オミクロン株「BA5系統」の症状、感染力、重症化、ワクチンの効果は?
7/11 時点の東京都の新型コロナ感染症の陽性率は29%まで上昇しています。
現在流行している変異株は「BA5株」と呼ばれ、BA2型オミクロン株と症状は非常に似ています。(鼻水、喉の痛み、頭痛、咳、疲労感等)
\ファストドクターの診察の様子(NHK)/
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目次
新型コロナウイルス「BA5系統」の感染が急拡大し「第7波」が到来したとされています。
今までのオミクロン株の「BA5系統」への置き換わりが影響しているとされ、今後も感染者数の増加が加速していく可能性があります。
都内のクリニックでは発熱外来を受診する人が増加しており、自治体の委託を受けて自宅療養者の往診を行う医師グループへの依頼も急増しています。
現在急激に感染範囲を広げている変異株「BA5系統」では、症状、感染力、重症化、ワクチンの効果の有無について、以前の変異株と変わりがあるのでしょうか。
まとめましたのでご覧ください。
BA2系統から置き換わりが進むBA5系統
日本ではBA2系統が原因ウィルスの主流でしたが、世界ではBA2型、BA4系統、BA5系統が検疫で検出されています。
ゲノムサーベイランスという、病原体に関する情報の収集や分析及び提供と公開を行っている機関での報告でも、世界におけるBA4系統及びBA5系統については、一部の国や地域で検出される割合が増加し、BA2系統からの置き換わりが進んでいるという報告があります。
日本でも第7波となり、6波の時と異なる症状を見ると、その傾向となり、BA5系統の検出割合が増えてきたと考えられます。
ウイルスの特性については、引き続き諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けています。
BA5系統のウィルスの特徴を、東京医科研究所が研究しています。
その結果によると「BA5はデルタ株が持っていた、L452Rという特徴的な変異をもっている。デルタ株が持っていたような肺で増えやすいという特性を獲得したオミクロン株ともいえる」と東京大学医化学研究所 佐藤佳教授は言っています。
これはどういうことなのでしょうか。
東京大学医科学研究所ではBA5の性質を知るために、人の肺の細胞で実験をしました。
人の肺の細胞にBA2、BA5それぞれを感染させると、BA5はBA2に比べてウィルスが18、3倍も増えていました。
このことから、BA2が気管支でウィルスが増殖する性質だったものに比べて、BA5は肺でも増殖する可能性があることを指摘しています。
さらにハムスターなどの動物でも実験を行いました。
被験動物にBA2、BA5それぞれのウイルスを感染させるとBA5はBA2に比べて、肺で感染したウイルスが5〜6倍増加したという結果になりました。
この動物実験により、BA5がBA2より病原性が高く、肺でウイルスが増えやすく感染すると重症化しやすいということがわかりました。
「これはシャーレの中での実験や、新型コロナに対する免疫を持たない動物での実験なので、ワクチン接種で免疫を獲得した人で同じことが起こるかはわからない。しかしBA5はBA2から明らかに性質が変わっているといえる」と東京大学医化学研究所 佐藤佳教授は言っています。
BA5は肺でウィルスが増える特徴があり、今までのウィルスと違う性質であるようです。
BA5の症状は?
感染の第6波では、のどの激しい痛みを訴える人が多かったのに対し、第7波のBA5の症状では、発熱が38度以上と高く、けん怠感を訴える人が多い傾向にあります。
咳や鼻水の症状を伴うことも多いようです。
また、ワクチン未接種の方で症状が重症化している傾向があるようです。
最近では子どもの発熱患者も爆発的に増えています。
RSやヒトメタニューモウィルスといった感染症の場合もあり、コロナと判断がつかない場合もあります。
早めにかかりつけ医で相談するのが良いですね。
今回のBA5の子どもの陽性者で多い症状は、咳、痰、ゼーゼーといった症状で熱が長引く傾向のようです。
ファストドクター」代表 菊池亮医師
「今後、患者数は急激に増えていくと思う。
熱中症のシーズンと重なっているので、発熱外来への負荷が不安視される。
強い行動制限までは必要ないと感じるが、感染が拡大している局面では、改めて基本的な感染対策を徹底していくことが必要だ」
ロコクリニック中目黒 嘉村洋志医師
「今週に入ってから特に、急激に発熱外来の受診が増えている。
ワクチンの普及で再度感染が拡大しないことを期待していたが、また大変な時期が来た。
いまの時期の発熱は熱中症や細菌感染による肺炎などほかの病気の可能性もあるので問診で見極めをしてミスなく対応していくことが重要になってくる」
BA5の症状が38度以上の発熱や倦怠感であることから、熱中症や他の感染症との鑑別が難しくなります。
少しでも具合が悪い時には自宅で休む、早めに受診するなどの判断が、周りに感染を広げない方法になることを念頭に行動したいですね。
BA5の感染力は?
東京都は7月7日に、都内の感染状況と医療提供体制について専門家が分析・評価するモニタリング会議を開きました。
新規陽性者の7日間の平均は、7月6日時点で1週間前の1.9倍で、このままのペースで増えた場合には、7月20日時点では、新規感染者は1万5000人余りになり、さらに8月3日時点では5万4000人余りになるとして、専門家は「急激な感染拡大に直面している」と指摘しました。
感染性や感染を広げる伝播性は、オミクロン株はデルタ株に比べて、潜伏機関も短縮しその速度は35%も増加し、とても早くなっています。
感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されています。
また、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前にも感染は広がる場合はある一定程度起きていると考えられています。
その状況に加えて国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きています。
暑くなってエアコンを使うようになって、換気が不十分になったことに影響があるとされています。
感染経路もこれまでと同様に、飛沫が粘膜に付着したり、接触感染等が原因になっていると考えられています。
BA5の感染力や強さは今まで以上になっていると考えられます。
今一度各々が感染対策を振り返り、できることを再確認する必要がありそうです。
BA5の重症化リスクは?
BA5の重症化のリスクは、様々な状況から上昇と言い切れるのか、経過を注意して見る必要があると言えます。
6月の時点では増加が見られた地域もありましたが、5波のピークと比べると少なく、エクモ(人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療)を使用してない期間もあったほどでした。
重症度に関して現時点で明らかな上昇につながる証拠はみられず、監視を継続していく必要があるとされています。
現時点で、BA4系統、BA5系統は今までの既存のオミクロン株とくらべて、感染者の増加に繋がっています。
その感染者が重症化に転じるかは、経過を引き続き、諸外国の状況や知見等を収集し、国内外のゲノムサーベイランスにより監視する必要があります。
その中でも感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大の時と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっています。
感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染して、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でないことが少なくないと報告されています。
高齢の感染者や基礎疾患がある感染者や、心不全や誤嚥性肺炎などの発症にも注意が必要です。
BA5のワクチンの効果は?
BA5に対してワクチン接種を実施した場合のその効果について、アメリカのハーバード大学の研究では、効果は今までの1/3程度になると回答しています。
置き換わりが進む新型コロナウイルスのオミクロン株BA5について、免疫をよける特徴が強まっているために、ワクチンの効果が少なくなるという結果になりました。
しかし、今回の第7波の感染者の中には、ワクチン未接種の人が重症化している傾向があり、重症化を防ぐには効果が見られているようです。
ワクチン接種を定期的に行うブースター接種については効果が高まることがわかっています。
現在では高齢者の4回目の接種が開始されていますがすべての接種を完了してない方も接種はできるので、お住いの市区町村に問い合わせてみてください。
まとめ
次々とウィルスが変異し、現在ではオミクロン株BA5系統が広がりを見せています。
その性質は研究結果により、6波で流行っていたBA2系統の持つ性質とかなり異なっていることがわかりました。
重症者数が現象を辿っているものの、その感染力はさらに強くなり、爆発的に広がっています。
今後も感染は加速していくのではないかと専門家の間でもその動向に注意が必要な状態と懸念されています。
症状は38度以上の発熱とけん怠感の訴えが多く、咳や鼻水を伴うことが多いようです。
以前と同様に軽傷や無症状の場合もあります。
今回のBA5ではワクチン未接種の場合に重症化する傾向にあるようなので注意が必要です。
子どもでは今の時期、RSやヒトメタニューモーウィルスといった感染症も増えており、コロナと判断がつかない場合もあるため、早めにかかりつけ医で相談するのが良いですね。
感染力は、オミクロン株はデルタ株に比べて、潜伏機関も短縮しその速度は35%も増加しています。
感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いようです。
暑くなってエアコンを使うようになって、国内では多くの感染がこれまでと同様の機会で起きています。
換気が不十分になったことも影響があるとされていますので、換気への対策を見直していきましょう。
重症化のリスクについては、はっきりと増加とも減少ともいえない状況です。
6月の時点では重症化が増加した地域もありましたが、5波のピークと比べると少なく、エクモを使用してない期間もあったほどでした。
重症度に関して現時点で明らかな上昇につながる証拠はみられず、監視を継続していく必要があるとされています。
BA5に対するワクチンの効果は、以前よりも期待ができない結果でした。
ワクチン接種や感染により獲得した免疫は、徐々に消失していくので、その予防効果は減少してしまうとともに、BA5は免疫をよける性質が強いため、ワクチンの効果は今までに比べて1/3程度になると言われています。
ワクチンは、今後その効果が持続していくかは不明ですが、継続して接種するブースター接種により予防効果が期待できます。
オミクロン株は、主に感染性や重篤度が増す、ワクチン効果が減弱するなど性質が変化した可能性が明らかな株であると認識され、主な主要国の感染症を管理する主要機関(日本国立感染研究所、WHO、英国HSA、ECDC、CDC)でも同様の見解を示しています。
またその感染状況は、週単位での検出数の公表や、国内検疫での感染状況の監視、積極的疫学調査などを行うことにより監視されています。
今後も新しい情報が発信されていくことと思いますので適切な情報をとっていくことが大切です。
BA5は今までと少し性質が違い、感染力が強く早いことがわかりました。
その症状は高熱と倦怠感が出現することから、熱中症や他の病気との鑑別も必要になります。
具合が悪い時には外出を控え早めに休むなどして、感染を広げないことが肝要です。
今までの感染対策を各々が見直して、感染状況が一刻も早く落ち着くよう気をつけていきましょう。
参考文献
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株BA.2.75系統について
国立感染症研究所
2022年7月8日時点
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/11276-cov
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第17報)
国立感染症研究所
2022年6月3日9:00時点
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/11180-covid19-17.html
新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2022年6月23日現在)
掲載日:2022年6月24日
第88回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年6月23日、厚生労働省)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/11241-covid19-ab88th.html
新型コロナウイルス ゲノムサーベイランスによる系統別検出状況(国立感染症研究所)
国内 新型コロナゲノムの PANGO lineage 変遷(2022/07/01 現在)
https://www.niid.go.jp/niid/images/cepr/covid-19/220701_genome_surveillance.pdf
コロナ感染急増 オミクロン株「BA.5」感染力 症状 ワクチン効果は
NKK首都圏ナビ
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220707b.html