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尿酸値の薬物療法は主に2種類!〜排泄させるか抑えるか〜

[2023.01.09]

「健康診断で尿酸値の高さを指摘され、改善方法を調べている。」「尿酸値の改善には薬物療法があると聞き、興味をもっている。」

この記事にたどり着いたということは、上記のようなことをお考えではないでしょうか。本記事ではそんな方に向けて、尿酸値改善における治療法を詳しく解説します。尿酸値が高い状態が続くと、痛風や尿路・膀胱結石を引き起こす恐れがあります。とくに、痛風は突然激痛を伴うため、今は平気でも早めの対処が大切です。

「そもそも尿酸値とは?」といった基本的なところからわかりやすく解説するので、聞き慣れない言葉に戸惑っている人も、ぜひ参考にしてみてください。

尿酸値とは

尿酸値とは、血液に含まれる尿酸の濃度を表した数値のことです。健康診断の項目にも含まれているので、年に1回測定している人は多いでしょう。

通常、尿酸は体内で作られる量(産生量)と、体外に排出される量(排出量)の収支バランスが保たれています。そのため、血液中に存在する尿酸の量は、基準値の範囲内におさまっているものです。

しかし何らかの原因により尿酸の産生量と排出量のバランスが崩れると、尿酸値が高くなったり低くなったりします。高尿酸血症または低尿酸血症を引き起こし、身体にさまざまな影響を及ぼします。

なお、尿酸値の基準は以下のとおりです。

  • 男性:3.0〜6.9mg/dl
  • 女性:2.5〜6.0mg/dl

女性の場合、女性ホルモンの影響により尿酸値がコントロールされるため、男性に比べて基準値は低めです。しかし、閉経後は女性ホルモンの分泌が低下するので、尿酸値が上がり、男女差が縮小します。

尿酸はプリン体の代謝産物

尿酸について説明する前に、プリン体を知るところから始めましょう。プリン体とはあらゆる生物の細胞中に含まれる遺伝子の構成成分であり、生命維持には欠かせない物質です。私たちは食事からプリン体を摂取していますが、全体の80%にあたる約500mg(1日あたり)のプリン体は体内で生成されています。

体内にあるプリン体は、細胞の代謝や増殖をサポートしたり、筋肉や脳を動かすエネルギーとして利用されたりします。使われなかったプリン体は、肝臓で分解されて尿酸となり、老廃物として体外に排出されるのです。尿酸の約80%は腎臓でろ過されて尿に溶け出し、残りの約20%は便や汗などとともに体外へと排出されます。

尿酸値が高いと高尿酸血症

血液中に尿酸が溜まり過ぎると、尿酸値は高くなり「高尿酸血症」を引き起こします。考えられる原因は3つ。尿酸の生産量が増加したか、尿酸の排出量が低下したか、もしくはその両方のどれかです。

増加した尿酸は血液中に溶け込めず、尿酸塩(尿酸の結晶)となり、関節部や腎臓、尿路などに沈着します。沈着した場所が関節部であれば通風、腎臓であれば腎臓結石や腎臓石灰化、尿路であれば尿路結石の発症リスクを高めてしまうのです。

また、高尿酸血症の人は、高血圧や脂質異常症、糖尿病を複合的に合併する傾向にあるといわれています。体内の尿酸値が上昇しやすくなるのは肥満体型の人であることから、高尿酸血症は生活習慣病と関連していると考えられています。

なお高尿酸血症の診断基準は、尿酸値が7.0mg/dL以上です。

尿酸値が低いと低尿酸血症

尿酸値が2.0mg/dL以下になると、「低尿酸血症」と診断されます。なかでもとくに多いのが、腎臓が原因で起こる「腎性低尿酸血症」です。

プリン体は肝臓で分解されると尿酸となり、そのうち80%は腎臓で排泄されます。このとき、尿酸は腎臓の糸球体(血液中の老廃物や塩分をろ過し、尿として体外に排出する働きをもつ組織)によって一度すべて排泄されますが、90%以上は近位尿細管で再吸収され、残りの6~10%が尿と一緒に排泄されます。

しかし腎性低尿酸血症の人は遺伝的な要因から、尿酸を運搬するタンパク質(トランスポーター)に変異があり、尿酸を再吸収できず、血中に尿酸を溜めておくことができません。腎性低尿酸血症は自覚症状がないため、健康診断などで指摘されて初めて気が付くケースがほとんどです。

また、低尿酸血症は合併症を起こす場合もあります。短距離走や筋力トレーニングなどの無酸素運動、激しい運動の後は急性腎不全(運動後急性腎障害)を発症することがあるのです。人によっては、尿管結石を合併することもあるので、尿酸値が2.0mg/dL以下の場合は、早めの受診が大切です。

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高尿酸血症になると

尿酸値が高くなる人がほとんどです。そもそも、腎性低尿酸血症の発症頻度は、男性0.2%・女性0.4%と低く、珍しい病気と考えられます。そのため、低尿酸血症よりも高尿酸血症を発症する可能性のほうが高いといえます。

高尿酸血症は、血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態のこと。食べ過ぎや飲み過ぎなどにより、内臓脂肪が増えると尿酸の生産量が増加し、排出が追いつかなくなります。その結果、尿酸値が上がり、高尿酸血症と診断されるのです。

高尿酸血症になると、血液中に溶け込めなかった尿酸は結晶となり、全身に病をもたらします。尿酸結晶が関節に溜まれば「痛風」を、尿酸が腎臓に沈着し蓄積すれば「腎臓結石」「腎臓石灰化」、尿路に沈着し蓄積すれば「尿路結石」を引き起こすことになるのです。

ここからは、高尿酸血症が引き起こす「痛風」と「尿路・膀胱結石」について、さらに詳しく解説します。

痛風になるリスク

高尿酸血症は痛風の予備軍ともいわれています。高尿酸血症は自覚症状がないため、気付かず放置してしまうと、血液に溶けきれなかった尿酸が結晶化し、関節に溜まります。すると、免疫細胞が尿酸結晶に反応し、炎症を起こすことで「痛風」を発症するのです。

痛風はある日突然、激痛に襲われる病気です。とくに男性に見られやすいのが特徴で、足の先や足関節、足の甲、膝関節、手関節などで起きます。発症すると、歩けないほどの強い痛みが2〜3日ほど続くため、生活にも大きな影響を与えます。

尿路・膀胱結石になるリスク

尿酸は尿管や膀胱、尿道といった尿路に石を作ることがあります。水分をあまり取らなかったことで尿の量が減ったり(排出量の低下)、プリン体を含む食べ物をたくさん摂取したり(産生量の増加)すると、尿中の尿酸濃度が高まり、尿酸は結晶化して石になります。石が膀胱や尿管などの尿路でつまると、背中から脇腹の痛み、血尿、吐き気といった症状を起こす尿路結石になるのです。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の改善には、以下2つの治療法が行われます。

  • 生活習慣の改善
  • 薬物治療

それぞれの治療内容について解説するので、どのような治療を受けるのか知りたい人は、下記を参考にしてみてください。

生活習慣の改善

高尿酸血症は生活習慣の改善が最も重要といわれています。なぜなら、高尿酸血症を引き起こす原因の多くは、高カロリーな食事や過剰な飲酒、肥満、水分の摂取不足などが関係しているからです。

薬で尿酸値を下げることもできますが、服用するのを中断すれば元の尿酸値に戻ります。根本的な解決にはならないため、高尿酸血症の治療では、生活習慣の改善が基本となるのです。

具体的には、以下のことに注意するよう指導されます。

  • 食べ過ぎに注意する
  • 栄養バランスの良い食事を心がける
  • お酒は適量にする、休肝日を設ける
  • 水は1日2L以上飲む
  • 有酸素運動を取り入れる
  • ストレスは溜めこまず適度に解消する

薬物療法

高尿酸血症の治療では生活習慣の改善に加えて、薬物療法を行うことがあります。薬物療法が必要になる人は、以下に該当する場合です。

  • 尿酸値が7.0mg/dLより高く、一度でも痛風になったことがある
  • 尿酸値が8.0mg/dl前後で、高血圧や狭心症、糖尿病、メタボリック症候群などの合併症を伴う可能性がある
  • 合併症がなくても尿酸値が9.0mg/dlを超えている
  • 痛風の再発防止のために、尿酸値が6.0mg/dl以下を目標にしている

では、高尿酸血症の治療では、どのような薬が使われるのでしょう?薬の種類や特徴を見ておきましょう。

高尿酸血症の薬物療法

高尿酸血症の治療には、一般的に「痛風発作治療薬」と「尿酸降下薬」が使用されます。痛風発作治療薬は痛風の症状を和らげるための薬、一方の尿酸降下薬は尿酸値を下げるための薬です。

痛風を発症している場合は、痛風による痛みや腫れを取り除くことが優先されます。尿酸降下薬を使用すれば、痛風の症状を悪化させる可能性があるため、高尿酸血症の治療を開始するよりも先に、痛風発作治療薬が処方されます。痛風が治ると、尿酸降下薬が処方されるのが基本的な流れです。

また、尿酸降下薬は「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」の2種類があります。多くの場合は、尿酸生成抑制薬が処方され、尿酸を作る働きを抑える治療が行われます。

続いて、薬物療法についてより詳しく知ってもらうために、それぞれの薬の特徴や治療薬について解説します。それぞれチェックしてみてください。

痛風発作治療薬

痛風発作治療薬は、腫れや痛みを和らげるものや、再発防止を目的としたものがあります。なかでも、よく使用される薬には、以下のものが挙げられます。

  • NSAIDs(ロキソニンやボルタレンなど)
  • ステロイド
  • コルヒチン

NSAIDsとステロイドは炎症を抑える薬です。関節の炎症や痛みを和らげる作用があるため、痛風発作が起きたときに使用します。順番としては、最初にNSAIDsが使用されることがほとんどです。NSAIDsで十分に良くならなかった場合、ステロイドが処方されます。

また、コルヒチンは痛風発作の予防目的に使用される薬です。発作の前触れを察知したときや、発作が繰り返し起きているときなどに用いられます。痛風は再発リスクの高い病気で、2回目以降になると発作の前触れに気付きやすくなるものです。前触れの段階でコルヒチンを内服することで、発作を予防できます。

尿酸降下薬

尿酸降下薬は、その名の通り尿酸値を下げる薬です。尿酸を作る働きを抑える「尿酸生成抑制薬」と、尿酸の排泄量を増やす「尿酸排泄促進薬」の2種類があります。

続いて、それぞれの作用と治療薬について、詳しく解説します。

尿酸排泄促進薬

尿酸排泄促進薬は、腎臓に作用して尿酸が尿中に排泄される量を増やす薬です。排泄量を増やすことで、血液中の尿酸を減らします。主に、尿酸の排泄が低下している人に勧められている薬です。

具体的には、尿細管という腎臓から尿(原尿)が通る管で、尿酸が血管内に再吸収されるのを阻害します。再吸収されなかった尿酸は、尿と一緒に排泄されるというわけです。

代表的な薬は、以下の3つです。

  • ベンズブロマロン
  • プロベネシド
  • ブコローム

なお、尿酸排泄促進薬を服用中は、尿中の尿酸濃度が高まるため、尿路結石を起こしやすくなります。そのため、尿路結石を予防することを目的に、ウラリット(尿アルカリ化薬)を併用することがあります。同時に水分を多めに摂取することも大切です。

尿酸生成抑制薬

尿酸生成抑制薬は、尿酸が作られるのを妨げる薬です。肝臓でプリン体が尿酸に分解される過程を阻害し、尿酸を作りにくい状態にします。主に、尿酸が過剰に作られている方に勧められている薬です。また、日本のガイドラインでは、高尿酸血症の治療において尿酸生成抑制薬が推奨されています。

代表的な薬は、以下の3つです。

  • アロプリノール
  • フェブキソスタット
  • トピロキソスタット

薬物治療の期間

薬物治療は一生続くわけではありません。とはいえ、薬の服用を中断すると、尿酸値が再び上昇することが多いため、薬物治療を始めてから一定期間の継続が必要です。

目安としては、2年間ほど服用し続けて、薬を尿酸値が上がらない場合は減量もしくは中止となります。また、痛風の症状がある人は尿酸値6.0mg/dl以下となり、医師が長期管理できそうだと判断した場合、減量や中止が検討されます。

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まとめ

尿酸値に異常が見られる場合、通常よりも高くなっていることがほとんどです。尿酸値が高いと高尿酸血症を引き起こし、さらに痛風や尿路結石などにつながる恐れがあります。高尿酸血症の状態では自覚症状がありませんが、痛風や尿路結石になれば激しい痛みを伴うため、早めの対策が重要です。

高尿酸血症の治療では、生活習慣の改善をベースに、薬物療法がおこなわれることがあります。治療薬は今回紹介したものが主に使われます。健康診断や人間ドッグなどで、尿酸値の高さを指摘された場合は、早めに受診するようにしましょう。

参考サイト一覧

大正製薬:https://brand.taisho.co.jp/contents/livita/239/#m1

あおいクリニック:https://aoi-clinic.yokohama/%E9%AB%98%E5%B0%BF%E9%85%B8%E8%A1%80%E7%97%87

大阪府立健康科学センター:http://www.osaka-ganjun.jp/effort/cvd/training/teaching-materials/pdf/memo_04.pdf

明治:https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/pa-3/01/

イシャちょく:https://ishachoku.com/karadas/health-disorder/internal-medicine/4014/?cats_not_organic=true

かい内科クリニック:https://kai-clinic.net/explanation/sick04/

内科総合クリニック人形町:https://ningyocho-cl.com/renal-hypouricemia

痛風・尿酸財団:https://www.tufu.or.jp/gout/gout2/61

e-ヘルスネット:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-007.html

二子玉川メディカルクリニック:https://nicotama-cl.com/blog_clinic/793

日本臨床検査専門医会:http://www.jrcla.or.jp/kensanohanashi/img/h26_07.pdf

ユリクリニック:https://yourclinic.jp/hyperuricemia

日本整形外科学会:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/gout.html

全国健康保険協会:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat450/sb4502/p017/

時事メディカル:https://medical.jiji.com/topics/1507

天神橋みやたけクリニック:https://www.miyatake-clinic.com/hyperuricemia08/

EPARK:https://www.kusurinomadoguchi.com/column/uricacid-6520/

三和化学研究所:https://www.skk-net.com/health/illness/03/index02.htmlhttps://www.skk-net.com/health/illness/01/index04.htmlhttps://www.skk-net.com/health/illness/02/

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