アレルギーの症状別 薬と治療の基本がわかる!
アレルギーの症状はかゆみや腫れ、くしゃみ、鼻水、さらに腹痛や下痢など、体のあらゆる箇所に表れます。
そのため、症状を抑えるにはどの薬がいいのか、薬局で薬を買うより病院に行って診察を受けたほうがいいのかなど、悩むことも多いですね。
ここでは、よく使われている市販薬や治療の情報などについて症状別にご紹介します。
目次
市販薬も増えている一方、自己判断する難しさも
アレルギー疾患のなかで特に多いのは、アレルギー性鼻炎です。
ほかには、アトピー性皮膚炎や気管支ぜん息などがあります。
これらの疾患に見られる諸症状のうち、市販薬で対策が可能なのは目のかゆみ、鼻水・鼻づまり、皮膚のかゆみ、咳などです。
現在購入できる市販薬には、医師が処方してくれる医療用医薬品と同じ成分が含まれている製品も少なくありませんが、ある一定期間、市販薬を使っているにもかかわらず治りがよくない場合は、早めに医師に診てもらうようにしましょう。
アレルギーって何?
体の免疫システムが引き起こす様々な症状のこと
アレルギーとは、体に備わっている免疫システムが過剰に反応している状態を指します。
この反応に関係しているのがIgE抗体と呼ばれる免疫物質で、花粉やダニなどアレルギー原因物質(アレルゲン)に対して、固有のIgE抗体が体内で産生されます。
この抗体は、血液や皮膚などに存在するマスト(脂肪)細胞と結合しています。
アレルゲンが体内に侵入して、IgE抗体のついたマスト細胞と結びつくと、マスト細胞からアレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの刺激物質が放出されます。
それが、かゆみやくしゃみ、鼻水といった症状として表れます。
主なアレルギー疾患はアレルギー性鼻炎
アレルギー疾患の代表的なものとして、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜん息、食物アレルギーなどが挙げられます。
アレルギー疾患をもっている人の中には、子どものころから症状に悩まされている人も多く、成長に伴い、次から次へと新しいアレルギー疾患を発症するというケースが少なくありません。
一例として、乳幼児にアトピー性皮膚炎にかかり、そこから食物アレルギーや気管支ぜん息、そしてアレルギー性鼻炎などに続きます。
このような連鎖状態を行進(マーチ)にたとえて、アレルギーマーチと呼ぶことがあります。
アレルギーの薬の種類
アレルギー疾患の対策としては、意識的に自分の周りからアレルゲンを除去する以外に、適切な治療を施すことで症状を緩和したり抑えたりすることもできます。
よく使われる治療薬には、アレルギー反応の原因を抑える抗アレルギー薬、炎症している部位に塗るステロイド薬剤などがあります。
気管支ぜん息には気管支拡張薬が使われます。
ドラッグストアに行くと、アレルギー疾患の症状に使える市販薬を購入できます。
アレルギー性鼻炎の鼻水・鼻づまり、アトピー性皮膚炎のかゆみ、アレルギー性結膜炎の目のかゆみなど、症状に合った薬を使うと、症状緩和などの効果を期待できます。
同じ成分でも効き目が異なる市販薬と処方薬
処方薬とは、医師の診断のもと、処方箋に基づいて薬剤師が調剤してくれるもので、医療用医薬品といいます。
市販薬に比べて有効成分の種類が多いものや、使える病気の種類が多いものがあるという特徴があります。
これに対し、薬局などで購入できる市販薬は一般医薬品またはOTC医薬品と呼ばれます。
安全性が優先されているため、医療用医薬品と同じ有効成分が配合されていても、その含有量が異なったり、使用できる病気の種類が少なかったりする場合があります。
また、処方薬は医師が患者の症状に合わせて適切に処方しますが、市販薬は自分で決めないといけないため、効果が十分ではない薬を選んでしまう恐れもあります。
そのため、購入時は薬剤師と相談しましょう。
市販薬を服用しても症状の改善が見られないなら、医師の診察を受けるようにしましょう。
アレルギー性鼻炎に効く薬と治療
主なアレルギー性鼻炎の市販薬
鼻水や鼻づまりなどの症状を抑えるのに内服薬と外用薬の市販薬があります。
まずは内服薬です。
パブロン鼻炎カプセルSα(大正製薬)は、血管収縮作用のある塩酸プソイドエフェドリン配合で鼻粘膜の充血を抑えます。
抗ヒスタミン成分や分泌抑制薬でくしゃみや鼻水を抑えます。
アレグラFX(久光製薬)は、第2世代抗ヒスタミン成分フェキソフェナジン塩酸塩を配合。
すでに出ている症状を抑えつつ、症状を引き起こす物質の放出を食い止め症状悪化を防ぎます。
アレグラのジェネリック製品(後発医薬品)にアレルビ(皇漢堂製薬)があります。
アレグラと同じフェキソフェナジン塩酸塩配合で、より安価に購入できます。
クラリチン(大正製薬)は第2世代抗ヒスタミン成分ロラタジン配合、アレジオン(エスエス製薬)は、抗ヒスタミン・抗PAF成分のエピナスチン塩酸塩が配合されています。
1日1回で効果を期待できます。
外用薬の代表例は、鼻の症状を抑えるステロイド剤入り点鼻薬です。
外用のため、ステロイド薬とはいえ副作用はほとんどありません。
フルナーゼ(GSK)は、医療用医薬品フルナーゼと同成分・同容量が配合されている花粉症専用の点鼻薬です。
ナザール「スプレー」(佐藤製薬)は、抗ヒスタミン成分ナファゾリン塩酸塩を配合、ナシビンMスプレー(佐藤製薬)は、一般用医療品として初めてオキシメタゾリン塩酸塩が配合された点鼻薬です。
鼻の血管を収縮させ炎症を抑えます。
症状として鼻づまりがひどいとき、プソイドエフェドリン塩酸塩配合の内服薬や、ナファゾリン塩酸塩・オキシメタゾリン配合の点鼻薬は効果が高いとされています。
しかし、これら血管収縮成分配合の薬は、使い続けると効果が薄れ、かえって症状が悪化する恐れもあるので、連用は避けてください。
点眼液もあります。
ノアールPガード(佐藤製薬)は、抗アレルギー成分ペミロラストカリウムが医療用と同濃度配合されています。
花粉症の発症前から使用すると、ヒスタミンの放出を抑えられます。
アイリスAGガード(大正製薬)は、抗アレルギー成分ケトチフェンフマル酸塩配合でヒスタミンの発生を抑えます。
消炎作用や目の状態を整える成分も含まれています。
病院で処方されるアレルギー性鼻炎の薬いろいろ
病院で処方されるアレルギー性鼻炎の内服薬には、アレグラ・クラリチン・エバステル・アレジオン・ジルテック・アレロックなどがあります。
効果の程度により使い分けがなされています。
ここに挙げた医療用医薬品はすべて第2世代抗ヒスタミン薬に分類され、眠くなる、口が乾くといった副作用が出にくいという特徴を持っています。
アレグラやクラリチン、アレジオンなどは
市販薬として処方箋なしでも購入できます。
外用薬には抗炎症作用があるコルチコステロイド(副腎皮質ホルモン)点鼻薬があります。医療用医薬品フルナーゼもこの一種であり、市販薬もあります。
皮下注射による治療もあります。
ノイロトロピンやヒスタグロビン、重度の花粉症患者にはゾレアなどが使われています。
根本的な治癒を目指す減感作療法
花粉症などのアレルギー性鼻炎の根本的な治療法として減感作療法があります。
これは、体内にアレルゲンを少量ずつ入れて徐々に増やすことで体を慣らし、アレルギー反応をなくしていく継続的な治療です。
うまくいくと、薬がいらなくなる程度まで回復する、根治を目指せる治療法ですが、残念ながら一定の割合で思うほどの効果が表れない人もいます。
減感作療法は「皮下免疫療法」と「舌下免疫療法」の2種類あります。
皮下免疫療法は注射を使います。
一般的な治療法ですが、治療期間が3年以上かかるというデメリットがあります。
舌下免疫療法は、舌の下に薬を垂らす、もしくはタブレットを舌の下に挟む方法があります。
こちらも年単位の治療となりますが、皮下免疫療法よりも通院が少ないというというメリットがあります。
ただ現段階ではスギ花粉とダニが原因のアレルギー性鼻炎にしか健康保険は適用されません。
皮膚の症状にきく薬
かゆみ止めの塗り薬や飲み薬の抗ヒスタミン薬が中心に
アトピー性皮膚炎など、かゆみが主な症状として出るアレルギー疾患には外用薬がよく使われます。
代表的な外用薬はステロイド薬剤で、塗った部位の炎症を鎮める作用があります。
剤形には、塗布できる部位が多く刺激の少ない軟膏タイプ、水で簡単に流せてベタつきにくいクリームタイプ、液状のローションタイプなどがあります。
外用薬以外に内服薬も使えます。
かゆみの原因となる刺激物質を抑える抗ヒスタミン成分や、肌の修復を助けるビタミン類が配合されている飲み薬を服用することで、体の内側からケアすることができます。
皮膚のバリア機能が低下して肌のうるおいを保てなくなると、少しの刺激でもかゆみを感じてしまいます。
そのため、肌の乾燥を防ぐために保湿薬を使うことも大切です。
かゆみに対策できる主な市販薬
内服薬から見ていきましょう。
アレルギール錠(第一三共)は、抗ヒスタミン成分クロルフェニラミンマレイン酸塩でかゆみを抑えます。
皮膚の健康維持に働きかけるビタミンB6も配合されています。
ジンマート錠(ロート製薬)は、じんましんのかゆみを抑える抗アレルギー・抗ヒスタミン成分メキタジンを配合。
眠くなりにくいという特徴があります。
レスタミンコーワ糖衣錠(コーワ)は、抗ヒスタミン成分ジフェンヒドラミン塩酸塩を配合しています。
糖衣錠のため、子ども(5歳以上)でも飲みやすい薬です。
ほかにも、アレルギー性鼻炎の項目で取り上げた製品の中から、かゆみ止めの効果もある飲み薬を選ぶことができます。
続いて外用薬です。
フルコートf(田辺三菱)は軟膏タイプです。高い効果を期待できる抗炎症成分フルオシノロンアセトニドを配合しています。
ベトネベートN軟膏AS(第一三共)は、ステロイド成分ベタメタゾン吉草酸エステルと抗菌作用のある抗生物質を配合。
じゅくじゅくした湿潤部位でも使用できる軟膏タイプです。
キュアレアa(小林製薬)は非ステロイド性なので、目のまわりなどデリケートな部分にも塗布できます。
子どもにも使用可能です。
市販薬は咳止めが中心。気管支ぜん息は早めに受診を
気管支ぜん息や咳ぜん息によく使われるのは吸入ステロイド剤ですが、この薬は市販薬がありません。
医師の処方が必要なので、気管支ぜん息の疑いがあれば、早めに医師の診察を受けましょう。
しかし呼吸困難などを伴わない咳ぜん息の場合は、咳の症状を緩和する市販薬を使うこともできます。
アスクロン(大正製薬)は、気管支を広げて咳を鎮める作用があるメトキシフェナミン塩酸塩配合の微粒タイプです。
ミルコデ錠A(佐藤製薬)は、気管支拡張作用のあるテオフィリン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、さらに痰を出やすくする3種類の生薬が配合されています。
アストフィリンS(エーザイ)は、気管支を広げて咳を鎮めるジプロフィリン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、アレルギーを抑える成分ジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されています。
アスゲン散EX・アスゲン錠EX(アスゲン製薬)は、ジプロフィリンや和漢薬エキス(マオウ、カンゾウ)を配合して咳を鎮めます。
新コンタックせき止めダブル持続性(gsk)は、咳を鎮める成分デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を配合、気管支拡張や去痰作用成分ジプロフィリンも配合されています。
薬にもアレルギーがある
市販薬は安全性重視なので有効成分の含有量が調整されていますが、それでもアレルギー反応を起こすことがあります。
よくあるのが解熱鎮痛剤に対するアレルギー反応です。
この薬の中でも、非ステロイド性抗炎症薬がアレルギー反応を起こしやすいといわれています。
表れる主な症状としては、じんましんや皮膚のかゆみ、腫れなどです。
子どものころに突発性発疹という病気を患った経験がある人は、抗てんかん薬や痛風などの処方薬を服用すると、薬剤性過敏症症候群という重篤な薬剤アレルギー反応を発症することが稀にあるので気をつけましょう。
自分が薬剤アレルギーをもっているかどうかは調べることができます。
皮膚で調べるパッチテストやプリックテスト、反応が起こる可能性のある薬剤を少量ずつ服用する内服検査、血液検査などがあります。
気になる人は病院で尋ねてみてください。
【参考】
パブロン鼻炎カプセルSα(https://www.catalog-taisho.com/category/02/003/04590/)
アレグラFX(https://www.allegra.jp/)
アレルビ(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_otc?japic_code=J1701000127)
クラリチンEX(https://brand.taisho.co.jp/claritin/)
アレジオン20(https://www.ssp.co.jp/alesion/)
フルナーゼ(https://www.flunase.jp/)
ナザール(https://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/product/2176/)
ナシビンMスプレー(https://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/product/2188/)
ノアールPガード(https://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/product/2202/)
アイリスAGガード(https://www.catalog-taisho.com/category/13/001/00246/)
ジンマート錠(https://jp.rohto.com/jinmart/tablet/)
レスタミンコーワ糖衣錠(https://hc.kowa.co.jp/otc/1123)
フルコートf(https://hc.mt-pharma.co.jp/site_flucort/intro.html)
ベトネベートN軟膏AS(https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/betnevate_n/)
キュアレアa(https://www.kobayashi.co.jp/seihin/cure/)
アスクロン(https://www.catalog-taisho.com/category/02/004/00231/)
ミルコデ錠A(https://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/product/2296/)
アストフィリンS(https://www.eisai.jp/products/asthphyllin/asthphyllin)
アスゲン(https://www.asgen.co.jp/product/cough/series-a/)
新コンタックせき止めダブル持続性(https://contac.jp/products/con_sekidome.html)