ヘルパンギーナと手足口病ってどんな病気?
突然ですが「ヘルパンギーナってよく聞くけどどんな病気なの?」「保育園の友達が手足口病に感染したけどどんな病気?」という疑問をお持ちのご家庭は少なくないのではないでしょうか?
この記事では、夏になるとよく聞く「ヘルパンギーナ」と「手足口病」について、何が原因で感染するのか、感染後早く治すためにはどうしたら良いのかなどの対処法を丁寧に解説していきます。
この記事で分かること
- ヘルパンギーナ・手足口病は、子供が感染しやすい病気で三大夏風邪の1つ
- ヘルパンギーナ・手足口病は、現状特効薬がないため安静が大切
- ヘルパンギーナ・手足口病は、予防法として手洗いうがい・手指・身の回りの消毒が有効
ヘルパンギーナとは
ヘルパンギーナとは、子供が感染しやすい病気で三大夏風邪の一つです。
「手足口病」や「プール熱(咽頭結膜熱)」と並んで、夏になると子供に流行することがあります。ヘルパンギーナに感染する原因として、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどに感染することが挙げられます。
ヘルパンギーナは、現状効果的な治療薬が開発されていません。よって安静にすることが治療として大切です。
ヘルパンギーナの症状
ヘルパンギーナは、感染後は2〜4日間の潜伏期間があり、その後に症状が現れます。突然38〜40度の発熱を引き起こし、発熱に続いて喉の粘膜の発赤が見られます。
口の中の喉の上側に直径1〜2mm、大きいものでは5mm程度に赤く腫れ、中心部に小さな水疱を伴った発疹が出現します。その水疱が破れて、浅い腫瘍となり、痛みが出現します。ヘルパンギーナは口の奥である口蓋垂という部位や口蓋扁桃あたりに水疱ができることが多く、口の前方や舌にできることは少ない傾向です。
まだ自分の言葉でうまく症状を伝えられない赤ちゃんなどの場合は、以下のような様子の変化が見られます。
- 不機嫌になる
- 食欲不振、水分を取らない
- ミルクや母乳を飲まない
ヘルパンギーナなどのエンテロウイルス感染症は稀ですが、髄膜炎(強い頭痛、嘔吐)、脳炎(意識障害、ふらつき)、急性心筋炎(著しい顔色不良、胸痛、呼吸困難)などを合併することもあるため、注意深く経過観察することが大切です。
ヘルパンギーナの感染経路
ヘルパンギーナは、人から人に感染するウイルス感染症です。
主な感染経路は以下の3つが挙げられます。
- 飛沫感染
- 接触感染
- 糞口感染
飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみに含まれたウイルスを吸い込むことで感染することを指します。また接触感染とは、感染者の唾液、鼻水などに含まれるウイルスが間接的に体内に入ることで感染することを指します。
例として、感染者が唾液や鼻水を拭いた手で机を触った場合、その後に他の人が同じ机を触ることで、手にウイルスが付着します。もしそのまま手を洗わずに素手で何かを食べたりした場合は、感染の可能性があるでしょう。
糞口感染とは、感染者の便に含まれたウイルスが間接的に体内に入ることで感染します。
手足口病とは
手足口病とは、ヘルパンギーナと同様に子供が感染しやすい病気で三大夏風邪の一つです。
手足口病に感染する原因は、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他、コクサッキーウイルスA10などに感染することが挙げられます。ヘルパンギーナと同様、現状効果的な治療薬が開発されていません。
よって、安静にすることが治療として重要になります。
発熱や身体のだるさなど、一般的な風邪の症状が現れますが、皮膚症状がより特徴的です。主に、以下の3つの部位に水疱が現れる傾向にあります。
- 手のひら
- 足の裏
- 口の中
このような症状から、手足口病と呼ばれています。
手足口病の症状
手足口病の代表的な症状は以下の通りです。
- 発熱(37~38度)※熱が出るのは約半数、38度以上に及ぶのは約30%
- 喉の痛み
- 口内の水疱(2~5mm)
- 手のひら/足の裏の水疱(2~5mm)
- お尻の周囲の水疱(2~5mm)
- 水疱の痛み
感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜5mmの水疱性発疹が出て、水疱に痛みがあるのが特徴です。特に口内は激痛を伴うため、飲食が困難になったり、足の裏の水疱の痛みによって歩行が困難になるケースもあります。
逆に、見た目は痛々しそうに見えても、思いのほか平然としている子供も見られるため、水疱の痛みには個人差があり、一概には言えません。
水疱の治癒過程では、かさぶたを形成しないのが一般的ですが、症状は必ずしも手・足・口の3箇所全てに症状が出るとは限らず、個人差があり、以下のような可能性があります。
- 手足だけに水疱が発生するケース
- 口内だけ水疱が発生するケース
- お尻の範囲にも水疱が発生するケース
- 背中にまで水疱が発生するケース
- 水疱より、赤い発疹に見えるケース
- 治癒過程でかさぶたを形成するケース
手足口病で高熱が出るのは稀で、37度台で38度以上の熱が罹患者の30%程度に見られます。ほとんどの感染者は、数日のうちに治る病気ですが、稀に中枢神経系(髄膜炎、小脳失調症、脳炎など)の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出現する場合があります。特にエンテロウイルス71(EV71)に感染した場合には、他のウイルスによる手足口病と比べて、中枢神経系の合併症を引き起こす可能性が高いことが明らかになっています。
手足口病の感染経路
手足口病は、ヘルパンギーナと同様に人から人に感染するウイルス感染症です。
主な感染経路は3つです。
- 飛沫感染
- 接触感染
- 糞口感染
ヘルパンギーナと手足口病の違いと検査方法
ヘルパンギーナ・手足口病に加えてアデノウイルスは、夏の3大感染症として有名な病気です。
ヘルパンギーナと手足口病は症状がよく似ています。
この2つの一番の違いは、ヘルパンギーナに関しては40度近い高熱が出ますが、手足口病は平熱か微熱程度で済むことが多いことです。またヘルパンギーナは、口の中のみに水疱ができますが、手足口病は手足にも皮疹ができることも大きな違いの1つと言えます。
それぞれの検査方法ですが、現状は症状だけで特定することはできないため、原因のウイルスを特定するには病原診断(検査)が必要です。
ヘルパンギーナに感染したら
ヘルパンギーナの疑いがある場合や感染した場合、診療科目は小児科が基本的です。
治療として、口内炎(口の中にできた腫瘍)に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方される場合がありますが、上でも述べた通りヘルパンギーナに対する直接的な特効薬はありません。
ヘルパンギーナに感染すると、喉の痛みで食欲がなくなるため、以下のような噛まずに飲み込めるものを推奨します。
- ゼリー
- プリン
- アイス
- 豆腐
- 冷めたおかゆ
また脱水症状を防ぐために、水分は十分に摂取する事が大切です。
保育園や幼稚園などは熱が下がって、口の痛みがなくなるまで休むことを推奨します。食欲がでて、体調が整ってから行くようにしましょう。
ヘルパンギーナの治療法
繰り返しにはなりますが、ヘルパンギーナに対する特効薬はありません。
よって、自宅で安静にすることが何よりも大切です。
口内炎(口の中にできた腫瘍)に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などの処方で対処します。熱が出た場合は、解熱剤を使用したりします。
また、口内の水疱や喉の痛みによって、飲食物を飲み込むことが難しくなるため、脱水症状を招く恐れがあるため、場合によっては、医師の判断で点滴からの水分摂取である「経静脈的補液」を検討します。
まれに髄膜炎・脳炎を合併することがあるため、頭痛や嘔吐、高熱が続く場合には病院を受診しましょう。
ヘルパンギーナの予防法
ヘルパンギーナ感染の予防としては、飛沫や手指を介して感染するため、基本的に手洗いうがい、手指・身の回りの消毒が挙げられます。
近所で流行っている場合には、おもちゃの貸し借りにも注意するべきです。念入りな洗浄・清拭で物理的にウイルスを除去した後、次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)、場合によっては消毒用エタノールで消毒することを推奨します。
また便にもウイルスがいるため、子供の排泄後はしっかり手洗い・手指消毒をするように指導し、赤ちゃんのおむつ交換の後も手洗い・手指消毒をするようにしましょう。
感染している家族がいる場合は、基本的に食器やタオルの共有は避ける事を推奨します。
さらに、夏の暑さで体力が落ちているときに、エアコンで部屋を冷やしすぎたりすると、夏風邪にかかりやすくなります。よって、エアコンの温度設定にも気を付けましょう。
手足口病に感染したら
ヘルパンギーナに感染した場合と同様、診療科目は小児科が基本的です。大人の場合は、内科を受診しましょう。
ヘルパンギーナと同様に、手足口病に対する直接的な特効薬はありません。口内炎(口の中にできた腫瘍)に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方される場合があります。
喉の痛みで食欲がなくなるため、噛まずに飲み込めるものを推奨します。また脱水症状を防ぐために、水分は十分に摂取する事が大切です。
保育園や幼稚園などは症状が落ち着いて、口の痛みや体の発疹がなくなるまで休む
ことを推奨します。食欲が出て、体調が整ってから行くようにしましょう。
手足口病の治療法
ヘルパンギーナと同様に、現状、手足口病に対する特別な治療法はありません。
手足口病と診断された場合は、自宅で安静にしながら回復を待つことが推奨されます。
手足口病で高熱が出るケースは少なく、基本的には解熱剤は必要しません。しかし高熱が出る可能性もあるため、医師の判断でその場合は解熱剤の処方を検討します。
水疱が痒みを伴うケースも多くはないですが、痒みが強い場合は、医師の判断で必要に応じて、アレルギー反応を抑制し、痒みや発赤などの症状を緩和させる「抗ヒスタミン剤」を処方します。
また口内の水疱や喉の痛みによって、飲食物を飲み込むことが難しくなるため、脱し症状を招く恐れがあるでしょう。そのため場合によっては、医師の判断で点滴からの水分摂取である「経静脈的補液」を検討します。
手足口病の予防法
手足口病はヘルパンギーナと同様にウイルス感染です。よって、飛沫や手指を介して感染するため、手洗いうがい、手指・身の回りの消毒が基本的に挙げられます。
子どもの鼻をかむ手助けをした後や鼻をかんだティッシュに触った際などにも、手洗いをすることを意識しましょう。
また便にもウイルスがいるため、子供の排泄後はしっかり手洗い・手指消毒をするように指導し、赤ちゃんのおむつ交換後も手洗い・手指消毒をするようにしましょう。
感染している家族がいる場合は、基本的に食器やタオルの共有は避ける事を推奨します。
さらに夏の暑さで体力が落ちているときに、エアコンで部屋を冷やしすぎたりすると、夏風邪にかかりやすくなります。エアコンの温度設定にも気を付けましょう。
まとめ
ヘルパンギーナ・手足口病とは、アデノウイルスを加えて子供が感染しやすい病気で三大夏風邪の一つです。
ヘルパンギーナに感染する原因は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどに感染することが挙げられます。
手足口病に感染する原因は、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他、コクサッキーウイルスA10などに感染することが挙げられます。
ヘルパンギーナ・手足口病は、現状特効薬が開発されていません。よって、安静にすることが治療として大切です。
ヘルパンギーナ・手足口病は、ウイルス感染症で、飛沫感染・接触感染・糞口感染によって、人から人に感染します。基本的な予防方法として挙げられるのが、手洗いうがい、手指・身の回りの消毒です。
ヘルパンギーナ・手足口病に感染した場合、診療科目は小児科が基本的です。大人の場合は、内科を受診しましょう。
ヘルパンギーナ・手足口病に対する直接的な特効薬がありませんが、口内炎(口の中にできた腫瘍)に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方される場合があります。
喉の痛みで食欲がなくなるため、噛まずに飲み込めるものを推奨します。また脱水症状を防ぐために、水分は十分に摂取する事が大切です。
保育園や幼稚園などは症状が落ち着いて、口の痛みや体の発疹がなくなるまで休むことを推奨します。食欲が出て、体調が整ってから行くようにしましょう。
ヘルパンギーナと手足口病について、これまでの内容を踏まえて、ヘルパンギーナ・手足口病の症状や治療法、予防法を理解し、まずは感染しないための予防の徹底をしましょう。感染した場合は適切な対処を行い、早期復帰ができるように、また、感染を広げないように行動へ移していきましょう。
【参考サイト】
■わしお耳鼻咽喉科
https://washio-jibika.com/blog/%E6%89%8B%E8%B6%B3%E5%8F%A3%E7%97%85/
■病気スコープ ヘルパンギーナとは
https://fdoc.jp/byouki-scope/disease/herpangina/?utm_source=byou
■キャップスクリニックhttps://caps-clinic.jp/herpangina/ki-scope&utm_medium=link&utm_campaign=rsvirus
■ALL About 健康・医療
https://allabout.co.jp/gm/gc/382157/#7
■病気スコープ 手足口病とは
■辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科
https://tsujido-3387.com/column_sick/column_sick-557/
■いのちをつなぐSARAYA
https://family.saraya.com/kansen/herpangina/
■院長のコラム
https://www.sakai2216.net/column/column_006.html
■ケンエー 健栄製薬
https://www.kenei-pharm.com/general/infection/herpangina/
■EPARKクリニック・病院
https://fdoc.jp/babymama-hot/hand-foot-and-mouth-disease-4144/