【種類別】睡眠障害の症状、原因、治療方法について解説
睡眠障害とは、“睡眠”に関連した病気や睡眠が影響して現れるさまざまな症状のことです。代表的な睡眠障害は眠れない・寝つきが悪い不眠症ですが、そのほかにも眠りすぎてしまう過眠症や夢遊病(むゆうびょう)、夜驚症(やきょうしょう)など多くの種類があります。
睡眠障害の最大の問題は日中も眠くなったり、注意力が低下したり、疲れやすくなったりと日常生活にも影響を与えてしまう点です。
では、なぜ睡眠障害になってしまうのでしょう。
本記事では睡眠障害の原因や症状、対処方法についてご紹介します。
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睡眠障害とは?
睡眠障害には寝つきが悪かったり、目が覚めやすかったりするタイプと、眠りすぎてしまうタイプ、さまざまな原因で熟眠感が得られないタイプなど様々な種類があります。
私たちは1日の約1/3の時間を睡眠に費やしていますが、日本では大人の3人に1人が何らかの睡眠障害を抱えており、さらに10人に1人はその症状が長期化するといわれています。
睡眠障害は子供や若者には起こりにくいですが、年齢とともに睡眠障害で悩む人は増える傾向にあります。とくに60歳を超えると半数以上の人が、睡眠障害で悩んでいるという報告があります。また男性よりも女性に多い傾向があるのも、睡眠障害の特徴です。
睡眠障害の原因
睡眠障害の原因はひとりひとり異なります。また、複数の要因が関連している人も少なくありません。代表的な原因は、ストレスや心の病気です。そのほかにも、かゆみや痛み・苦しさなどを生じる体の病気も睡眠を妨げます。
また、血圧を下げる薬や抗がん剤などでは睡眠を妨げたり、かゆみやアレルギーの治療に用いられる抗ヒスタミン薬は日中の眠気を生じたりします。コーヒーや紅茶・緑茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンには目を覚ます働きがあり、ときにはそういったの飲み物や嗜好品が睡眠障害の一因となっていることもあります。
また交替勤務や夜更かしなどによる生活リズムの乱れ、海外旅行などによる時差ボケも睡眠障害の原因です。
生活習慣病と睡眠障害の関係
生活習慣病と睡眠障害には関係があり、代表的なものとして肥満が挙げられます。
肥満の方では脂肪により呼吸の通り道が圧迫されますので、睡眠時無呼吸症候群という夜間に十分な呼吸ができなくなってしまう病気になりやすいと言われています。それにより、慢性的な不眠症に悩まされている人も少なくありません。
また、睡眠障害が肥満の一因にもなることもわかっています。十分な睡眠を取れたときと比べて、短時間の睡眠が続いてしまうと、食欲を抑えるホルモンが分泌されず、食欲を増やすホルモンが過剰に分泌されてしまうことがわかっています。
さらに、睡眠障害が慢性化すると、糖尿病のリスクは1.5~2倍になるという報告もあります。このように睡眠障害は、眠れないということ以外にも、全身にさまざまな弊害を与えます。単なる睡眠の問題として片付けるのではなく、しっかり対応して他の病気を未然に防ぐことが大切ということですね。
睡眠障害の種類
「睡眠障害」とよばれる病気は100種類以上もあるといわれていて、代表的なものは不眠症です。今回は多様な睡眠障害のうち、代表的な次の7つについて原因や特徴をまとめました。
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引用:健康づくりのための睡眠指針2014 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
不眠症
不眠症とは、次のような状態です。
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また、不眠症にもさまざまな種類があり、一つひとつ特徴や治療法が異なっています。
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各不眠症について詳しくは、当院の別コラムをご参照ください。
不眠症とは?原因や対処方法、睡眠時間と不眠症の関係について解説
過眠症
夜しっかりと眠っているのに、昼間に眠くて眠くて仕方ない状態を過眠症といいます。
その原因は、次のような種類があります。
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概日リズム障害
概日リズム障害は、さまざまな理由で睡眠のリズムが乱れてしまう睡眠障害で、次の3種類にわけられます。
種類 |
特徴 |
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交代勤務による睡眠障害 |
夜勤などの体内時計の乱れにより眠れなくなる |
睡眠相後退型、自由継続型 |
夜型生活になった生活リズムを朝型に戻せなくなる 10~20歳代に発症しやすい 大人は0.17%、高校生は0.4%程度と高い割合で発症する |
睡眠躁前進型 |
夕方になると眠くなり夜早く寝て早朝に目が覚める 高齢者に多い |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に舌の付け根が呼吸の通り道をふさぎ、いびきをかくだけでなく、呼吸まで止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸症候群。
呼吸が止まるたびに目が覚めるので熟眠感が得られず、睡眠障害になってしまうのです。
海外の研究では成人男性の24%、成人女性の9%が睡眠時無呼吸症候群であると報告されています。さらに、日中に眠くなるなど生活や仕事に影響が出るほどの重度の人は成人男性で4%、成人女性で2%いると推定されています。
肥満の人や首が短い人、顎が小さい人、甲状腺の病気の人が閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいという特徴があります。
レストレスレッグス(むずむず脚)症候群と周期性四肢運動障害
レストレスレッグス症候群には次の特徴があります。
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寝ついてすぐや、途中で目が覚めたときにも症状が現れるため、眠りが妨げられてしまうkともあります。レストレスレッグス症候群は、鉄分が不足し感覚をコントロールするホルモンの分泌が少なくなった場合や、中枢神経系の病気が原因で発症します。
周期性四肢運動障害は、眠っているときに足がぴくぴく動いてしまうために、眠りが妨げられてしまう状態です。レストレスレッグ症候群の患者の60~80%が合併しているといわれています。
睡眠時遊行症(夢中遊行)と睡眠時驚愕症(夜驚症)
睡眠時遊行症:すいみんじゆうこうしょう(夢中遊行:むちゅうゆうこう)と睡眠時驚愕症:すいみんじきょうがくしょう(夜驚症:やきょうしょう)は、子どもに多い睡眠障害です。
それぞれの特徴や有病率は以下のとおりです。
睡眠時遊行症 |
睡眠時驚愕症 |
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特徴 |
・眠っていたのに突然起き上がって、ぼんやりした表情で歩き回る ・睡眠前半のノンレム睡眠~寝返りとともに症状が現れる ・5~12歳ごろにはじまり、青年期までには消失する |
悲鳴や叫び声をあげたり、強い恐怖に驚いたりする |
有病率 |
17% |
1~6.5% |
レム睡眠行動障害
レビー小体型認知症や、パーキンソン病の初期にみられることが多い睡眠障害です。
日中にはとくに症状はありませんが、レム睡眠のときに以下の症状が現れ、ノンレム睡眠になったり目が覚めたりすると、症状はなくなります。
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睡眠障害の症状
睡眠障害の症状は「眠っているときの症状」と「起きているときの症状」の2つにわけられます。
眠っているときの症状
まずは、眠っているときに現れる睡眠障害の症状の代表例を紹介します。
これらの症状は単独で現れることもありますし、複数の症状が組み合わさって現れることもあります。
入眠障害 |
寝つきが悪い ベッドに入って30分以上たっても眠れない |
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中途覚醒 |
途中で目が覚める 一度目が覚めると、寝付けない |
早期覚醒 |
朝早くめがさめてしまう |
熟眠感欠如 |
ぐっすり眠れたという感覚がない |
起きているときの症状
睡眠障害では、起きているときにもさまざまな症状が現れます。
代表的な症状を紹介します。
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睡眠障害の治療方法
睡眠障害の治療方法は薬での治療だけでなく、いくつかの治療を組み合わせて行われます。
睡眠障害の原因がストレスの場合はストレスを軽減したり、他の病気や薬が原因の場合には病気の治療や薬の変更などの対処をしたりすることが、睡眠障害改善の1歩です。また、体内時計が乱れないように寝る時間や起きる時間を一定にする、太陽の光を浴びて体内時計を調整するのも大切です。
まれにお酒がなければ眠れないと、夜寝る前にお酒を飲む人もいますが、睡眠障害を解消するための飲酒は推奨できません。寝酒は一見、寝つきをよくするように感じるかもしれませんが、実際には睡眠が浅くなり、朝早く目が覚めやすくなってしまいます。その結果、さらに体内時計が乱れ睡眠障害が悪化するケースもあります。
眠れない悪循環が改善しない、体調や日常生活にも支障をきたす場合には、病院に相談してみましょう。相談するだけでも症状が軽減するケースもありますし、ひょっとしたら他の病気が隠れているかもしれません。「眠れない…」と一人で悩まず、ぜひ一度当院にご相談ください。
厚生労働省がすすめる『健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~』
厚生労働省は睡眠に関する正しい知識を身につけ、健康的な心と体をつくるために以下の『健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~』を提唱しています。
『健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~』
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引用:健康づくりのための睡眠指針 2014 平成26年3月厚生労働省健康局
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
指針の各要項では、睡眠障害への対処方法をより詳しく対処方法を解説しています。
ぜひ、一度目を通してみてくださいね。
まとめ
今回は睡眠障害についてまとめました。一言で「睡眠障害」といってもその原因や症状、程度はさまざまです。数日間で改善する人もいれば、数週間~数年単位で睡眠障害に悩まされている人もいます。
睡眠障害は現代の国民病の1つとされており、ときに心と体の健康を脅かしたり、日常生活や仕事のパフォーマンスを低下させたり、他の生活習慣病の原因になったりする可能性があります。
もし気になる症状がある方は、ぜひ一度当院にご相談ください。あなた自身、そしてあなたの身近な人の心の健康を守るために、スタッフ一同全力でサポートします。
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参考資料
1)睡眠障害とは 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-suimin/suiminshogai.html
2)睡眠と生活習慣病との深い関係 厚生労働省 e‐ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
3)健やかな眠りの定義 厚生労働省 e‐ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-001.html
4)不眠症 厚生労働省 e‐ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html
5)健康づくりのための睡眠指針 2014 平成26年3月厚生労働省健康局 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf