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産後うつの症状と危険性・対策について|マタニティーブルーズとの違いとは?

[2023.07.24]

新しい命の誕生はかけがえのない喜びがある一方で、同時に新たな生活や責任に対するプレッシャーや不安も増える時期でもあります。そして、そんな中で心にもやもやした気持ちやマイナスな感情が立ち込めるような感覚、それが「産後うつ」です。

出産を控えた方も、産後の方も、パートナーやご両親などの周りの方も、全員が産後うつについて理解することが大切です。この記事では、「産後うつ」について、その原因や症状、そしてどのようにして乗り越えることができるのか、その方法をわかりやすく解説します。

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産後うつとは?

まず、産後うつとはどのようなものか、どのような状態の方がなりやすいかについて解説します。

産後うつの定義と症状

産後うつは、出産後数週間後〜1年後程度の期間に生じる、気分の落ち込みや自己評価の低下などのことです。産後は、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少します。エストロゲンは、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の調節をするなど、精神を安定させる作用をするホルモンです。

したがって産後にはエストロゲンが急激に減少してしまうため、精神的に不安的になってしまうのは、自然なことといえます。つまり誰でも、産後うつになる可能性はあるということです。

産後3か月までの間が特に発症しやすいといわれますが、里帰りを終えて自宅に戻る産後1か月の時期、寝返りを始める時期などにも発症しやすいというデータもあります。発症率は10〜15%程度で、皆さんが思っているより高いのではないでしょうか?コロナ禍では、30%近い方が産後うつ状態になったという報告もあります。

出産に関係のない通常の「うつ病」とも症状は似ています。ご本人だけでなく、パートナーや両親など、周りの方も産後うつについてよく理解することが大切です。

<産後うつの症状の例>

  • 気分が落ち込む
  • 食欲がなくなる
  • 眠れない
  • わけもなく涙が出る
  • 自分を責めてしまう
  • 悲観的になる
  • イライラする
  • 赤ちゃんのことで不安になる
  • 赤ちゃんのお世話をする気力が湧かない

マタニティーブルーズとの違い

マタニティーブルーズ(マタニティブルー)は、産前〜産後2週間程度のうちに生じる精神的な不調のことで、産後の女性の30〜50%ほどが感じた経験をもちます。こちらも珍しいことではありません。

イライラ・落ち込み・情緒の不安定さ・眠れないといった、産後うつと似たような症状が出ます。たいていは一時的なもので、10日前後で自然と軽快することが多いです。産後うつよりも生じる時期が早く、自然に軽快するというのが産後うつと異なります。

ただし、一部の方はマタニティーブルーズが長引き、産後うつへと移行する場合があるため、「マタニティーブルーズは放っておいても大丈夫なもの」というわけでもありません。きちんと心身の休養をおこなうようにしましょう。

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産後うつになりやすい要因

産後うつは、どなたでも発症する可能性があり、発症する人に何か悪いところがあるというわけではありません。とはいえ、「なりやすいかもしれない」と予想しておけば、サポート体制を手厚く準備しておくなど対応がしやすくなります。どのような要因があると産後うつを発症しやすいのか、みてみましょう。

  • 「うつ病」の既往がある
  • 妊娠中にうつ症状や強い不安があった
  • 健康状態がよくない
  • 初産婦
  • 産後のネガティブな経験
  • パートナーの不在や単身赴任、両親のサポートが得られないなど、いわゆる「ワンオペ」の状態である

このほかに、コロナ禍では他の母子と関わる機会が減ってしまったこと、感染の不安、金銭的な不安などが、産後うつの増加に関与したと考えられています。

あなどらないで!産後うつの危険性

なかには「お母さんになったんだから、このくらい出来なくちゃ」と自分を奮い立たせて頑張ってしまったり、周りから「母親になったのにそんな心意気じゃだめだ」のように言われてしまったりして、心身のケアがうまく出来ないという方も少なくありません。

これは「産後うつ」という言葉から、あまり深刻さが伝わらないせいかもしれません。ですが、産後うつは非常にデリケートかつ難しい問題で、ときには深刻な状態にまで陥ってしまうものです。

実際、産後うつは「命に関わる状態」であることがわかっています。

2015〜2016年の2年間で、妊婦と産後1年までの女性357人の死因を調べたところ、自殺が102人で最も多いという結果でした。自殺の時期は、妊娠中が3人、出産後が92人、死産後が7人で、35歳以上の方・初産婦の方で自殺率が高い傾向にあります。

適切に対応をおこなうことができれば、産後うつはきちんと改善することが多いです。周りの方の理解やサポートが重要になりますので、一人で抱え込まずにご相談ください。

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次からは、産後の心身のケアのために使用できるサポートについてご紹介します。

産後うつの対策

産後うつの予防のためにできることや、なってしまったときの対策について知りましょう。

サポート体制をととのえる

出産は、母体の心身に大きな影響をもたらすものです。産後にしっかりとしたサポート体制をととのえ、心身をやすませることができるようにしましょう。パートナーや両親など、サポートの手が足りないとあらかじめわかっている場合には、公的・私的なサービスの活用はいかがでしょうか。

たとえば、最近注目されているのは「産後ケアセンター」です。施設への宿泊型や日帰り利用型のほか、ご自宅へ来てもらう訪問型の産後ケアもあります。自治体の助成で費用が安くなる場合もあるため、お住まいの自治体の産後ケアを調べてみてください。たとえば、東京都新宿区であればこちらのページから産後ケア施設を検索できます。

「ベビーシッター」を利用して、一人でゆっくり休んだり、産後うつのカウンセリングなどへ行く時間を取るのもよいでしょう。自治体やお勤め先によっては、ベビーシッターの利用に助成やクーポンが出ることもあります。

パートナーなど周囲の方は、本人が頑張りすぎないように声かけやサポートをおこない、休養できる環境を整えることが大切です。本人の「つらい」という気持ちを否定しないようにしてください。関わり方についても、医師・助産師・保健師・カウンセラーなど専門家からのアドバイスを受けましょう。

カウンセリング

産後は、授乳の関係で「お薬を使うのは心配だな」という方も多いです。そういった方は、まずはカウンセリングなどで話を聞いてもらい、自分に合った対策を一緒に考えるのがよいかもしれません。

心身の不調を感じた場合には、早いうちに「専門家とつながる」ということが大切です。

もっとも身近で、産後に関わるチャンスの多い専門家は産科や小児科のかかりつけ医・助産師や保健師でしょう。赤ちゃんの健診のときなどに、お母さんの心身の状態についてもお伝えください。

各自治体には「子育て世代包括支援センター」が設置されていて、保健師や看護師などの専門スタッフが妊娠中〜子育て期のさまざまな支援・サービスをおこなっています。医療や福祉との連携もおこなうため、必要に応じてカウンセリングや医療機関の受診に繋げてもらうことができます。

それ以外にも、産後のお母さんをサポートするための相談窓口はいくつかあります。たとえば、「日本産後ケア協会」では、毎月2回、火曜日の夜21〜24時の間で電話相談を受け付けています。助産師の資格を持った専門家に相談することが可能です。

「日本助産師会」でも、毎週火曜日の10〜16時に電話相談を受け付けています。また、都道府県ごとに対応は異なりますが、相談窓口での対面相談やご家庭へ来てもらっての相談などをすることが可能です。こちらのページでお住まいの地域の窓口を確認の上、連絡してみてはいかがでしょうか。

「産後ケアセンター」でも、臨床心理士などの専門家によるカウンセリングが受けられます。自治体によって相談できる曜日や時間が違いますので、お住まいの地域の産後ケアセンターへお問い合わせください。

お薬を使ったサポート

授乳中でも、使える薬はたくさんあります。時には薬の力を頼って心身を休ませることも考えてみましょう。気持ちの落ち込みを抑える薬や、不安が強くなったときに和らげてくれる薬などがよく使われます。

もちろん、なるべく薬を使いたくないという気持ちがあれば、無理強いされることはありません。精神科・心療内科では、薬を使った治療だけでなく、専門家とのカウンセリングも受けることができます。つらい気持ちがある方は相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

「産後うつ」は、新たな生命を迎えた喜びとともに訪れる、一時的な霧のような状態です。本記事では、産後うつの原因と症状、そしてその対処法を詳しく説明しました。私たちは産後うつについて語ることで、この状態を理解し、それに適切に対応する手段を提供することを目指しました。

この状態を経験しているあなた自身、またはあなたの周りの人たちは、産後うつが一時的であり、適切な支援と理解があれば必ず克服できることを覚えておいてください。誰もが自分自身のペースで回復し、それぞれの経験は個々のものです。

もし何か問題を感じたら、遠慮せずに専門家の助けを求めてください。産後の心の健康は、あなた自身とあなたの家族のためにとても重要です。この記事が皆様の理解と援助の一助となることを心から願っています。

産後うつは、出産した女性の10〜15%、コロナ禍では30%もの割合で発症します。命に関わることもある状態であるため、軽く考えず、周りのサポートを得て心身をゆっくり休ませることが大切です。

産後うつかもしれない、と思ったら、かかりつけ医や保健師などの専門家に相談するか、今回ご紹介したようなサポート機関に連絡をとってみてください。

 

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