プラーク」が形成されます。
この際に組織が硬くなる線維化が起こり、動脈の柔軟性が失われたものが動脈硬化です。
低コレステロール血症について
低コレステロール血症は、他の疾患の続発性(二次性)低脂血症と原発性低脂血症に分けられます。原発性の場合は遺伝子の変化、過去に測定したデータが正常または高値であれば続発性です。
総コレステロールが120mg/dl未満、LDL-Cが70mg/dl未満などの値があげられます。
続発性低LDLコレステロール血症を示す可能性がある疾患は、肝硬変などの重症感疾患、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症、アジソン病などの副腎不全、呼吸不良、がんなどの悪性腫瘍などがあげられます。
体調不良や症状がなくLDL-Cが低い場合は、原発性低LDL-C血症が疑われ、無βリポ蛋白血症、家族性低βリポ蛋白血症、カイロミクロン停滞病、Smith-Lemli-Opitz症候群などの疾患の可能性が高いです。
コレステロール値が高くなる原因
健康診断で気になる項目のひとつであるLDLコレステロール。LDLコレステロールが上がる原因の多くは、食生活などの生活習慣ですが、肥満や遺伝(体質)・ホルモンバランスの影響なども考えられます。
LDLコレステロールが高くなると動脈硬化が起こりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞を発症すると言われているため、高すぎる人は注意が必要です。
ここでは食事、肥満、体質・遺伝にフォーカスして、LDLコレステロールが高くなる原因を解説していきます。
食事
LDLコレステロールの値を高くしてしまう原因のひとつは、豚肉やバター・インスタントラーメンなどに豊富に含まれる飽和脂肪酸や、鶏卵や魚卵などのコレステロールを豊富に含む食品の過剰摂取によって起こります。
コレステロールは本来であれば、細胞膜やホルモン・胆汁酸を作る材料として必要不可欠です。
しかし、食事の欧米化が進んでいることで、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸と呼ばれる脂質を必要以上に摂取し、その結果LDLコレステロールも必要以上に作ってしまいます。
脂質全体の摂取バランスを考え、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
肥満
肥満の人は、体内の中性脂肪を増やし脂質代謝に異常を生じさせるため、LDLコレステロールが増える原因となっています。
中性脂肪は、エネルギーの摂り過ぎ、特に甘いものやお酒・糖質の摂り過ぎによって代謝されなかった脂肪が内臓の周りに蓄積されたものです。
最近では、中性脂肪の増加によって小型LDLコレステロールが増えることがわかっています。
LDLコレステロールが小型化することによって、血液中に長くとどまり、それが酸化することによって動脈硬化につながりやすくなるため、中性脂肪を増やさずに減らす努力をしましょう。
体質・遺伝
遺伝や体質によってLDLコレステロールが高くなりやすい人もいます。通常であればLDLコレステロールは肝臓で処理されますが、遺伝子の異常があると肝臓での処理がうまくできないため、血液中にLDLコレステロールがたまってしまいます。
このような体質を持っている場合を「家族性高コレステロール血症」と言い、通常の脂質異常症の人よりも動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や狭心症になりやすいのが特徴です。
年齢や生活習慣とは関係のないことがほとんどで、血縁者の中に脂質異常症の患者が多い傾向があるため、若い時からLDLコレステロールが高い場合は、医療機関を受診しましょう。
コレステロール値を下げる方法
LDLコレステロール値を下げるためには、生活習慣の改善が必要です。食事・飲酒のコントロール、喫煙を止める、運動をする、ストレスをコントロールすることが大切だと言われています。
例えば、バターや肉などの飽和脂肪酸の摂り過ぎを辞め、逆に食物繊維を多く食べることで、悪玉コレステロールが増えにくくなります。
また、有酸素運動を行うと悪玉コレステロールを減らすだけではなく善玉コレステロールを増やすことも可能です。
このようにコレステロールを下げる方法はいくつもありますが、具体的にはどうしたら良いでしょうか。
ここからは4つの方法について詳しく見ていきます。
- 食事
- 運動
- 飲酒・喫煙
- ストレスコントロール
上記項目を改善してLDLコレステロールを減らしましょう。
食事
まず1つ目は食事を改善することです。肉やバター・ラーメンなどの飽和脂肪酸を減らし、植物や魚に含まれる不飽和脂肪酸を摂取することを心がけましょう。
また、食物繊維はLDLコレステロールを増えにくくし、心筋梗塞のリスクを下げるとも言われています。キャベツなどの野菜・きのこ・海藻・玄米・もち麦などを積極的に取り入れると、コレステロールや胆汁酸などを吸着し、便と一緒に体外へ排出します。
コレステロールの7割は体内で作られていますが、食事からの摂取量が多いと影響が出てしまうため注意しましょう。LDLコレステロールの値が高めの人は、量や頻度を調整してください。
運動
血中のLDLコレステロール値を減らしHDLコレステロールを増加させるには、適度な運動が必須と言われています。
運動の種類は「有酸素運動」と「無酸素運動」の2種類。この二つを組み合わせることで内臓脂肪を減らし、筋肉を増やして糖や脂肪の代謝を促進させます。
では有酸素運動と無酸素運動のおすすめを紹介します。
- 有酸素運動…ウォーキング・ジョギング・水泳・ヨガ
- 無酸素運動…短距離走・筋トレ
まずは週3〜5日で1回あたり30〜60分を目標に行いましょう。
いきなりジョギングや水泳は難しい場合は、まずエレベーターを使わないで階段をのぼってみたり、車ではなく自転車で買い物に行くなどをしてみましょう
飲酒・喫煙
タバコは、がんなどの病気を引き起こす要因として有名ですが、LDLコレステロールと遊離脂肪酸をふやして、HDLコレステロールを減らす作用があります。
これは、タバコの成分であるニコチンがカテコールアミンというホルモン分泌を活発にし、中性脂肪やLDLコレステロールの合成を促進させているからです。
LDLコレステロールが増えると動脈硬化がすすみ、高血圧や糖尿病のリスクも上昇するため、体に良いことはありません。
また、多量の飲酒でも中性脂肪の合成が過剰に促進されます。多量の飲酒は控え、節度ある飲酒量を心がけてください。
ストレスコントロール
LDLはストレスを感じたときに分泌される副腎皮質ホルモンの材料で、強いストレスを受けるとLDLの生成が促進されます。ストレスにより活性酸素が血管内に大量発生すると血管や血液がダメージを受け、コレステロールや血糖値を上昇させてしまうのです。
とても大切な防御機構ではありますが、ストレスが増えるほどLDLも増えてしまうため、質の良い睡眠を心がけ、体をうごかしたり音楽を聴いたりしてストレスを発散しましょう。
まとめ
LDLコレステロールは食事だけではなく遺伝の影響や生活習慣が関係しています。
しかしLDLコレステロールが高い人の大半は「食生活や生活習慣の乱れ」が原因です。
コレステロール値を改善するには、きのこや海藻などの食物繊維をたくさん摂り、肉やインスタントラーメンなどの飽和脂肪酸をとりすぎないようにこころがけましょう。
また、ウォーキングやジョギング、ヨガなどの有酸素運動と、筋トレなどの無酸素運動を組み合わせることで肥満や糖尿病・脂質異常症などの生活習慣の予防にもつながります。
さらに、「喫煙」「ストレス」などを見直すことでホルモンのバランスを保ち、自律神経が改善されます。良質な睡眠やストレスケアも怠らないようにしましょう。
参考サイト一覧
コレステロールとは?LDL(悪玉)コレステロール値が増える原因と下げる対処法|脂肪燃焼コラム|コッコアポ|クラシエ"
総コレステロール・中性脂肪の基準値と健康診断の結果の見方 | 東京駅の内科診療なら忙しいビジネスマンのためのDクリニック東京ウェルネス
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