家でも外でも! やっておきたい花粉症対策まるわかり
毎年、花粉症のシーズンになると、憂鬱になる方も多いでしょう。
新型コロナウィルスが流行し始めてからは、マスクによる花粉症対策ができている方は増えています。
しかし、ほかにどのような対策をすればよいか分からないということもあるのではないでしょうか。
この記事では、花粉症を避けて快適に過ごすためにできる対策について、詳しく紹介します。
目次
対策のカギは花粉を吸わない、持ち込まない
花粉症への対策においては、花粉を体の中に吸い込まないことと家に持ち込まないことが基本です。
そのためには、外出時はマスクが必須となります。
加えて、体や目などになるべく花粉が付着しないようにする対策も必要でしょう。
体に付着してしまった花粉は必ず落としてから家に入り、室内に花粉を持ち込まないようにも配慮してください。
それでも花粉は少しずつ室内に蓄積されるので、こまめに掃除して取り除く必要があります。
また、花粉による不快感を防ぐには、薬で症状を抑えることも必要な対策です。
そもそも花粉症って?
花粉症はアレルギー物質への過剰反応
花粉症は、私たちの体に備わっている免疫システムの過剰反応によるものです。
免疫システムには、体に入ってきた異物を攻撃して外部へ排出しようとする働きがあります。
体内に入ってきた花粉を体が異物と判断すると、免疫システムが働いてアレルギー反応が現れます。
アレルギー反応を起こす原因物質をアレルゲンと呼び、花粉以外にもたとえばホコリやダニなどさまざまなものが該当します。
アレルギーの典型的な症状は、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどです。
人によっては、頭痛が生じる場合もあります。
花粉症のシーズンは春と秋。1年中飛散するものも
花粉症のシーズンは春と秋で、春のスギやヒノキ、秋のブタクサ、通年のイネなどが主にあげられます。
ただし、アレルゲンとなる花粉の種類は約60種類あるといわれており、発症のリスクは1年を通じて無くなりません。
さらに2023年は、多くの地域で全国的に例年よりも花粉の飛散量が増えると予想されているため、注意しなければなりません。
以下では、花粉症対策として具体的にどのようなことをすればよいかを、詳しく紹介します。
外出する際の花粉症対策は?
外出時はニュースなどで花粉の飛散量のチェックを
花粉症のシーズンである春や秋は、外出時に取り込む花粉の量をなるべく少なくすることが重要です。
天気予報を見て、花粉の飛散量を確認するとよいでしょう。
なお、晴れの日、曇りの日、雨が降った翌日、最高気温が高い日、乾燥している日などは、花粉の飛散量が増えやすいといわれています。
飛散量が多い日は、外出を控えるか普段よりも対策に力を入れてください。
外出時の具体的な花粉症対策を、次から紹介していきます。
毎日の習慣にし、忘れずに行えるとよいですね。
外出時はマスク、メガネを着用し、帰宅後はすぐ着替えを
外出時の花粉対策には、特にマスクやメガネが効果的です。
マスクをつけていれば、何もつけていないときと比較して吸い込む花粉の量が6分の1から3分の1程度になるという調査結果があります。
マスクは不織布タイプのものをおすすめします。
隙間ができないよう、サイズは自分の顔に合うものを選びましょう。
メガネをつけている場合、何もつけていないときと比較して眼に付着する花粉の量が3分の1から2分の1程度になるともいわれています。
普段コンタクトをしている方がメガネに変えると、結膜炎になるリスクを下げることも可能です。
さらに、外出前に衣類に静電気除去スプレーをかければ、花粉が付着しにくくなります。
毛足の長い衣類はどうしても花粉がつきやすいので、なるべく避けましょう。
服装に注意したうえで、帰宅後は体に付着した花粉をしっかり落とす必要があります。
室内に入ったらすぐに手洗いやうがいをすることが重要です。
鼻うがいをすると、鼻の中に入り込んだ花粉も洗い流せます。
帰宅後は着替えをし、なるべく早く顔や髪も洗うようにし、体の表面についている花粉を徹底的に落とすことをおすすめします。
家の中での花粉症対策は?
なるべく家の中に入れず、入った花粉はこまめに掃除を
室内で過ごしていても、すでに外から花粉を持ち込んでいたり、換気によって室内に花粉が入ってきたりする場合があります。
外に洗濯物を干して取り込んだ際に、室内に花粉が入ってくることもあるでしょう。
知らないうちに花粉がたまりやすい場所は、玄関や窓など空気の出入り口の近くです。
また、布や毛足の長い素材が使用されている家具にも花粉がたまります。
たとえば、カーテン、ソファ、ベッドなどは注意が必要です。
朝の起き抜けに発作的なくしゃみ、鼻水などの症状が出ることをモーニングアタックといいますが、寝室に花粉がたまっていると、このモーニングアタックの原因になります。
モーニングアタックはひどい症状が出る場合もあるので、寝具や寝室の床は入念に掃除したほうがよいでしょう。
花粉を家に入れないための5箇条
花粉を家に入れないために意識したいポイントは主に以下の5つです。
- 窓や戸はなるべく閉める
- 換気する際は窓を小さく開け、短時間だけ行う
- 洗濯物は外に干さず、室内に干したり乾燥機を使用したりする
- こまめに掃除をする(窓際は念入りに)
- 空気清浄器を使用する
窓や戸を開けっ放しにすると、花粉が風に乗って室内に入ってきます。
なるべく閉めておき、換気が必要な時は最低限の時間にとどめましょう。
すでにふれているとおり、外に干した洗濯物に花粉が付着し、室内に持ち込まれてしまう場合があります。
洗濯物は室内で乾かすようにしてください。
また、どれだけ気をつけていても、花粉は少しずつ室内に入ってきてしまいます。
こまめに掃除をしつつ、空気清浄機も活用して室内に入ってきた花粉を素早く除去しましょう。
日常的にできるその他の対策は?
生活スタイルを整え、健康的な暮らしを
花粉症の症状を少しでも抑えるためには、日々の生活も見直すことが大切です。
たとえば、喫煙している方はタバコの煙が鼻の粘膜を刺激してしまうため、花粉症
の症状が悪化しやすくなります。
禁煙を心がけましょう。
また、刺激の強い香辛料ばかりを好んで食べている方も、鼻の粘膜に刺激を与えやすいため注意が必要です。
さらに、過度な飲酒、睡眠不足、過労、ストレスなども、花粉症をひどくする原因になります。
春や秋になると肌荒れが気になる方は、もしかしたら花粉症が原因かもしれません。
花粉が肌に付着すると赤みやかゆみの原因になる場合があるので、スキンケアにより肌のコンディションを整えてください。
腸内環境を整えることも花粉症対策に
花粉症対策としては、腸内環境を整えることも有効です。
すぐに劇的な効果を期待できるわけではないものの、腸内環境を整えれば免疫機能が強化され、結果的に花粉症の症状が出にくい体になります。
腸内環境を整えるには食事の見直しが必要です。
たとえば乳酸菌が含まれている食品は、花粉症などのアレルギーへの対策に一定の効果があると考えられています。
乳酸菌が腸内環境を改善し、免疫機能を強化してアレルギーの症状を抑えられるからです。
また、食物繊維も腸内環境を整える働きがあります。
食物繊維は乳酸菌のエサになるため、乳酸菌と食物繊維を一緒に摂取するのがおすすめです。
ただし、乳酸菌や食物繊維を摂取しているからといって、花粉症の症状がまったく出なくなるわけではありません。
ほかの対策も実践しながら、一緒に食事の見直しにも取り組むとよいでしょう。
なお、花粉症対策になる食品やサプリメントとして、他にもさまざまなものがあげられています。
しかし、医学的には効果が認められていない食品も多いため、注意しましょう。
花粉症の治療でできる対策は?
治療は主に症状を抑えるものと根本的に治すもの
花粉症の治療としては、主に花粉症として生じた症状を抑えるものと、花粉症そのものを根本的に治すものの2種類があります。
花粉症の症状が出た場合、市販薬を購入して改善しようとする方も多いでしょう。
しかし、初めて花粉症の症状が出た時は、まずは専門の病院で診てもらうことをおすすめします。
花粉症は風邪などほかの病気と症状が似ているため、素人では正しい判断ができない場合があるからです。
花粉症と風邪の共通する点を詳しく紹介します。
まず、花粉症でも風邪でも、鼻水や鼻づまりなどの症状が出ます。
花粉症の場合の鼻水は透明または白であるのに対し、風邪の場合の鼻水は黄色や緑がかかった色などです。
ただし、見慣れていないとどちらも同じように見える可能性があり、誤った判断で症状に効かない市販薬を飲んでしまう恐れがあります。
くしゃみや鼻水などの症状が強いなら耳鼻科、目のかゆみが気になるなら眼科を受診しましょう。
複数の症状がある場合は、内科、小児科、アレルギー科などでも相談できます。
早めに医師に診てもらい、適切に対処しましょう。
薬による花粉症対策は対症療法がメイン
花粉症対策として薬を使用する場合、基本的には対症療法となります。
対症療法とは、実際に表れる症状を抑えるための治療で、病気の根本的な治癒を目標としていないものです。
花粉症対策で使用する対症療法のための飲み薬には、主に抗ヒスタミン薬とステロイド薬があります。
抗ヒスタミン薬は少しずつ効いていくため、早めに服用すると効果を感じやすいです。
一方、ステロイド薬は即効性がありますが、副作用に注意が必要です。
よって、特に症状が重い場合に用いられます。
また、特に鼻の症状を和らげたいときは、ステロイドの点鼻薬もあります。
花粉症の薬を用いる際は、実際に症状が出るよりも前に服用を始めることが大切です。
粘膜の炎症を抑えられ、重症化も避けられる可能性が高くなります。
その他の治療の中には根治を期待できるものも
鼻の症状に対しては、レーザー治療が行われる場合もあります。
鼻の中の粘膜をレーザーで焼き、アレルギー反応を起こさなくする方法です。
短時間で施術が済み、何度も繰り返す必要もありません。
ただし、効果が持続するのは数年程度とも言われ、根本的な治療にはつながりづらい面もあります。
体質を改善し、根治が期待できる治療法として、治療としてアレルゲンを体内に少しずつ取り込み、アレルギー反応を起こさないようにする治療があります。
これはアレルゲン免疫療法(減感作療法)と呼ばれており、具体的な治療法としては舌の裏に薬を垂らしてアレルゲンを体内に取り込む、舌下免疫療法などがあります。
毎月1回のペースで通院すればよいので、比較的気軽に取り組めるでしょう。