くしゃみ・鼻水はなんのせい? 鼻炎の原因あれこれ
原因不明のくしゃみの発生や、鼻水・鼻づまりなどの症状が起こった場合、まず鼻炎を疑う方も多いのではないでしょうか。
鼻炎といっても、その症状や原因、種類はさまざまです。
適した対処法もそれぞれ異なります。
今回は、私たちにとって比較的身近な症状である鼻炎について、詳しく紹介します。
原因のほか、一般的な治療法なども説明していますので参考にしてください。
目次
アレルギー性と非アレルギー性がある鼻炎。診断が大切
一般的に、鼻炎は「アレルギー性」と「非アレルギー性」の二つのタイプが存在します。
この2つには共通する症状が多いため、自分でどちらか判断するのは難しい場合が多いです。
たとえば、花粉やハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎と風邪などの疾患が原因の鼻炎では、どちらもくしゃみや鼻づまりといった症状が出ます。
正確に原因を特定するには医師の診断が必要なため、原因不明なまま市販薬で対処するといった自己判断での治療は避けましょう。
とはいえ、自分の体について知るためにも、考えられる一般的な鼻炎の原因を知ることは大切です。
以下より詳細を見てみましょう。
そもそも鼻炎ってなに?
そもそも鼻炎とは何か、という点からよく分からない人も多いものです。
まずは、鼻炎の定義と症状を紹介します。
鼻の粘膜の炎症。主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり
鼻炎とは、鼻の粘膜が炎症を起こし、腫れている状態のことです。
前述のように、アレルギー性のものと非アレルギー性のものに分類されています。
アレルギー性のものは、花粉症やハウスダストが代表的で、後者は風邪など急性ウィルス製のものなどが挙げられます。
主な症状は鼻水やくしゃみ、鼻の粘膜の膨張による鼻づまりです。
花粉症などでは、目のかゆみや皮膚炎など、鼻炎以外の症状を伴うケースも見られます。
アレルギー性鼻炎の「通年性」と「季節性」
私たちの体には、生まれつき免疫機能が備わっていますが、それが特定の原因物質(アレルゲン)に対して異常な反応を起こすのがアレルギーのメカニズムです。
アレルギー性鼻炎には、特定の季節だけ発生する「季節性」と、年間を通して症状の出る「通年性」の二種類があります。
スギ花粉などの各種花粉症などは季節性、ペットの毛やダニなどがアレルゲンの鼻炎は通年性の代表例です。
寒暖差でくしゃみが出る?血管運動性鼻炎に注意!
空気の寒暖差によってくしゃみや鼻水が出る「血管運動性鼻炎」と呼ばれるものもあります。
寒暖差アレルギーと呼ばれることもありますが、厳密にはアレルギーとは異なる現象です。
血管運動性鼻炎の原因は定かではありませんが、急な温度の変化によって自律神経のバランスが崩れることが関係していると考えられています。
冬に温かい部屋から寒い屋外に出るなど、激しい気温差に晒されることで起こるほか、生活習慣の乱れによっても発生しやすくなります。
対策としては、服装を調整することで体感温度の変化を抑える、規則正しい生活やストレスの発散をするといった方法で自律神経を整えることが有効です。
アレルギー性鼻炎について
アレルギー性鼻炎は、アレルゲンを知ることにより、症状を軽減させることができます。
詳しく見てみましょう。
アレルギー性鼻炎のアレルゲンはいろいろ
アレルギー性鼻炎のアレルゲンはさまざまです。
たとえば花粉症1つをとっても、アレルゲンとなる花粉は以下のように何種類もあります。
【季節性アレルギー(花粉症)のアレルゲン(一例)】
- スギ
- ヒノキ
- ブタクサ
- ヨモギ
- ハンノキ
- シラカンバ
一方の通年性アレルギー性鼻炎は、次のような物質が主な原因です。
【通年性アレルギーのアレルゲン(一例)】
- ダニ(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニなど)
- 動物の毛(イヌ、ネコなど)
- 真菌類(ススカビ、コウジカビなど)
これらのアレルゲンは埃に含まれてハウスダストとして屋内を浮遊しており、吸い込むことでアレルギー性鼻炎の引き金となります。
アレルゲンを特定する検査は血液検査、皮膚テストなど
アレルゲンを特定するには、医療機関で検査を受ける必要があります。
検査方法は「血液検査」「皮膚テスト」の2種類が広く行われており、医師と相談のうえ適したものを選ぶことになります。
血液検査 |
少量の血液を採取し、特定のアレルゲンに反応する抗体(IgE抗体)の量を検査する。 |
皮膚テスト |
アレルゲンの注射やパッチを当てることにより反応を確認する。 |
この二つのなかでも、一度にさまざまなアレルギーを検査できる血液検査が広く行われています。
なかでも、一般的な「View39」の場合、以下の39種のアレルギーをチェックできます。
【View39で検査できるアレルギー】
食物系アレルギー |
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その他のアレルギー |
|
日常でできるアレルギー性鼻炎対策
自分でできるアレルギー対策として効果的なのは、アレルゲンが粘膜に入らないようにすることです。
生活上の工夫や生活習慣の改善で、症状が表れるのを遠ざけることが可能です。
掃除をまめに行い、ダニ対策の施された寝具を採用するなど、アレルゲンのたまりにくい部屋にしてみてください。
さらに、室内の加湿で浮遊するアレルゲンを減らしたり、定期的な鼻うがいをしたりするとより効果的です。
花粉症の場合は、花粉対策メガネの着用やマスク、帰宅後の着替えなども効果があります。
なるべく自宅にアレルゲンを持ち込まないように注意しましょう。
また、生活習慣を整え、免疫機能を健全に維持することも重要です。
具体的には、ストレスをためない、高糖質・高カロリーの食事を避ける、お酒やタバコが増えすぎないようにするなどを心がけてください。
アレルギー性鼻炎は根治を目指せるようにも
アレルギー性鼻炎は根治が難しい疾患ですが、医療の進歩により症状をなくすことや根治を目指すことができるようになってきました。
アレルギー性鼻炎の症状を一時的になくす治療としては「粘膜焼灼(レーザー治療)」が、根本的に改善する治療としては「舌下免疫療法」が一般的に行われています。
鼻腔粘膜焼灼術(レーザー治療) |
鼻の粘膜をレーザーで焼いて減量させ、鼻づまりを改善させる手術。 |
舌下免疫療法 |
アレルゲンを少量含んだタブレットを長期間服用することで体をアレルゲンに慣らす治療。 服用期間は3年から5年程度。 2022年11月現在、スギとダニ用のものが承認されている。 |
いずれも健康保険の適用対象です。
非アレルギー性鼻炎について
続いて、非アレルギー性鼻炎についても詳しく解説します。
アレルギー性鼻炎との違いや、原因を見てみましょう。
風邪による鼻炎とアレルギー性鼻炎はどう違う?
非アレルギー性鼻炎の代表格が、風邪による急性鼻炎です。
くしゃみや鼻水が出るといった風邪症状は、アレルギー性鼻炎とよく似ています。
風邪とアレルギー性鼻炎では、次のように症状が異なるため見分けることができます。
風邪 |
アレルギー性鼻炎 |
|
くしゃみ |
あり |
あり |
鼻づまり |
あり |
あり |
のどの痛み |
あり |
なし |
発熱 |
あり |
なし |
咳 |
あり |
なし |
持続期間 |
長い場合で2週間程度 |
通年 または特定の季節の間継続 |
鼻の症状のほかに、のどの痛みや発熱がある場合は風邪が疑われます。
その他の疾患
風邪やアレルギーなどを原因としない慢性的な鼻炎もあります。
- 加齢による老人性鼻炎
- 妊娠によって女性ホルモンが引き起こす妊娠性鼻炎
- 冷気の吸入で起こる冷気吸入性鼻炎
- 辛い食べ物や熱い料理の摂食でおこる味覚性鼻炎
- 市販の点鼻薬の過剰使用による薬剤性鼻炎
- 空気の乾燥によって起こる乾燥性鼻炎
慢性鼻炎の治療は、主に鼻炎の原因を取り除くことによって行います。
除去が難しい場合、内服薬の服用や、ネブライザー(霧状の内用薬の吸入)治療によって症状を抑えることも可能です。
鼻炎以外の鼻づまりもある
鼻づまりの症状がある場合は鼻炎が疑われますが、鼻炎以外にも鼻づまりを起こす病気があります。
たとえば、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)など。
さらに、鼻にできものができている(鼻茸)場合や、異物の混入も、鼻づまりの原因の一つです。
症状のみで判別することは難しいため、自己判断はせずに病院で医師に相談してみてください。