手足口病に感染してもお風呂に入ることは可能|治まるまではシャワー浴を推奨
突然ですが、手足口病という病気を知っているでしょうか。子供の三大夏風邪とも言われている手足口病ですが、夏に流行る感染病ということもあり、気になるのはお風呂です。
この記事では、手足口病に感染した場合のお風呂について、注意点とともに詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 手足口病はお風呂でも感染する
- 手足口病に感染してもお風呂に入ることは可能
- 手足口病の症状が治まるまでは、シャワー浴を推奨
- お風呂に入る場合、入る順番やタオルを共有しないことに注意する
手足口病とは
手足口病は、一般的な風邪の症状(発熱や身体のだるさなど)が現れ、特に皮膚症状が特徴的な、子供が感染しやすい三大夏風邪の一つです。
手足口病に感染した場合、主に、手のひら・足の裏・口の中の三つの部位に水疱が現れる傾向にあります。
このように、発症する部位から、手足口病と言われています。現状効果的な特効薬が開発されておらず、安静にすることが重要です。
手足口病の感染経路
手足口病は、ウイルス感染症で、接触感染・飛沫感染・糞口感染の三つが主な感染経路となり、人から人に感染します。
接触感染とは、感染者の唾液、鼻水などに含まれるウイルスが間接的に体内に侵入することで感染することをいい、飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみに含まれたウイルスを吸い込んで侵入して感染することをいいます。また糞口感染は、感染者の便に存在するウイルスが間接的に体内に侵入することで感染します。
手足口病の原因
手足口病に感染する原因として、ウイルスに感染することが挙げられ、その原因となるウイルスは様々ですが、代表的な原因ウイルスは、ノンエンベロープウイルス(エンテロウイルス・コクサッキーウイルス)が挙げられます。
ノンエンベロープウイルスは、アルコール消毒剤や熱に強い耐性を持っているウイルスです。
また手足口病は、繰り返し感染する恐れがあります。手足口病に感染する可能性のあるウイルスの種類が多く、感染した種類のウイルスへの免疫をつけたとしても、別のウイルスへの免疫はないことが挙げられます。
手足口病の症状
手足口病の代表的な症状は以下の通りです。
- 37~38度の発熱
- 体の各部位に水疱ができる(2~5mm)
- 水疱による痛み(特に喉や足の裏)
手足口病に感染した場合、高熱が出るのは稀で、多くの場合は37度台で38度以上の熱が出るのは、罹患者の30%程度です。
感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに大きさ2〜5mmの痛みを伴う水疱性の発疹が出るのが特徴です。特に口内や足底は激痛を伴うため、飲食物を飲み込むことが困難になったり、歩行困難になるケースもあります。
しかし水疱の痛みには個人差があり、見た目は症状が重度に見えても、思いのほか平然としている子供も見られます。症状には個人差があり、必ずしも、手・足・口の全てに症状が見られるとは限らないと言えます。
保育園や幼稚園などは、熱の症状が治まり、口の痛みがなくなるまで休むことを推奨します。症状が治まり、食欲が出るなど、体調が整ってから登園するようにしましょう。
ほとんどの感染者は、数日のうちに治る軽度の感染症で、水疱は一般的に、治癒する際にかさぶたを形成しません。
しかし、稀に以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
- 髄膜炎
- 小脳失調症
- 脳炎
- 心筋炎
- 神経原性肺水腫
- 急性弛緩性麻痺など
以上のように、様々な症状を引き起こす可能性がありますが、他のウイルスによる手足口病と比べて、特にEV71(エンテロウイルス71)に感染した場合には、中枢神経系の合併症を引き起こす可能性が高いことが分かっています。
発熱
手足口病で発熱の症状がある場合、基本的に普通の風邪の場合と同じような対応で問題ありません。
多くの場合は37度台の軽度で、38度以上の高熱が出るのは稀で、感染者の30%程度です。大体は1~2日程度で下がり、症状があっても元気な場合が多いです。
3日間以上熱が下がらない場合は、手足口病が原因ではない可能性もあるため、早急にかかりつけ医への相談を推奨します。
また、発熱の症状がなくても、子供がぐったりしていたり、いつもと様子がおかしいなどの場合も、かかりつけ医への受診を推奨します。
発疹
手足口病に感染した場合、3〜5日後に口の中、手のひら、足底や足背などに2〜5mmの痛みを伴う水疱性の発疹が出るのが特徴です。
手や足にできた発疹に関しては、痛みや痒みがない場合が多いですが、口の中にできた水膨れや口内炎に関しては、痛みを伴う場合が多いとされています。
いずれも3日~7日程度で症状が消えて治まりますが、触ったり掻いたりした場合、水膨れの中には、感染の可能性のある原因ウイルスが存在しているため、潰してしまうと、発疹の症状が悪化し、治りが遅くなる可能性があります。
また感染拡大のリスクも高くなってしまいます。よって発疹は、触らず、搔かないようにすることが大切です。
喉の痛み
手足口病に感染し、喉に水疱ができた場合、口の中に激痛が現れることがあります。そのため、子供が食事や水分を摂取したがらなくなります。
よって、脱水症状を防ぐために、十分に水分補給をさせることが大切です。
また、以下のような喉越しの良い食べ物や柔らかい食べ物を食べさせ、喉への刺激の強い食べ物は避けることが大切です。
- ゼリー・プリン
- アイス
- 冷めたおかゆ
- 豆腐
下痢・嘔吐
手足口病では、そこまで重度であったり、繰り返すわけではありませんが、お腹が緩くなったり、吐いたりする場合があります。
また、手足口病の原因となるウイルスは、完治した後も数週間にわたって、便や嘔吐物に存在しています。そのため、感染拡大を防ぐためにも、子供のオムツ交換後は、石鹸での手洗いを徹底しましょう。
また、アルコール消毒だけではなく、石鹸での手洗いを併せて徹底することで、アルコール消毒の効果効が薄いエンテロウイルスにも、効果があります。
手足口病に感染した場合のお風呂
手足口病が主に流行する時期は夏です。汗や体のベタつきが気になる季節のため、手足口病に感染していたとしても、気になることの1つとして、お風呂に入ることは可能かどうかということが挙げられるでしょう。
結論から言うと、手足口病は、お風呂に入ることで症状が悪化することはあまりないため、基本的にはお風呂に入っても問題ありません。
しかし、お風呂に入る場合は、注意しなければならないこともあります。手足口病に感染した場合、いつからお風呂に入ることができるのか、お風呂でも感染するのか、注意点とともに詳しく見ていきましょう。
いつから入れる?
手足口病に感染しても、基本的にいつでもお風呂に入ることは可能です。しかし、発熱の症状がある場合やいつもより元気がない場合、風邪の症状のように体がだるい場合は、無理をして入浴する必要はありません。
手足口病では、軽度の発熱を引き起こす可能性があります。熱がある状態で入浴すると、脱水症状を引き起こしたり、体力の低下を引き起こしてしまう可能性があります。
よって、手足口病の症状が見られる間は、湯船への入浴を控え、ぬるま湯のシャワーで身体を流すだけに留めましょう。
お風呂でも感染する
上でも述べたように、手足口病に感染していても、お風呂に入ることは可能ですが、家族への感染を拡大させてしまう可能性があることに注意しなければなりません。
手足口病に感染することによってできた手足や口の水疱には、ウイルスが含まれています。お風呂に入ることで皮膚は柔らかくなり、そのタイミングで体を洗う際に、摩擦などで水疱が破れ、ウイルスが排出されてしまう可能性があります。
対策としては、発疹などがある場合、症状が完治するまでは、一番最後に入浴することが推奨されます。一番最後に入浴することで、その後に入浴する家族がいないため、万が一湯舟にウイルスが排出されたとしても、家族間の感染の心配はありません。
一方で、本人の健康状態や症状の悪化を予防することを第一に考えた場合、一番風呂が好ましいと言えます。理由は、その発疹から雑菌が入り込まないようにするためです。しかし、一番風呂だと、家族がその後に入ることになるため、湯舟にウイルスが排出されていた場合、家族間の感染を引き起こす可能性があります。
よって、発疹の症状がある場合は、湯舟には入らず、シャワー浴で済ませることを推奨します。
また、入浴後に感染者が使用したタオルの共有も感染の可能性があるため、入浴後のタオル共有はしないように注意しましょう。
注意点
手足口病に感染した場合の入浴では、注意するべきことがいくつかあります。
まず、入浴の際のお湯の温度と体の洗い方です。手足口病に感染した場合、皮膚に水疱性の湿疹が現れます。この水疱の症状が治まっていない状態で、熱いお湯に触れたり、石鹸などで洗う際に摩擦が起きたりすると、水疱が破れたり、湿疹の症状が悪化する可能性があります。
よって、入浴する際の温度を高温にしすぎないように注意し、体を洗う際には、摩擦が起きない程度の強さで、優しく洗うように注意することが大切です。
また、上でも述べましたが、湿疹の症状がある間は、家族への感染を予防し、傷口から細菌が侵入することを防ぐために、湯舟に浸かることを控え、症状が治まってから湯船に浸かるようにしましょう。
そして、入浴後のタオルの使い方にも注意しましょう。感染者が使用したタオルを家族間で共有することで、タオルを介して、ウイルスに感染してしまう可能性があります。
よって、入浴後のタオルは共有しないように徹底しましょう。
手足口病に感染したら
手足口病に感染した場合、成人した大人の場合は、内科を受診しましょう。
子供が感染した場合は、小児科を受診することになります。近くに小児科がない場合は、内科でも問題ありません。
症状として、喉の痛みがあり、食欲がなくなったり水分を摂取することを拒む可能性もあるため、噛まずに飲み込める喉越しの良い食品を推奨します。
また、脱水症状を予防するために、意識的に水分を摂取させることが大切です。
手足口病に対する直接的な治療薬はなく、対症療法として、口内炎(口の中にできた腫瘍)に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方される場合があります。
保育園や幼稚園などは症状が落ち着いて、口の痛みや体の発疹がなくなるまで休む
ことを推奨します。体調が整って、食欲が出てから行くようにしましょう。
手足口病の治療法
現状、手足口病に対する特別な治療法はありません。
手足口病で高熱が出るケースは少なく、基本的には解熱剤は必要ありません。
痒みが強い場合は、医師の判断で必要に応じて、「抗ヒスタミン剤」を処方します。抗ヒスタミン剤は、アレルギー反応を抑制し、痒みや発赤などの症状を緩和させる作用があります。しかし、多くの場合、水疱が痒みを伴わないケースが多く、処方するケースは少ないと言えます。
また、場合によっては、医師の判断で「経静脈的補液」を点滴から投与することを検討します。理由としては、口内の水疱や喉の痛みによって、飲食物を飲み込むことが難しくなるため、脱水症状を招く可能性があることが挙げられます。
よって、手足口病に感染した場合は、基本的に自宅で安静にして症状が治ることを待つことが推奨されます。
手足口病の予防法
手足口病は、ウイルス感染です。飛沫や手指を介して感染するため、以下の予防法が挙げられます。
- 手洗いうがい
- 手指消毒
- 身の回りの消毒
- 食器やタオルの共有
完治しても一定の期間、便や嘔吐物にもウイルスが存在するため、子供の排泄後はしっかり手洗い・手指消毒をするように指導しましょう。
赤ちゃんのおむつ交換後は、しっかりと手洗い・手指消毒をするようにしましょう。
また、子どもの唾液や鼻水、唾液や鼻水のついたティッシュを触った際などにも、手洗いをすることを徹底することが大切です。
また、感染している家族がいる場合は、基本的に食器やタオルの共有は避ける事を推奨します。理由としては、感染者が使用した食器やタオルには、ウイルスが付着している可能性が高いことが挙げられます。食器やタオルを共有してしまうと、それを介して手足口病に感染する可能性があります。
よって、それらの共有はしないように中ウイすることが大切です。
さらに、エアコンの温度設定にも気を付けることが大切です。
夏は、暑さで体力や免疫力が落ちます。エアコンで部屋を冷やしすぎたりすると、より免疫力が低下し、より手足口病に感染してしまうリスクが高まります。
よって、エアコンによる室内温度の設定にも注意することが大切です。
まとめ
これまでの内容を踏まえて、手足口病に感染した場合の口内炎の症状を理解しましょう。また、口内炎ができた場合の対処法や注意点を理解し、適切に対処できるようにしましょう。
【参考サイト】
■病気スコープ
■キャップスクリニック
https://caps-clinic.jp/herpangina/
■Doctors File
https://doctorsfile.jp/medication/207/
■厚生労働省 手足口病
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html#:
■太陽クリニック
https://www.taiyo-cl.com/symptoms04
■Medical Note
https://medicalnote.jp/contents/180202-001-MG
■こそだてハック
■AskDoctors
https://www.askdoctors.jp/articles/200833
■E-PARK
https://epark.jp/kosodate/enjoylife/k-hand-foot-and-mouth-disease-initial-symptoms_20399/#i-5