コロナ医療用抗原検査キットの通販 8月内に解禁へ
新型コロナウイルスの感染を調べる抗原検査キットの通販を8月中にも解禁するよう政府が調整を開始しました。
第7波が感染拡大している今日、発熱外来に患者が殺到して十分な検査を受けずらい状態が続いています。
より多くの患者に必要な検査を受ける機会を増やすため、通販での普及に期待がかかります。
目次
2.これまでネット上で買えていた検査キットと今回解禁になる検査キットの違いは?
コロナ検査キットの通販解禁の背景
医療用検査キット 特例として一般用医薬品 (OTC)と同様の扱いに
そもそもなぜ今まで需要はあるにも関わらず抗原検査キットの通販がされていなかったのでしょうか。
それは抗原検査キットが医薬品医療機器法上「医療用」に分類されているからです。
医療機関以外で販売する際は、薬剤師が患者と対面で説明する必要があります。薬局に夜間・休日などで薬剤師が不在の場合は購入する事ができません。
今回、政府はコロナの流行期に限定した特例として医療用である抗原検査キットを通販も可能な一般用医薬品(OTC)と同様の扱いにし、広く行き渡るよう動き始めました。
医療用と一般用医薬品(OTC)の違い
販売方法の違いも出る医療用と一般用医薬品。その違いとは何でしょうか。
「医療用」に分類される薬やキットは医師が患者を診察しその人に合った種類や分量が処方されます。購入には医師が発行する処方箋が必要となります。
「一般用医薬品(OTC)」は、薬局等で処方箋なしで購入できる薬になります。
OTCは「Over The Counter」の略称で「カウンター越し」、つまり薬局等でカウンター越しに薬剤師から説明を聞いて購入する様からこの名称が付けられています。
抗原検査キットの精度と注意点
検査結果の判明まで1日はかかるPCR検査と比べ、抗原検査キットは15分ほどで結果が出ます。
説明書を見ながらすぐに使え検査結果もすぐ判るのでとても便利ですが、その精度はPCR検査と比較すると劣り、結果が陰性であっても偽陰性の可能性があるため、感染対策は継続する必要があります。
この点も、厚生省が抗原検査キットの通販に慎重だった理由の一つで、使用に際しての注意以外に検査結果によっての対処も含めて患者に説明する必要があるため対面での販売が行われています。
通販が解禁される今後もオンラインや書面での薬剤師からの説明の元に正しく使用していく必要があります。
これまでネット上で買えていた検査キットと今回解禁になる検査キットの違いは?
今回の通販解禁の報道以前からネット上で抗原検査キットが販売されていますがこれはどういった事でしょうか。
「研究用」非正規キットの流通
現在ネット上で販売されている抗原検査キットは「研究用」と称される非正規キットであり、性能は不明です。
今回の通販解禁で、国に承認された正規品を患者が入手しやすくなる狙いがあります。
価格高騰が続く薬局店頭販売の正規品
薬局の店頭で販売されている検査キットは正規品ではあるのですが、需要に供給が追い付いていない現在、その価格は高値のまま値下がらない状態です。通販解禁に伴い求めやすい価格に下がる事も期待されています。
抗原検査キットの使い方
身体の不調を感じたら医療機関を受診する事が基本となりますが、発熱外来がパンクしている現状では検査キットの利用も推奨されています。
抗原検査キットは「体外診断用医薬品」を選択して購入しましょう。 「体外診断用医薬品」の表示があるものが国が承認した医療用の抗原検査キットになります。
無症状の状態で検査した場合、結果が正しくない恐れがあるのでコロナ疑いのある症状が出たら検査キットを使用するようにしましょう。
検査キットの使用に当たっては、検査手順の確認や注意点の勉強をしてから行うようにしましょう。
購入時の薬剤師の説明、アドバイスがとても重要です。
抗原検査キットでの検査後の対処方法
抗原検査キットで検査後、陽性の場合は速やかに医療機関の受診を。
陰性の場合は、偽陰性の可能性もあるので症状がある場合は医療機関に相談を。症状が無い場合でも感染予防対策を継続する必要があります。
コロナ抗原検査キットのネット通販の仕方
現在検討中ですが抗原検査キットをネットで購入した際の薬剤師による説明は書面やオンラインで行われるようです。
注意点や使用方法、コロナ陽性だった場合の対応などが説明されます。
ネット購入が可能になる事で発熱や咳などの症状があって病院や薬局に行く事が難しい際の検査キットの入手や前もって家族分をまとめて購入しておく等の備えも可能になります。
今後の政府の詳細発表が待たれます。
自治体による検査キットの配布も
コロナの第7波感染拡大により発熱外来を受診出来ない患者も増えている現在、一部自治体による住民への検査キット無料配布の取り組みも行われています。
ここで配布されている検査キットは国が買い上げて自治体に提供した体外診断用医薬品として承認を受けた抗原検査キット になります。
申し込みの仕方
自分の居住地の自治体が抗原検査キットの配布を行っているかホームページで確認をし、条件や申し込み方法をチェックします。
例)東京都の検査キット配布に関するページを見ると「対象者」や「申込みに係る留意点」、「申込み開始日」や「申込み方法」の案内があります。
新型コロナを疑う症状がある方への抗原定性検査キットの配布について(第3446報)
東京都 報道発表資料 2022年08月01日 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/08/01/32.html
検査キット申し込み時の注意点
自治体の配布は無料ですが、コロナ疑いの症状が有り、かつ1人当たりの申込み回数・個数制限もあるので、利用する際には注意が必要です。(※今後変更になる可能性もあるので希望の際は各自治体にお問合せください。)
例)東京都の場合(2022年08月01日付)
「都内在住(長期滞在者含む)」で「コロナ疑いの何らかの症状がある」「20歳代の方」からの申込みを受付け。「発熱等の症状が出た時点(医療機関受診前)」で申し込みが可能で「1回の申込みで1人1キット」、「検査キット無料配布事業の実施期間中1人2回まで」利用可能。
「専用ホームページ」で配送申込みをする必要あり。1日の申込み数が7万キットに達した時点で当日受付は終了。
自治体での配布では、無症状であったり前もっての備えとして受け取る事は難しいのが現状です。
そもそも自分の居住地の自治体がキット配布を行っていない場合もあるので、ネット通販で正規品の抗原定性検査キットが購入できるようになるのは大きな事と言えます。
まとめ
検査拡充への期待と課題
7月15日付けの新型コロナウイルス感染症対策本部資料内の「保健医療提供体制の確保」の記載において、厚生労働省は抗原定性検査キットの在庫を1.8億回分確保していると説明しています。
この在庫量は安定的な流通に十分な分量としており、今後のネット通販解禁後も安定して在庫を確保できるよう、毎週生産量や輸入量、在庫量をモニタリングしていくとあります。
安定供給のためにはこのような体制のチェックが今後も必須となるでしょう。
医療用抗原定性検査キットの取扱薬局リスト
厚生労働省のホームページには現在店頭で抗原定性検査キットの取扱いがある薬局のリストが公開されています。
今後通販解禁時にも対応する可能性が高い店舗と言えます。
※取扱い薬局や店舗ごとの在庫等は日々変動するので確認時は最新のページを参照ください。
医療用抗原検査キットの取扱薬局リスト
厚生労働省(令和4年8月8日18:00時点)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537_00001.html
参考文献
1)OTC医薬品とは? 日本OTC医薬品協会
https://www.jsmi.jp/what/index.html
2)薬局で抗原簡易キットを購入する方へ 東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/kensa/kitwokounyuusurukatahe.html
3)新型コロナを疑う症状がある方への抗原定性検査キットの配布について(第3446報) 東京都 報道発表資料 2022年08月01日 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/08/01/32.html
4)BA.5参考資料系統への置き換わりを見据えた感染拡大への対応 厚生労働省 第91回(令和4年7月21日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード事務局提出資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000967358.pdf
5)医療用抗原検査キットの取扱薬局リスト 厚生労働省(令和4年8月8日18:00時点)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537_00001.html