おたふく風邪とは?原因・症状・治療方法について解説|【医師監修】
おたふく風邪にかかると後遺症が残る可能性があることを知っていますか?
難聴や不妊につながる後遺症が残ることがあるので注意が必要です。
大人でおたふく風邪にかかれば合併症になるリスクも高くなります。
日本ではおたふく風邪予防のワクチンを受けている人が先進国の中でも少ない傾向にありますが、予防にはワクチン接種が効果的です。
おたふく風邪にかかるとどんな症状がでるのか、その病気の原因や性質、合併症にはどんなものがあるか、治療方法、感染の予防法、看護のポイント、ワクチン接種などについて説明していきます。
おたふく風邪とは?
おたふく風邪は流行性耳下腺炎のことで日本語ではおたふく、英語ではムンプスと呼ばれる、ムンプスウィルスが原因となるウィルス感染症のことです。
日本語では、ムンプスウィルスに感染すると耳の近くが腫れて「お多福」の様な顔になることからおたふく風邪と言われ、英語では耳下腺炎の症状で痛くて口が開けられずぼそぼそ喋る様子から、ぼそぼそ言うの語源「mumble」が元になりムンプスと呼ばれる様になったと言われています。
おたふく風邪の発症の原因となるムンプスウイルスは、パラミクソウイルス科のウイルスです。
そのムンプスウィルスに感染した後、2~3週間(平均18日前後)の潜伏期を経ておたふく風邪を発症し、唾液腺にあたる耳の近くの部位が片側か両側に腫れる症状を特徴とします。
通常は1~2 週間で症状が軽くなっていきます。
一番多く見られる合併症は髄膜炎ですが、その他には髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などの症状が認められる場合があります。1)2)4)7)
おたふく風邪の発生と流行は?
おたふく風邪は、5世紀にヒポクラテスが耳の近くの両側あるいは片側のみ腫れる病気が流行したという記載を残していたのが、この病気が認知された最初と言われています。
耳周辺の痛みがあることや、睾丸が腫れるということも記録に残されています。
ムンプスという名前の由来は不明ですが、ひどい耳下腺炎を起こした患者が痛みのために口を開けられずにぼそぼそと話す(mumbling speech)ことから、その語を発しているのではないかと報告されています 。
1886年には、この病気は世界中に渡って広く存在していることが報告され、1934年には、この病気の原因微生物はウイルスであると報告されました。
おたふく風邪は、日本でも毎年地域的な流行がみられています。
1989年のおたふく風邪の流行までは3~4年の周期で患者数の増減が見られていましたが、同じ年のMMRワクチンが導入されたことにより、1991年には患者数が減りました。
しかし、MMRワクチンは副作用による無菌性髄膜炎の発症が増えた事例がみられたため、1993年にその製造や使用が中止されました。
MMRワクチンの中止に伴いワクチン接種の減った1994年以降には、再び3~4年の周期で患者数の増加が見られるようになっています。
※MMRワクチンは麻疹、風疹、ムンプスの混合ワクチンのことです。
現在ではおたふく風邪ワクチン(ムンプスワクチン)とMRワクチン(麻疹、風疹ワクチン)は別々に接種するようになって接種が励行されています。
感染症法が施行されて以降の、1999年4月~2000年12月の感染症の発生動向調査から見ると、全国3,000の定点観察地点の医療機関から、毎週1,100~4,800人程度の報告がありました。
2000年末から最近の10年間の報告数は、かなり多い状態が続き、2001年の全国の患者報告総数は、254,711人となり、過去10年間で最多でした。
しかし、2002年には182,635人となって減少がみられています。
報告患者の年齢は、4歳以下の占める割合が45~47%であり、0歳では少なくなり、年齢とともに増加し、4歳が最も多くなります。
続いて5歳、3歳の順に多くなり、3~6歳になるとその患者数の約60%を占めています。1)2)4)7)
症状とは?
おたふく風邪の経過は、基本的には軽症と考えられています。
ムンプスウィルスに感染して2~3週間の潜伏期を経てから、唾液腺が腫れて、押すと痛みがある圧痛、飲み込みで痛みがある嚥下痛(えんげつう)、発熱を主な症状として発症します。
通常1~2週間すると症状は軽くなっていきます。
唾液腺とは、耳下腺、顎下腺、舌下腺と呼ばれる、唾液の出やすい場所のことです。
主には、耳下腺は耳の横、顎下腺は顎のエラの下あたり、舌下腺は下顎のあたりになります。
唾液腺の腫れは両側、あるいは片側の耳下腺にみられることがほとんどですが、顎下腺、舌下腺にも腫れがみられることがあり、通常では48時間以内には腫れのピークとなります。
ムンプスウィルスの感染は接触感染、あるいは飛沫感染ですが、その感染力はかなり強いとされています。
しかし感染しても症状が現れずに経過してしまう不顕性感染(ふけんせいかんせん)である場合もあり、その割合は30~35%です。
他の病気と鑑別する必要があるものとしては、他のウイルスや、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどによる耳下腺炎がある他、特発性の反復性耳下腺炎などがあります。
反復性耳下腺炎は耳下腺が腫れることを何度も繰り返すものです。
軽い痛みがありますが発熱が伴わないことがほとんどで、1~2週間で症状は軽くなっていきます。
しかし何度もこういった症状を起こしてしまう場合にはおたふく風邪と鑑別してこの病気の可能性を考える必要があります。1)2)4)7)
合併症とは?
おたふく風邪の合併症には無菌性髄膜炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎があります。
おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスは、唾液腺以外に、髄膜や内耳、精巣、卵巣、すい臓などに感染しやすいために、その関連する部位で合併症が起こりやすくなります。
また、合併症を発症してしまったことにより後遺症が残る可能性もあります。
無菌性髄膜炎は発症しても軽症と考えられてはいるものの、脳の機能異常である中枢神経症状を伴うものもあります。
思春期以降に発症すると男性で約20~30%に睾丸炎を、女性では約7%に卵巣炎を合併するとされています。
また、20,000例に1例程度になりますが難聴を合併すると言われており、頻度は少ないものの、合併すればその後は永続的な障害となるので、注意の必要な合併症です。
その他には稀に膵炎を起こすこともあり、重い合併症のひとつでこちらも注意が必要です。
それぞれの合併症について以下に説明していきます。1)2)4)7)
無菌性髄膜炎
無菌性髄膜炎は脳を包む髄膜にムンプスウイルスが感染して炎症を起こし、高熱やおう吐、頭痛などの症状が続きます。
無菌性髄膜炎の治療には対症療法を行い、脱水症状の予防の点滴や解熱薬や鎮痛薬などを使用することもあります。
症状は通常1~2週間ほどで軽くなり良くなっていきますので予後は良好です。
髄膜炎を発症すると原則的には入院して経過をみます。
診断には腰のところから針を刺して髄液を採って検査します。
正常な髄液には白血球はありませんが、髄膜炎になると白血球、主にリンパ球の増加が認められ、髄膜炎と診断することができます。
特に、高熱でけいれんを起こしたり、意識がもうろうとしている様子が見られたら髄膜炎にとどまらず、脳炎への進展が強く疑われるのでその症状にも注意が必要です。
病気の診断や細菌性髄膜炎との鑑別には脳脊髄液を採取して検査する髄液検査が行われますが、もし症状が軽い場合には、症状を見た総合的な判断で実施しない場合もあります。1)2)4)7)6)
睾丸炎
睾丸炎とは精巣炎のことで、ほとんどの場合はムンプスウイルスによって引き起こされるムンプス精巣炎と呼ばれる感染症です。
他の感染によって引き起こされることもあります。
おたふく風邪にかかった男性の約20~25%が精巣炎を発症しますが、ムンプス精巣炎のほとんどが10歳未満の男児に発生します。
精巣炎の症状は、精巣が腫れて痛みます。
精巣炎の医師の診察と尿検査によって診断され、治療は、床上安静と痛みを緩和するための対症療法となります。
おたふく風邪による精巣炎は片方だけの精巣に症状が出る場合もあれば、両側の精巣に出る場合もあります。
長期的には精巣が萎縮することがありますが、通常男性ホルモンのテストステロンの分泌量は減少しません。
特に両方の精巣に精巣炎の症状が出たり、精巣炎が思春期以降に起こったりした場合には、無精子症となり不妊の原因になる可能性があります。1)2)3)7)
卵巣炎
おたふく風邪により発症する卵巣炎はムンプスウィルス感染によるものです。
卵巣炎は、病原体が子宮経管から卵管に感染して、さらに卵巣まで炎症が達し、周囲の臓器とのゆ着によって卵管が狭くなったり、ふさがったりすれば不妊症の原因になります。
不正出血や黄色い膿のようなおりものをともなうこともあります。
慢性化した場合には、熱は下がりますが、周囲の臓器とのゆ着による月経痛、腹痛、腰痛、排便痛、排尿痛などが出現する可能性があります。
治療は急性期になるべく早く抗生物質や消炎剤での治療を行うことが重要です。
同時に安静も必要なので、症状が強いときは入院して治療します。1)2)3)4)
難聴
おたふく風邪による難聴は、感音性難聴と呼ばれ、聴力の回復がとても難しいとされる「ムンプス難聴」とも呼ばれる合併症です。
血液の流れや鼓膜の奥にある内耳道を介して、ムンプスウイルスが音の振動を受ける蝸牛(かぎゅう)に感染して障害を引き起こすことで聴力に影響を及ぼします。
おたふく風邪を発症した人の1000人に1人が感音性難聴になっていたことがわかっています。
その発症の頻度の割合は、学童期の小学生に最も多く起こっています。
永続的に聴力に支障がでるので、後遺症を残す合併症であるといえます。1)2)5)7)
膵炎
ムンプスウイルスに感染すると、約4%は急性膵炎を発症すると言われています。
急性膵炎の最も多い症状は、上腹部痛ですが、背部まで広がる痛みも多く見られます。
ほか、嘔吐、発熱などの症状や、状態が悪化すると、意識障害やショック状態など重症化の症状もみられます。
強い腹痛が症状だけのこともあります。
激しい腹痛と嘔吐と、みぞおちより少し下くらいから背中に痛みが広がり、膝を曲げて胸に膝を近づけたような姿勢でいると痛みが少し軽くなるので、そういった姿勢をとるようになると急性膵炎の典型的な症状と考えられます。
強い腹痛が症状だけのこともあります。
急性膵炎は、血液データと造影CTにより診断し重症度判定が行われます。
急性膵炎の治療は、絶飲食による膵臓の安静が必要であるとともに十分な量の輸液投与を行います。
腹痛に対しては、鎮痛剤を適宜使用したり、蛋白分解酵素阻害薬なども使用して治療します。
重症膵炎になると、集中治療が必要となり、輸液管理に加え、臓器不全対策、感染予防、栄養管理などが必要となります。 1)2)7)
治療は?
おたふく風邪とその合併症に対する治療は基本的には対症療法になります。
発熱などに対しては鎮痛薬や解熱薬の投与を行います。
髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となります。1)2)7)
感染症法における取り扱いとは?
おたふく風邪の感染症法における取り扱い(2012年7月更新)は以下のようになっています。
「流行性耳下腺炎」すなわちおたふく風邪は、定点報告対象にあたる病気(5類感染症)であり、指定届出機関(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)は週毎に保健所に届け出なければならないとされる感染症です。1)
学校保健安全法における取り扱いとは?
おたふく風邪の学校保健安全法における取り扱い(2012年3月30日現在)は以下のようになっています。
「流行性耳下腺炎」すなわちおたふく風邪は、第2種の感染症に定められており、耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫れが現れた後5日を経過して、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされています。
ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りではありません。
また、こちらの場合も出席停止期間となります。
・おたふく風邪患者のいる家に居住する者、又はかかっている疑いがある者については、予防処置の施行その他の事情により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止となります。
・発生した地域から通学する者については、その発生状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間は出席停止となります。
・流行地を旅行した者については、その状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間は出席停止となります。1)
保育園、幼稚園はいつから登園できる?
保育園や幼稚園などではおたふく風邪の集団感染が起こりやすくなります。
耳下腺、顎下腺または舌下腺のはれが出た後5日経過し、かつ全身状態が良好になるまでは、原則登園禁止とされています。
園によっては登園に書類の提出などが必要になる場合があるので、登園している園にどのような取り決めがあるかあらかじめ確認しておくと良いでしょう。1)
感染予防とは
おたふく風邪の感染予防は一般的な手指消毒などの感染予防とおたふく風邪ワクチンの予防接種が有効な手段と言えます。
以下にそれぞれの感染予防策を説明していきます。
おたふく風邪の感染経路は飛沫感染、接触感染です。
唾液腺の腫れがある場合には感染力がありますが、唾液腺の腫れがおさまれば感染力はなくなります。
唾液腺が腫れている時に含まれるウィルスが飛沫や手指などを介して感染します。
手洗いやうがいは、手やのどなどの体に付着したウイルスを退治するために効果があるといわれており、感染症予防の基本となります。
手洗い・うがい・咳エチケットのやり方を説明していきます。1)2)7)8)
手洗い
<手の洗い方>
1.流水でよく手を濡らした後、石けんをつけ、手のひらをよくこすります。
2.手の甲をのばすようにこすります。
3.指先・爪の間を念入りにこすります。
4.指の間を洗います。
5.親指と手のひらをねじり洗いします。
6.手首も忘れずに洗います。
7.石けんで洗い終わったら、十分に水で流し、清潔なタオルやペーパータオルでよく拭き取って乾かします。
※手洗いの前に
・爪は短く切っておきましょう。
・時計や指輪ははずしておきましょう。
<小さいお子さんの手洗い指導の工夫>
保育園や幼稚園では手洗いの歌があり、手洗いの工程が歌詞になっていて、手洗いの際に歌を歌いながら手を洗い、歌を歌い切ると上記の項目全てが手順通りに実施できるようになっています。
最近ではyoutubeで手洗い動画もあり、芸能人が手洗いの歌をつくり配信したりしていますね。
お気に入りの手洗いの歌をみつけて実施すると、手洗いの手順を頭で覚えるより楽しく早く自然に実施できると思うので試してみるのも良いです。1)2)7)8)
うがい
うがいを行うと、口腔内にいるウイルスや細菌などを洗い流して減らし、インフルエンザやかぜを予防する効果があります。
口に含んでグシュグシュして2~3回洗い、次に上を向いて10秒くらいかけゴロゴロとしたうがいを数回繰り返します。
イソジンなどの消毒液は入れすぎると粘膜を弱らせ、逆効果になることがあるので注意しましょう。
コップ1杯に対し数的で十分効果がありますので、用法用量をよく読んで使用するようにしてください。1)2)7)8)
咳エチケット
1.マスクを着用する。
咳・くしゃみが出る時は、他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。
マスクをつけるときは取り扱い説明書をよく読んで、正しくつけるようにしましょう。
マスクの大きさが顔に対して小さすぎたり、大きすぎたりすると、顔にマスクがフィットせず、予防効果が半減してしまいます。
マスクは、鼻から顎までが覆えて顔に添わせたときに隙間がないものを選びましょう。
※咳エチケット用のマスクは、薬局やコンビニエンスストア等で市販されている不織布(ふしょくふ)製マスクの使用が推奨されます。
2.ティッシュやハンカチなどで口や鼻を覆う。
マスクを持っていない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけて1m以上離れましょう。
鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、 手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗いましょう。
ティッシュやハンカチを広げて、広げたまま鼻の根元あたりから当てます。
両手で鼻の両サイドから軽く押さえます。
口や鼻を覆ったティッシュはすぐにゴミ箱に捨てるようにしましょう。
3.上着の内側や服の袖(そで)で口元を覆う。
マスクもなくティッシュやハンカチも間に合わない時には、上着の内側や服の袖で口元を覆います。
肘を曲げて、ちょうど肘の内側が鼻の頭付近に当たるようにします。
鼻の頭から口元までを覆うことで咄嗟の時には飛沫を予防することができます。1)2)7)8)
おたふく風邪ワクチンの接種について
おたふく風邪の予防でもっとも効果的なのはワクチンを接種することです。
ワクチンの有効性については、ワクチンの接種後におたふく風邪にかかったかどうかの調査があります。
ワクチンを接種した人で、その後におたふく風邪にかかった人は、1~3%程度だったという報告があります。
ワクチンを接種するとどのくらい抗体価が得られるのか、抗体価を測定した報告では、多少の違いはあっても、おおむね90%前後の人がおたふく風邪の発症を防ぐのに有効なレベルの抗体が獲得できるとされています。
現在日本でのおたふく風邪ワクチンの接種は、自身で接種するかしないかを判断する任意接種となっています。
1歳以降にワクチン接種を受けることができ、2回の接種が基本となります。
また、1回目と2回目のワクチン接種の感覚は1ヵ月以上空けて次のワクチン接種を行うなどの基本的なルールが設けられていますので注意しましょう。
おたふく風邪ワクチンは、接種後に、まれに唾液腺が腫れたり、無菌性髄膜炎などの副反応を起こすことがあります。
しかしその頻度は、おたふく風邪に感染して起こる症状や合併症と比較してもかなり低いことがわかっています。
また、以前のワクチンにはゼラチンが含まれていたため、ゼラチンアレルギーのある子どもには接種後のアレルギー反応に注意が必要でした。
しかし、各ワクチンメーカーの努力により、 ゼラチンが除かれるか、あるいは低アレルゲン性のゼラチンが用いられるようになり、ゼラチンアレルギーのある子どもに対しても接種が安全に行われるようになっています。
おたふく風邪の患者と接触してしまった場合の発症の予防策として、すぐにワクチン接種を行う方法がありますが、それはあまり有効ではありません。
その患者との接触した当日にすぐにワクチン接種を行ったとしても、症状を軽くすることはできても、おたふく風邪の発症を予防することは難しいと言われています。
おたふく風邪に対して効き目のある抗ウイルス剤が開発されていない現状では、集団生活に入る前にワクチン接種をして抗体をつくり予防しておくことが、現在とっておける策としては、最も有効な感染予防法と言えます。1)2)7)
看護とは?
おたふく風邪は、ムンプスウィルスの感染後、平均18日ほどの潜伏期間を経て症状を発症します。
その症状は発熱と唾液腺の痛みの症状が主症状です。
看護のポイントは発熱に対する看護と唾液腺が腫れることによる口の開閉の痛みがあることにより食事や水分補給がままならなくなり、脱水傾向にかたむく恐れがあることです。
発熱と食事や水分摂取、脱水兆候の観察ポイントについて以下に説明していきます。1)2)7)
発熱時
人間の体は、熱が出て体温が高熱になると熱の上昇に伴って強いふるえが出現します。
その場合には、発熱に対するケアが必要になります。
部屋を温かくして、毛布などの掛け物を足すなどして保温します。
熱が上がりきると震えや寒さはなくなります。
震えや寒さがなくなり熱さを訴えてきたら、今度は身体を冷ますようにします。
掛け物を外して、汗をかいていれば寝衣を交換するのもよいでしょう。
小さなお子さんの場合、アイスノンや冷たいタオルを当てても、嫌がる子もいますので、無理やり冷やす必要はありません。
その場合には着ているものを調整したり、汗をかいていれば清拭したり、寝具のかけものを減らしたり、室内の空調をコントロールして体温を調整します。
また、市販で売られている冷却ジェルシートは爽快感は得られますが、解熱効果は期待できません。
シートがずれて口鼻を覆い、窒息する危険性があるため、小さな子に使用する場合には目をはなさないよう注意が必要です。
症状が安定していて入浴やシャワー浴を行う場合には、長い時間になると体力を消費してしまうので、サッと入るようにしましょう。
入浴やシャワーの後にはしっかり身体の水分を拭き取り、冷えないようにしましょう。1)2)7)
脱水症状に注意しましょう
水分摂取量が減っている場合は脱水に注意して観察しましょう。
脱水に傾くとおしっこは回数や量が減り、色は薄い黄色から濃いオレンジへと変化していると脱水に傾いている徴候です。
また、人間は、汗や唾液、それら以外に、人間が生きているだけで皮膚から放出して蒸発していく水分もあります。
少しは飲んでいるのに脱水傾向に陥る場合は、そういった体液の喪失も考えられるので、室温やかけものや衣服などで調整し、皮膚からの水分の喪失が少なくなるようにしましょう。
脱水症状を脱したあとは元気があるか、おしっこが出ているか、脈拍数や呼吸の数が多くないかといったことから、脱水症状が改善されているかどうかを見ていくようにしましょう。
患者が赤ちゃんの場合は、赤ちゃんの脱水の兆候を身体から知るには、体温や脈拍、脇の下が乾燥している、口の中が乾燥している、唇が乾燥している、目が陥没して見える、それらの兆候に加えて頭の登頂部付近にある大泉門がへこんでいるといった現象により観察することができます。
小さなお子さんは自分で伝えることができないため、保護者の方がよく観察することが大切です。1)2)7)
低血糖
大人では、病気になっても低血糖症状を起こすまで何も口にしないことは少ないと思いますが、イオン系飲料水や、経口補水液などを利用すると予防できます。
口を開けるのが痛くて何も口にできない時は低血糖を起こす可能性もあります。
低血糖状態になると、一般的には発汗がでたり、不安を訴えたり、顔色が白くなったり、脈が頻回になったりどきどきを感じたり、吐き気などが出現します。
他には、考える力が低下したり、身体の動きがのろのろしたり、呼びかけに対して反応があいまいだったり、反応がなくなったりするといった症状が現れます。
そのような症状が起きた場合は、受診して血糖値の測定について検討する必要があります。
小さなお子さんの場合、口から食事が取れなくなることにより、脱水と同じく、簡単に糖分が足りない状態になり低血糖を起こしやすくなりますので低血糖症状にならないように注意しましょう。
低血糖の予防には少しでも口に入れられれば、糖分の含むものを与えると良いですが、飲めない食べれないときには早めに受診するのがよいでしょう。1)2)7)
食事の工夫
唾液腺の痛みに対して痛みを和らげたりするために、鎮痛薬が処方されることがあります。
少しでも食べられる場合にはその痛みが強くならないよう、食事による痛みへの負担を減らすことが必要になります。
口の中に痛みがある場合には、オレンジジュースなどのような刺激のあるものは避け、のどごしの良い少し冷たい飲みものがおすすめです。
例)麦茶や牛乳、冷めたスープ、ポカリなど
口の開閉が少なくなるようにストローを用意して使用するといいでしょう。
食べものは、かまずに飲み込める刺激の少ない食べ物にしましょう。
例)ゼリーやプリン、アイス、冷めたおじや、豆腐など。
飲み込むのが辛いときは、電解質や糖分を含むポカリなどのスポーツドリンクやOS-1などの経口補水液で脱水や低血糖を予防できる飲み物を飲むようにしましょう1)2)7)
医療相談の専用電話の利用
自宅で療養しているものの、受診するほどの症状なのか、または、なかなか症状が改善せず、心配で受診したいけれども、夜間や休日になってしまった、どうしたらいいかなと悩んでいたら相談に乗ってくれる窓口があります。
遠慮せず早めに相談することで重症化のリスクを下げることができます。
小さなお子さんの場合には、保護者の方の負担を減らし、お子さんの重症化を防ぐことにもつながります。
医療相談の専用電話を活用していきましょう。9)
大人は#7199に相談できます
#7199に電話することで大人が救急医療相談に乗ってもらえる窓口です。
専門の医師や看護師、相談員が病状に合わせ、緊急度判定プロトコルという指針を使い、受診で良いか、救急車を呼んだほうが良いかをアドバイスしてくれます。
受診が必要な場合には、受診できる病院を検索してくれます。
また救急要請が必要な場合には救急要請の段取りを指導してくれます。
まだ、全ての都道府県で実施されているわけではないですが、その取り組みは広がっています。
#7199の番号以外でも地域によって医療相談窓口を設けているところもあります。
もしもの時のためにお住まいの市区町村の取り組みを知っておくと良いです。9)
子どもは#8000に相談できます
#8000に電話することで子どもの救急医療相談に乗ってくれる窓口です。
全国どこでもこの番号でかけたら対応してくれる、国の子ども医療電話相談事業です。
保護者の方が、休日夜間のこどもの症状にどのように対応したら良いのか、病院を受診した方が良いのかなど判断に迷ったときに、医師・看護師が電話で相談に乗ってくれます。
この事業は全国同一の短縮番号#8000をプッシュすることにより、お住いの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスを受けられます。
電話ですぐに相談することができるのでとても便利です。
質問するときにはあらかじめメモ帳に質問したいことを箇条書きに書いておくと緊張せず話せておすすめです。
また、年齢、性別をまず伝えておくと医師や看護師が判断できることがあるので、今回の症状を時間を追って順番に話していくようにすると効率的です。
医師や看護師はお話しをしながら年齢や性別に合わせて疑われる病気やこれから起こり得る症状を予測しながらお話しを聞き、病気の予測をたてていきます。
もしうまく話せなくても大丈夫です。
医師や看護師が順を追ってお話しを聞いていきますので安心してください。
お子さんが心配で慌てる気持ちもあるかもしれませんが落ち着いて話すようにしましょう。9)
救急車要請数を減らすために
現在の日本の救急医療の問題点として、救急車の要請数が多く搬送に時間がかかってしまうケースが相次いでいます。
この原因は、救急車を要請するひとの多くが軽症であるのに、救急車を要請し、救急車を出動させてしまっているために、本当に救急車が必要な方の搬送に時間がかかってしまっていることが挙げられます。
日本はこれからますます高齢者が増えて、救急要請の数が増えると予測されています。
そのために、国民ひとりひとりがその現状を認識し、理解し、どうすれば良いのかを知ることが必要なのではないかと思います。
そこで、前項でご紹介した、救急医療相談窓口などの利用は、軽傷で自力で受診が可能で
救急車の出動が不要な救急要請数を減らすことに協力ができます。
心配な症状があったらまず医療相談窓口に電話してみることを心がける、かかりつけ医を持ち日中に電話で相談してみる、相談に行くようにするなど、できることから工夫していきましょう。9)
大人がおたふく風邪にかかると生殖機能に影響がある?
大人がおたふく風邪にかかると生殖機能に重大な合併症を起こす可能性があります。
男性では睾丸炎、女性では卵巣炎がその病気にあたります。
どちらも機能低下を起こし、不妊症の原因となることがあります。
男性の場合、女性の場合とわけて説明していきます。
男性の場合
精子を作る細胞は熱に弱いので、大人になって高熱を出すとお腹から温かい血液が精巣(に流れこんで、精子を作る働きが悪くなります。
たとえばインフルエンザなどで高い熱を出すと精子を作る機能が低下することがありますが、それは一時的なもので、3,4か月経過すると精子は元に戻ります。
しかしおたふく風邪にかかって睾丸(精巣)が腫れたときは注意が必要です。
思春期以降におたふく風邪にかかると、おたふく風邪の原因であるムンプスウィルスが精巣に炎症を起こすことがあり、ムンプス精巣炎とよばれます。
そのせいで精子を作る働きが悪くなり、結果的に無精子症になることが知られています。
無精子症になる危険性が高いのは、両側の精巣がムンプス精巣炎になった場合かまたは、片方の精巣を手術などで摘出していて、精巣がもともとひとつしかない男性がムンプス精巣炎にかかった場合が考えられます。
おたふく風邪をひいてムンプス精巣炎になると、それは片方と、両方のどちらに起こりやすいものなのかを複数の研究報告から集計した結果、片方のみが精巣炎になったのが82%で、両方とも精巣炎になったのは18%であったと報告されています。
このことからもムンプス精巣炎は片側のみに起こることのほうが多いようです。
しかし片側のムンプス精巣炎なら心配がないわけではなく、片側のムンプス精巣炎であったとしても、反対側の精巣にも潜在的な影響を及ぼすことがあり、精子の数が減る乏精子症や、精子の運動率が低くなる精子無力症になることがあるため注意が必要です。
また、両側のムンプス精巣炎であっても左右同時に発症するとは限らず、片方の精巣がムンプス精巣炎を起こして数日後に、もう片方も精巣炎になることもあるので片側しか腫れていない場合でも経過には注意をしている必要があります。
精子を造る機能については、ムンプス精巣炎の発症後に精液所見が悪くなった場合には、炎症の程度によって異なりますが、数か月から1年程度はかかっても改善してくることが多く、無精子症になってしまったとしても、しばらくすると精液中に精子が確認できたとの報告があります。
その一方で、12~15か月後にも乏精子症、精子無力症の所見が継続していた例も80%あるとの報告もあります。
もしおたふく風邪のあとに精巣炎になって、その後に無精子症になり、残念ながらその後も精液中に精子が出てこない場合には、非閉塞性無精子症として精巣内からの精子を回収することを試みることになります。
顕微鏡的精巣内精子回収術とよばれますが、おたふく風邪による精巣炎後の無精子症では、他の原因で無精子症になっている場合より精子の回収率が高く、顕微授精で妊娠が期待できます。
もし子どもが欲しいと思っていたのにおたふく風邪になって精巣炎にかかってしまった場合には、急いで精子凍結をする選択肢もあります。
精巣炎にかかると無精子症になるリスクがあることを考えると、おたふく風邪で精巣炎になったら急いで精子を凍結する方法があります。
おたふく風邪のあとの精巣炎になった直後はまだ精子は出ているので、それを凍結しておけば、無精子症になったとしても精巣を切る手術は回避できます。
もし、精子を造る機能が低下しなかったり、経過観察をしている中で精液所見が回復してくれば、凍結精子は使わず、通常の性交渉で妊娠を望むことができます。
おたふく風邪の後遺症は非常に恐いものですが、おたふく風邪ワクチンを接種することで回避できる問題といえますので、今まさに子作りを考えている男性は、おたふく風邪ワクチンを接種して予防すると良いでしょう。1)2)3)7)
女性の場合
卵巣炎は、病原体が子宮経管から卵管に感染して卵巣に炎症が起き不妊症につながる恐れがあるため注意が必要です。
卵管は炎症を起こしやすく、同時にその先の卵巣にまで炎症が及んでしまうことが多く、炎症の原因となるのは、大腸菌やブドウ球菌、クラミジア、淋菌などの感染症です。
人工妊娠中絶の処置や流産・出産時・タンポンの長時間使用、性行為などで腟に感染し、多くの場合は、膣炎から始まり、子宮頚管炎や子宮内膜炎と炎症が広がってしまいます。
このように下から上に広がっていく感染経路は上行感染といわれており、さらに炎症が周りの臓器に広がると骨盤腹膜炎を引き起こします。
急性期から1~2週間後には慢性化して、周囲の臓器とのゆ着によって卵管が狭くなったり、ふさがったりすれば不妊症の原因になります。
症状は急性の場合では、下腹部痛や腹部の膨満感とともに、38~39度の発熱、吐き気、特に下腹部を押すと強い痛みを感じます。
また、不正出血や黄色い膿のようなおりものをともなうこともあります。
慢性化した場合には、熱は下がりますが、周囲の臓器とのゆ着による月経痛、腹痛、腰痛、排便痛、排尿痛などが出現する可能性があります。
治療は急性期になるべく早く抗生物質や消炎剤での治療を行うことが重要です。
同時に安静も必要なので、症状が強いときは入院して治療します。1)2)3)7)
妊婦さんの場合
妊婦さんは特に注意が必要となります。
妊娠早期でおたふくかぜに感染した場合は、流産の危険性があります。
日頃から手洗いうがいを励行し、マスクを着用して感染から身を守りましょう。
妊娠中におたふく風邪かもと思ったら、合併症をおこして手遅れになる前に必ずかかりつけ医を受診して、体調管理の指示や薬の処方を受けるようにしましょう。1)2)3)7)
これから妊娠を望む方
また妊娠を望む夫婦の場合には、夫婦それぞれにおたふく風邪の抗体価があるか検査した上で、抗体価が低い場合は、夫婦でおたふく風邪の予防接種をあらかじめ受けておきましょう。1)2)3)7)
まとめ
おたふく風邪は流行性耳下腺炎のことですが、英語ではムンプスと呼ばれています。
ムンプスウィルスに感染すると耳の近くが腫れて「お多福」の様な顔になることからおたふく風邪と言われ、英語ではその症状で痛くて口が開けられずぼそぼそ喋る様子から、ぼそぼそ言うの語源「mumble」が元になりムンプスと呼ばれる様になったようです。
おたふく風邪の経過は、基本的には軽症で、ムンプスウィルスに感染して2~3週間の潜伏期を経てから、唾液腺が腫れ・押すと痛みがある圧痛、飲み込みで痛みがある嚥下痛、発熱を主な症状として発症します。通常1~2週間すると症状は軽くなっていきます。
おたふく風邪にかかると、唾液腺の腫れと痛みで、口の開閉がしずらくなります。
高熱も出ることから、経口からの水分接種が減ると、脱水症状を起こす可能性もあります。
口の開閉のしづらさを助ける為に、ストローを使って飲んだり、刺激の少ない飲み物にすることで辛さを緩和できるよう工夫してみてください。
ムンプスウィルスの感染は接触感染、あるいは飛沫感染ですが、その感染力はかなり強いとされています。
感染しても症状が現れずに経過してしまう不顕性感染である場合もあります。
他の病気と鑑別する必要があるものには、他のウイルスや、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどによる耳下腺炎や特発性の反復性耳下腺炎などがあります。
おたふく風邪の合併症には無菌性髄膜炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎があります。
おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスは、唾液腺以外に、髄膜や内耳、精巣、卵巣、すい臓などに感染しやすいために、その関連する部位で合併症が起こりやすくなります。
難聴は永続的に聴力に支障が出ますし、睾丸炎や卵巣炎は不妊の原因となる可能性があります。
妊娠初期に感染すると早期流産の原因にもなります。
特に大人になってからのおたふく風邪の発症でリスクは上がっていきます。
発症を予防する手段としていちばん効果的なのはおたふく風邪の予防接種です。
先進国の中でもおたふく風邪ワクチンの接種率が低い日本では、おたふく風邪にかかってしまい後遺症を残す子どもがいます。
おたふく風邪のこわさを知ってワクチンを接種して予防することが大切です。
また、妊娠を望む場合には、自身におたふく風邪の抗体価があるか検査した上で、抗体価がない女性が妊娠を望んでいる場合は、おたふく風邪の予防接種をあらかじめ受けておきましょう。
そして、日頃からの感染予防も大切です。
おたふく風邪の感染経路は飛沫感染、接触感染で唾液腺の腫れがある場合には感染力がありますが、唾液腺の腫れがおさまれば感染力はなくなります。
唾液腺が腫れている時に含まれるウィルスが飛沫や手指などを介して感染します。
手洗いやうがいは、ウイルスを退治するために効果があり感染予防の基本となります。
手洗い・うがい・咳エチケットのやり方を覚えておきましょう。
それに加え、おたふく風邪予防ワクチンを接種して注意していきましょう。
参考文献
1)流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)NIID 国立感染症研究所https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/529-mumps.html
2)大人がなると危険!おたふくかぜ 日本成人病予防協会
https://www.japa.org/tips/kkj_2011/
3)精巣炎 MSDマニュアル
https://docs.google.com/document/d/13GGRhSC_kpK3dNeMWyLnfzFeO18MJIkCzIrQlmQosmE/edit
4)卵管炎・卵巣炎 的野ウィメンズクリニック
https://www.matono-womens.com/treatment/seibyou/rankanransou
5)IASR・ムンプス難聴と聴覚補償 NIID 国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2254-related-articles/related-articles-402/3790-dj4026.html
6)無菌性髄膜炎 東京都感染症情報センター
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/as-meningitis/
7)おたふく風邪(流行性耳下腺炎) Docters File
https://doctorsfile.jp/medication/326/
8)感染対策の基礎知識 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000501120.pdf
9)救急アドバイス 東京消防庁
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/