めまいや吐き気はコロナのせい? 他の病気が隠れている場合も
体調不良の中で起こる「めまい」や「吐き気」は、さほど珍しい症状ではありません。
しかし「フラフラする」「気持ち悪い」という自覚があると、「新型コロナに感染したのでは」と不安になることもあるのではないでしょうか。
今回は、新型コロナウイルス感染症でめまいや吐き気が出ることはあるのかについて紹介します。
さらにめまいや吐き気の出やすいほかの病気と、その特徴についてもまとめました。
めまいや吐き気を感じたときに参考にしてください。
目次
1.新型コロナウイルスでめまいや吐き気が出るのは一部。ストレスが原因の場合も
新型コロナウイルスでめまいや吐き気が出るのは一部。ストレスが原因の場合も
目が回ったように感じる「めまい」や不快な「吐き気」は、一部の新型コロナウイルスの人に見られる症状です。
ただ、めまいや吐き気があるというだけでは新型コロナウイルス感染症だと断定できません。
また、注意しなければいけない他の病気が隠れていたり、心理的なストレスが原因だったりする場合もあります。
判断に悩む場合は、早めに医師や相談窓口に相談するようにしてください。
コロナ感染症でめまいや吐き気は一部の人に見られる
コロナ感染症に見られる症状を確認
「めまい」や「吐き気」の症状は、新型コロナウイルスに感染したときに現れる可能性があります。
まずは新型コロナウイルスに感染したときに現れる症状について知っておきましょう。
まず、多くの人が経験する発生頻度の高い症状は次の3点です。
- 熱
- せき
- 倦怠感
次に、一部の人に影響を与える可能性がある症状とされているのは以下の通りです。
- 味覚障害
- 嗅覚障害
- 鼻づまり
- 結膜炎
- のどの痛み
- 頭痛
- 筋肉や関節の痛み
- 皮膚の発疹
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 悪寒
- めまい
また、比較的重い症状には次のようなものがあります。
- 呼吸困難
- 食欲減少
- 錯乱
- 胸部の持続的な痛みや圧迫
- 38°C以上の高熱
そのほか、稀に現れる症状としてあげられているものがこちらです。
- 過敏性
- 錯乱
- 意識の低下
- 不安
- うつ
- 睡眠障害
- 脳卒中
- 脳の炎症
- せん妄
- 神経の損傷
このように、「めまい」や「吐き気」は一部の人に出る症状に含まれます。
実際にめまいや吐き気が症状として現れた患者さんの声
実際に、新型コロナウイルスに感染し主観症状としてめまいや吐き気があったという人の事例がこちらです。
39度近い熱が出て食欲もなかった。翌日、同居の父が陽性となり、本人も検査したところ、陽性と判明した。38度台の発熱は4日以上続き、食欲が出始めてからは吐き気や下痢の症状が現れた。(10歳未満男性)
出典:広島県 コロナ感染事例
コロナにかかってしまい10年ぶりくらいに高熱と目眩(めまい)、咳、吐き気と頭痛でベッドから何日も出られずでした。(女優・吉岡里帆さん)
出典:吉岡里帆 過酷な新型コロナ「高熱と目眩、咳、吐き気と頭痛でベッドから何日も出られず」ようやく体調回復を報告・Instagram
吐き気やめまいの症状を訴える声はさほど多いとはいえないものの、一定数存在します。
特定の症状だけでは断定できないコロナ感染症
前提として、症状だけで新型コロナウイルス感染症だと判断することはできません。
新型コロナウイルス感染症の代表的な症状と出現頻度は以下の通りで、風邪やそのほかの感染症と共通しているものも多いからです。
症状 |
症状が出る人の割合 |
発熱 |
約2人のうち1人 |
せき |
|
頭痛 |
|
のど痛 |
約5人のうち1人 |
下痢 |
|
鼻水 |
約13人のうち1人 |
味覚障害・嗅覚障害 |
約3~10人のうち1人 |
この中で新型コロナウイルスの特徴として知られる「味覚障害」や「嗅覚障害」があった場合は、新型コロナウイルス感染症の疑いが強いといえます。
ただし、嗅覚・味覚障害がどの程度の頻度で出るかははっきりしていません。
また、新型コロナウイルスに感染すると必ず何らかの症状が出るというわけではない点には注意が必要です。
症状が軽く発症していることを自覚しない人もいれば、中にはまったく体調不良を感じない無症状の人もいます。
ただし無症状であっても他人への感染力はあり、知らず知らずのうちに感染を広げてしまう可能性があります。
よく言われる味覚障害などが出ないケースもあるので要注意
「嗅覚障害」や「味覚障害」は感染した人すべてに出る症状ではありません。
さらに2021年から2022年にかけて発生した「オミクロン株」では、それ以前と比較して発生頻度が低くなっています。
嗅覚・味覚に異常が発生した割合はオミクロン株では13%にとどまり、以前流行したデルタ株の34%とは大きな差があります。
つまり「嗅覚や味覚に異常がないから新型コロナウイルス感染症ではない」とは断定できないのです。
その一方でオミクロン株では、「のどの痛み」「せき」「鼻水」など、風邪やインフルエンザでもよくみられる症状が出ることが増えています。
症状から原因を突き止めることが困難である以上、重要なのは検査ということになります。
体調不良を感じた際は、インフルエンザの抗原検査や新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受け、診断してもらいましょう。
めまいや吐き気が現れる別の病気にも用心を
暑い時期に注意したい「マスク熱中症」
新型コロナウイルスの感染防止対策として、マスクの着用が推奨されています。
マスクはすでに多くの人が習慣としていることではありますが、気温や湿度が高い時期は「マスク熱中症」を引き起こすおそれがあり、注意が必要です。
マスクを着用すると、鼻と口を覆う構造上、どうしても体内に熱がこもりやすくなります。
さらにマスク内の湿度が上昇することでのどの渇きを感じづらくなる傾向があるのに加え、水分補給が怠りがちになることで脱水症を起こしやすく、たいへん危険です。
熱中症になると次のような症状が現れます。
- めまい
- 吐き気や嘔吐
- 頭痛
- 立ちくらみ
- 倦怠感
- 手足のしびれ
- 足がつる
- 気分の悪化
さらに重症化すると「意識の消失」や「けいれん」が起き、自力で水を飲めない、意識がないといった場合は救急車を要請しなければなりません。
熱中症が疑われる場合は、すぐに冷房が効いている室内や風通しのいい日陰などの涼しい場所へ移動しましょう。
そのうえで衣服を緩め、冷たい水分と塩分を摂ります。
体の表面を濡らして扇風機の風を当てたり、保冷剤や冷えたペットボトルで首のつけ根や脇の下、股関節などを冷やしたりすることも有効です。
ただし吐き気が強く水を飲めない場合は、すでに胃腸の働きが弱っていると考えられるため、無理に飲ませてはいけません。
すみやかに病院へ搬送してください。
熱中症は気温や湿度といった環境条件によって引き起こされるものと考えてしまいがちですが、要因はそれだけではありません。
個人の体調や暑さに対する慣れなども影響してきます。
環境条件としては、気温がさほど高くなくとも、湿度が高くジメジメしていたり、風が弱かったりする日は要注意です。
時期的にはまず体が暑さに慣れていない6月頃が危険で、発生件数としては7月から8月がピークとなります。
マスクによる熱中症の予防には、意識的な水分補給や暑さを避けて過ごすこと、帽子や日傘を積極的に利用すること、体を冷やすことが効果的です。
感染防止と並行して、熱中症対策も忘れないようにしましょう。
めまいや吐き気に隠れたその他の病気
「めまい」や「吐き気」を感じる病気は、新型コロナウイルス感染症のほかにも数多く存在します。
「めまい」を起こす代表的な病気はこちらです。
- 内耳炎
- 慢性中耳炎
- 高血圧症
- 低血圧症
- 脳梗塞
- 脳出血
「内耳炎」や「慢性中耳炎」は耳の中に炎症が起こる病気です。
耳の病気はめまいにつながるものが多く、「メニエール病」や「突発性難聴」もめまいの原因となります。
耳に痛みや違和感がある場合や聞こえ方がいつもと違うと感じたとき、耳鳴りがするときなどは、すみやかに耳鼻咽喉科を受診してください。
また、内耳炎は吐き気を伴うこともあります。
血圧が高すぎる「高血圧症」、血圧が低すぎる「低血圧症」もめまいを引き起こします。
脳の血流が悪くなる「脳梗塞」は後遺症を残すことが多く、発症した場合はすみやかな治療が求められます。
また、脳の中で出血する「脳出血」は、命に関わることもある重大な病気です。
高血圧をそのままにしておくと脳梗塞や脳出血の原因となるため、放置せずに適切な治療を受けることをおすすめします。
次に「吐き気」を感じる病気には、次のようなものがあります。
- 急性胃炎
- 腹膜炎
- 虫垂炎
「急性胃炎」は、細菌やウイルスが引き起こす食中毒やピロリ菌の感染、飲みすぎ・食べすぎなどが原因で起こる病気です。
吐き気のほかに胃痛や嘔吐、下痢などの症状が出ます。
「腹膜炎」はお腹の中にある腹膜が炎症を起こす病気で、主に消化管にあいた穴から内容物が漏れることで起こります。
吐き気に加えて激しい腹痛が起こり、場合によっては緊急手術が必要です。
「虫垂炎」は一般的に盲腸と呼ばれる病気で、吐き気のほかみぞおちの痛みや発熱などを伴います。治療方法は抗生物質の投与や手術です。
進行すると腹膜炎を起こすこともあるため、早めに診察を受けましょう。
めまいや吐き気は心理的なストレスが原因の場合も
新型コロナウイルスの流行により、私たちの生活環境や生活様式は大きく様変わりしました。
「会いたい人に気軽に会えない」「趣味や好きなことができない」など、制約も増えています。
以前であれば何の問題もなかったことや気にもしなかったことにも気を遣う生活を強いられ、心理的な負担を感じている人も少なくありません。
ストレスに長期間にわたってさらされ続けると、多くの人は心や体に変調をきたします。
「めまい」や「吐き気」といった体の不調は、ストレスや不安な気持ちなどから発生することもある症状です。
さらに体の不調だけでなく、集中力の低下や気分の浮き沈み、怒りっぽくなるなど、気持ちの変化が起こることも珍しくありません。
ただ、これはストレスに対する正常な反応です。
これらの不調は時間の経過とともに自然と回復していくことが多いものの、ときには誰かに相談したり、気持ちを打ち明けたりすることも大切です。
ひとりで抱え込まずに、信頼できる身近な人や専門機関に相談することをおすすめします。
コロナ禍で心身の健康を守るには、次のことを心がけましょう。
- 毎日同じ時間に食事や睡眠を取り、規則正しい生活を心がける
- 眠れないときや不安なときにお酒に頼らない
- 無理をせずこまめに休息を取る
- 家族や友人・知人とのつながりを大切にする
- 自分のペースを守る
- 模様替えや掃除で体を動かす
- 日常生活に自宅でできる運動を取り入れる
めまいや吐き気でコロナ感染症が心配な場合は
新型コロナ感染症が心配な時の対応フロー
「めまいがする」「吐き気がある」「発熱した」などの不調を感じ、新型コロナウイルスの感染が疑われるときはまず、日常的に受診しているかかりつけ医に電話で相談してください。
かかりつけ医にみてもらえる場合は、そのまま医師の指示に従って診療や検査を受けます。
ただしこのとき、電話での連絡をせずに直接医療機関を受診してはいけません。
このことは、厚生労働省からもアナウンスされています。
感染拡大を防止する観点からも、まずは電話で連絡をしましょう。
かかりつけ医が特にない場合や休診日で受診できない場合などは、自分が住んでいる各自治体の相談ダイヤルに電話をします。
連絡先の電話番号は、各自治体の公式Webサイトで確認してください。
相談後、新型コロナウイルスへの感染が疑われて受診が必要になった場合は、診療や検査が可能な医療機関の紹介を受けます。
PCR検査の結果、陽性だった場合は症状や状況に応じて「自宅療養」「宿泊療養」「入院」などをすることになります。
陰性の場合(新型コロナウイルス感染症ではなく、別の病気だった場合)は、必要に応じてしかるべき医療機関を受診するか、もしくは自宅療養で様子をみましょう。
コロナ流行下で広がるオンライン診療
新型コロナウイルスの流行により、医療従事者と直接顔を合わせる必要のない「オンライン診療」が広がっています。
オンライン診療とは電話やスマホを使って医療機関に相談や受診ができるシステムで、診察手順は次の通りです。
- 受診したい医療機関(かかりつけ医や近くの医療機関)がオンライン診療を実施しているかどうかを確認する
- オンライン診療の予約をする(予約方法は医療機関によって異なり、電話の場合は保険証などの情報を伝える)
- 予約時に支払い方法の確認をする
- 診療時間になったら電話やスマホで医療機関からの着信を受ける
- 本人確認
- 診療と症状の説明
- 医師の判断に従う
家にいながら医師と話せるオンライン診療は便利なシステムですが、必ず診断や薬の処方がされるとは限りません。
オンライン診療後、医療機関での受診をすすめられた場合は、必ず直接足を運んで診療を受けてください。
オンライン診療後に処方された薬を配送してもらう場合は、まず医療機関にどこの薬局で薬を受け取るかを伝えます。
そのうえで診療後に薬局へ連絡を入れ、薬を配送してもらってください。
場合によっては服薬指導のために来店を求められることもあります。