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高血圧症の治療(生活習慣の改善・薬物療法)について徹底解説

[2022.12.13]


高血圧の人は国内に約4,300万人いるといわれており、日本が抱える大きな課題の一つです。この記事では、高血圧症の原因や治療法、病院選びのコツなどについて詳しく解説します。

 

 

目次

1.高血圧症とは?

2.高血圧の原因は?

3.高血圧症、なぜ治療が必要?

4.合併症の発症リスクの高い人がいる

5.高血圧症の治療について

6.高血圧症の治療薬について

7.治療を続けるために大切な病院選びのコツ

 


高血圧症とは?

高血圧症とは、安静時の血圧が正常値より慢性的に高い状態にあることです。血管がしなやかな状態であれば血液はスムーズに体内を循環するため、血圧は上下とも基準値以下に収まります。しかし、動脈硬化などで血管が硬くなって血流が悪化すると、心臓はより多くの血液を強い力で全身に送ろうとするため、血圧が上がります。このような現象が常態化したのが高血圧症です。

2019年の「高血圧診療ガイドライン」によると、高血圧症の診断基準は140/90mmHg以上とされています。mmHgは「ミリメートル水銀柱」または「水銀柱ミリメートル」と読み、水銀柱をどれだけ押し上げられるかで圧力の強さを判定します。例えば、100mmHgは水銀柱を100mm押し上げられる圧力という意味です。水銀は水の約13.6倍の重さがあるため、これは水を約1.36m押し上げるだけの圧力が血管にかかっていることを意味します。

血圧を自宅で計測する場合、最高血圧は135mmHg以上、最低血圧は85mmHg以上を高血圧症の目安としてください。自宅での計測の基準値が5mmHg低くなっているのは、自宅のほうが病院よりリラックスして計測できる分、血圧が低めに出やすいためです。自宅で測れば正常な値が出る一方、医療機関では緊張して血圧が高く出てしまうことを「白衣高血圧」といいます。

なお、白衣高血圧とは逆に、医療機関で測る血圧は正常なのに自宅で測ると基準値よりも高くなる「仮面高血圧」と呼ばれる現象もあります。仮面高血圧はさらに3タイプに分けられ、それが「夜間高血圧」「早朝高血圧」「ストレス性高血圧」です。

血圧は基本的に昼に上がって夜に下がりますが、夜のほうが血圧が高くなるケースを夜間高血圧といいます。夜間における血圧は測定されないことが多いため、夜間高血圧が疑われるときは24時間血圧計などを活用することが勧められます。夜間高血圧を放置すると心血管疾患のリスクが増大するので注意が必要です。

次に、本来は低いはずの早朝の血圧が危険な数値まで上昇するケースが早朝高血圧です。早朝高血圧はさらに、深夜から早朝まで血圧の高い状態が続く「持続性高血圧」と、早朝になると急激に血圧が上昇する「モーニングサージ」の2種類に分けられます。

ストレス性高血圧は「昼間高血圧」とも呼ばれ、病院で測る血圧は正常な数値である一方、家庭や職場でストレスにさらされると血圧が上昇するケースです。特に、ストレスを受けやすい職場で血圧が上がることを「職場高血圧」といい、血圧の高い家族がいる人や、肥満の人に発症しやすい特徴があります。

高血圧の原因は?

高血圧は発症原因によって「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類に分けられます。本態性高血圧とは、食事や生活習慣などの多様な要素が絡んでおり、原因を特定できない高血圧のことです。日本人の高血圧の約8〜9割を占めており、遺伝が血圧の上がりやすさに関係することがわかっています。ただし、家族に高血圧の人がいるからといって必ずしも高血圧になるとは限りません。

本態性高血圧は、遺伝に起因するものが約6割、生活習慣に起因するものが約4割といわれています。生活習慣が原因となっている場合、食生活などを見直すことで血圧を下げられる可能性が高いです。高血圧を招く主な生活習慣としては、塩分の過剰摂取や過食、喫煙、飲酒、ストレスなどが挙げられます。

他方の二次性高血圧は原因が明確で、ホルモンや腎臓の病気などによって引き起こされる高血圧のことです。具体的な病名としては原発性アルドステロン症や腎動脈狭窄などがあり、外科手術によって高血圧の改善が期待できる場合もあります。

 

高血圧症、なぜ治療が必要?

高血圧症になぜ治療が必要なのかというと、放置することでさまざまな合併症が起こりやすくなるためです。血圧が高い状態が続くと、血管の細胞壁はストレスを受けて徐々に分厚くなり、さらに動脈硬化が進行します。動脈硬化によって血管の弾力性がなくなり、血管の内径も小さくなることで、全身へと血液を送り出す心臓にかかる負荷は増大していきます。

負担を抱えたまま血液を送り出す心臓は過労状態となり、やがて心肥大などの心疾患を発症してしまうリスクがあるのです。また、脳梗塞や脳出血といった脳疾患のリスクも考慮しなくてはなりません。高血圧で血管が細くなり、脳への血液の供給量が不足したり、血管が詰まったりすることでこれらの疾患が引き起こされます。

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合併症の発症リスクの高い人がいる

高血圧症と診断された人は、様々な要因が加わることで脳梗塞や脳出血、心筋梗塞といった脳・心血管病の発症リスクがさらに高まります。合併症の発症リスクを高める要因を「予後影響因子」といいます。予後影響因子として挙げられるのは以下の要素です。

  • 年齢(65歳以上)
  • 性別(男性)
  • 脂質異常症
  • 喫煙
  • 脳・心血管病既往
  • 非弁膜症性心房細動
  • 糖尿病
  • 蛋白尿のある慢性腎臓病

 

高血圧に加えて上記に該当する人は注意が必要です。以下に、診察室血圧に基づいた脳・心血管病の発症リスクを表で示します。

リスク層

高値血圧

130-139/

80-89mmHg

Ⅰ度高血圧

140-159/

90-99mmHg

Ⅱ度高血圧

160-179/

100-109mmHg

Ⅲ度高血圧

≧180/

≧110mmHg

リスク第一層

予後影響因子なし

低リスク

低リスク

中等リスク

高リスク

リスク第二層

年齢(65歳以上)、男性、脂質異常症、喫煙のいずれかあり

中等リスク

中等リスク

高リスク

高リスク

リスク第三層

リスク第二層の危険因子が3つ以上、または脳心血管病既往、心房細動、糖尿病、慢性腎臓病のいずれかあり

高リスク

高リスク

高リスク

高リスク

 

高血圧症の治療について

高いQOLを保った状態で健康的な日常生活を送るために、高血圧症の治療は欠かせません。また、高血圧治療は脳・心血管病発症のリスクを下げ、死亡率を減少させることにもつながります。ここからは、高血圧症の治療について詳しく紹介します。

 

高血圧の診断基準

日本高血圧学会が定める高血圧診断基準は以下の通りです。

・成人における血圧値の分類

分類

診察室血圧

家庭血圧

収縮期血圧

(最高血圧)

拡張期血圧

(最低血圧)

収縮期血圧

(最高血圧)

拡張期血圧

(最低血圧)

正常血圧

<120 かつ <80

<115 かつ <75

正常高値血圧

120-129 かつ <80

115-124 かつ <75

高値血圧

130-139 かつ/または 80-89

125-134 かつ/または 75-84

Ⅰ度高血圧

140-159 かつ/または 90-99

135-144 かつ/または 85-89

Ⅱ度高血圧

160-179 かつ/または 100-109

145-159 かつ/または 90-99

Ⅲ度高血圧

≧180 かつ/または ≧110

≧160 かつ/または ≧100

(孤立性)収縮期高血圧

≧140 かつ <90

≧135 かつ <85

このように、ガイドラインでは高血圧が3段階に分けられています。Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度のどれに該当するのかを確認し、どのように治療を進めていくべきなのか、疾病リスクを考慮しながら医師が判断できるようになっているのです。

なお、正常高値血圧は「高血圧の一歩手前」を意味しており、高血圧予備軍として注意を払わなくてはならない段階です。正常高値血圧でも疾病リスクが高い場合は治療の対象となるでしょう。(孤立性)収縮期高血圧は動脈硬化の進んだ高齢者に多い分類で、最低血圧は低いものの最高血圧だけが特に高くなっているケースです。

 

治療はどのように進む?

高血圧で初めて受診するときは、まず血圧検査を行い、継続的に血圧が高いのか、どんな原因があるのかを確かめるために問診を行うのが基本です。生活習慣に起因する「本態性高血圧」に該当するかどうかも検査・問診から判定されます。

高血圧と診断された場合、まずは生活習慣の改善の指導が行われるでしょう。脳・心血管病の発症リスクも考慮しながら、生活習慣の改善だけでは十分な降圧がない場合、薬物療法などが行われます。

 

生活習慣改善の内容は?

高血圧治療における生活習慣改善の内容としては、減塩や減量、運動、節酒、禁煙などが挙げられます。ここからは、それぞれの内容について詳しく解説します。

 

1.食塩制限

高血圧の治療では、食塩の摂取量を制限することが勧められます。食塩の過剰摂取は血圧上昇と深く関係しており、減塩による降圧効果も研究によって証明されています。世界32の国・地域における20~59歳の男女約1万例を対象としたINTERSALT研究では、食塩摂取量を1日あたり6g制限した場合、30年後の最高血圧が9mmHg抑えられることが示されているのです。

血圧が高すぎる場合、1日に摂取する食塩の量は6g未満を目安としましょう。エネルギーの摂取量が多ければそれだけ塩分の摂取量も増えるため、エネルギーの摂取量を制限する工夫も必要です。醬油や味噌といった塩分量の多い調味料はなるべく控え、加工食品などの塩分量にも注意してください。

2.野菜・果物の積極的摂取

カリウムにはナトリウムの血圧上昇作用を抑える働きがあるため、カリウムが多く含まれる野菜や果物を積極的に摂取するとよいでしょう。また、体内のカルシウムが不足するとプロビタミンDや副甲状腺ホルモンなどが分泌され、血管が収縮して血圧が上がりやすくなります。そのため、カルシウムをこまめに摂取することも重要です。その他、魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸には血圧を下げる作用があります。

糖分や動物性脂肪を過剰に摂取することで動脈硬化が起き、高血圧につながる場合もあります。高血圧治療では、野菜や果物、魚を中心とした食生活を心がけることが大切です。

 

3.適正体重の維持

生活習慣改善に向けて、適正体重の維持も推奨されます。肥満解消による降圧効果は確認されており、4~5kgの減量で収縮期血圧4mmHg程度の低下が期待できます。肥満を伴う高血圧患者の場合、まずは減量が勧められるでしょう。ただし、急激な減量は体に害を及ぼす場合もあります。長期的な視野を持ち、無理のない計画で減量を目指すことが重要です。

 

4.運動療法

運動不足は血圧上昇のリスクを高める肥満の原因となるだけでなく、血管を硬化させて直接的に血圧上昇を引き起こす可能性もあります。適度な運動はコレステロールや中性脂肪を減らし、血管の柔軟性を高めて血圧降下を助けてくれるでしょう。

高血圧が目立つ人は、汗ばむ程度の運動、ウォーキングや水泳などを毎日30分以上行うことが奨励されています。ただし、身体に負荷をかけすぎる運動は血圧を急激に高め、事故が起こりやすいとされているので注意が必要です。

 

5.節酒

過剰な飲酒が高血圧の原因となっている場合は節酒が効果的です。アルコール制限による降圧効果は研究で証明されており、「飲酒量を80%減らすと1~2週間で降圧が認められた」との報告もあります。

適切な飲酒量としては、純アルコール換算で男性は1日20g程度、女性は1日10〜15g程度とされています。純アルコール20gの目安は、ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインなら2杯弱です。

 

6.禁煙

タバコの煙に含まれるニコチンには血管を収縮する作用があり、高血圧の人は注意が必要です。近年になって、ニコチンの主要な代謝産物であるコチニンの尿中排泄量や血中濃度と血圧の関係を調べた研究が相次いで報告されており、いずれの研究においても血圧と喫煙量との間に負の相関を認めているのです。

さらに、24時間自由行動下血圧モニターを用いた研究では、喫煙者の昼間の血圧は非喫煙者に比べて有意に高値であることが示されています。それだけでなく、喫煙は降圧薬であるβ遮断薬の降圧効果を減じることでも知られています。喫煙はさまざまな面から血圧に悪影響を与えることがわかっているため、高血圧のリスクが高い人は禁煙を心がけなくてはなりません。

高血圧症の治療薬について

高血圧症治療薬の種類は分け方によって異なりますが、今回は「血管を拡張する薬」「心臓の過剰な働きを抑える薬」「利尿を促す薬」の3タイプに分類して紹介します。

 

薬の種類

作用

副作用

血管を拡張する薬

カルシウム拮抗薬

カルシウムの血管を収縮させる作用を抑える

顔の紅潮、頭痛、動悸、めまい、ほてり

レニン阻害薬

血管を収縮させるホルモンであるアンジオテンシンⅡを作り出しにくくする

下痢、頭痛

ACE阻害薬

アンジオテンシンⅡを作り出しにくくする

痰を伴わない空咳

ARB

アンジオテンシンⅡの働きを抑える

頭の重い感じ、動悸、めまい

心臓の過剰な働きを抑える薬

β遮断薬

血管や心筋に交感神経の興奮が伝わらないようにする

徐脈

利尿を促す薬

利尿薬

尿の量を増やすことで血液量を減らす

低ナトリウム血症、低カリウム血症、高尿酸血症

 

血管を拡張する薬

血管を拡張する薬は、血管の収縮を抑え、血管を広げて血流を改善することで血圧を下げてくれます。このタイプに分類される薬としては、例えばカルシウム拮抗薬が挙げられます。カルシウムは、血管壁の内側に入り込んで血管を収縮させる作用がある成分です。カルシウム拮抗薬は、カルシウムのこの性質を抑えることで血圧を降下させます。確実に降圧効果が得られ、安全性も高いため、最も広く使われている降圧薬です。

 

心臓の過剰な働きを抑える薬

心臓の過剰な働きを抑える薬に該当するβ遮断薬は、交感神経の働きを遮断する形で効果を発揮します。交感神経の活性化によって心臓は活発になり、送り出す血液量が増えることで血圧も上昇します。ただし、交感神経の興奮状態が心臓の筋肉である心筋や血管に伝わるためには、心筋や血管に存在するβ受容体と、ノルアドレナリンというホルモンが結合しなくてはなりません。服用されたβ遮断薬の成分はβ受容体と結合し、ノルアドレナリンとβ受容体の結合を防ぎます。その結果、心筋や血管に交感神経の興奮が伝わらず、血圧の上昇を避けることができます。

 

利尿を促す薬

利尿薬の作用は、腎臓を経由して余分な水分や塩分の排出を促すことです。これによって体内の水分量が減り、血液量も減少して血圧の降下につながります。むくみや心不全に対しても効果を発揮し、他の薬剤と併せて使用するのが一般的です。

 

治療を続けるために大切な病院選びのコツ

高血圧の治療は長期間にわたり、場合によっては一生続くケースもあります。そのため、病院選びでは通院のしやすさを考慮することも大切です。自宅から通いやすい距離の病院を探す、あるいはいつどこにいても受診できるオンライン診療を活用するのもよいでしょう。オンライン診療では、過去の通院歴や健康診断のデータを活用しながら治療が行われます。

高血圧で治療を受けていても、思うように血圧が下がらず、通院をやめたいと考える人も少なくありません。血圧が下がらない理由としては、減塩を中心とした食事療法や生活改善がうまくいっていないことが考えられます。また、効果が弱い薬を服用し続けている、加齢や生活習慣以外に高血圧の原因があるといった理由も考えられるでしょう。

高血圧の原因を特定するためには、患者と医師が協力しながら治療を進めていく必要があります。血圧がなかなか下がらないときは、かかりつけの医師に躊躇せず相談してみてください。定期的な通院や服薬を面倒だと感じる人も多いかもしれません。しかし、面倒がって高血圧を放置しているよりも、治療を受けたほうがはるかによい結果を生むはずです。自主的に生活習慣を改善しつつ、オンライン診療なども活用して医師と相談しながら治療を続けてください。

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