手足口病に感染したら、どんな初期症状が出る?見分け方は?
突然ですが、「手足口病」という病気を聞いたことがあるでしょうか。手足口病に感染した場合、どんな初期症状が出るのか気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、症状から手足口病を見極めるために、手足口病とは何なのか、どのような症状が出るのか、類似する疾患との症状の違いを詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 手足口病に感染したら、3〜5日後に発疹が出始め、熱が出るケースは少ない
- 体に発疹の症状が現れたり、喉の痛みによって症状に気づくことが多い
- 赤ちゃんの初期症状に気づけない可能性が高いため、注意する必要がある
- 手足口病と類似する疾患として、ヘルパンギーナ、水痘、伝染性軟属腫、ヘルペスウイルス感染症が挙げられる
手足口病とは
手足口病は、子供が感染しやすい感染症で三大夏風邪の一つとして、認知されています。
発熱や身体のだるさなど、一般的な風邪の症状が現れますが、皮膚症状がより特徴的です。主に、以下の三つの部位に水疱が現れる傾向にあります。
- 手のひら
- 足の裏
- 口の中
このような症状から、手足口病と呼ばれています。
現状、効果的な治療薬が開発されていません。よって、安静にすることが治療として重要になります。
手足口病の原因
ウイルスに感染することで、手足口病を発症しますが、原因となるウイルスは様々で、主に以下のウイルスが挙げられます。
- エンテロウイルス
- コクサッキーウイルス
これらはノンエンベロープウイルスとも言われており、アルコールなどの消毒剤、熱に強いウイルスです。
また手足口病は感染する可能性のあるウイルスの種類が豊富で、感染した種類のウイルスに対しては免疫を獲得しても、別のウイルスに感染する可能性が残っているため、何度も感染する可能性があります。
手足口病の感染経路
手足口病は、人から人に感染するウイルス感染症です。
主な感染経路は、飛沫感染(感染者の咳やくしゃみに含まれたウイルスを吸い込むことで感染すること)、接触感染(感染者の唾液、鼻水などに含まれるウイルスが間接的に体内に入ることで感染すること)、糞口感染(感染者の便に含まれたウイルスが間接的に体内に入ることで感染すること)の三つが挙げられます。
手足口病の症状
手足口病の代表的な症状は、以下の通りです。
- 発熱(37~38度)
- 喉の痛み
- 口内の水疱(2~5mm)
- 手のひら/足の裏の水疱(2~5mm)
- お尻の周囲の水疱(2~5mm)
- 水疱の痛み
感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜5mmの水疱性発疹が出て、水疱に痛みがあるのが特徴です。特に口内は激痛を伴うため、飲食が困難になることや、足の裏の水疱の痛みによって歩行が困難になるケースもあります。
逆に、見た目は痛々しそうに見えても、思いのほか平然としている子供も見られるため、水疱の痛みには個人差があり一概には言えません。
水疱の治癒過程では、かさぶたを形成しないのが一般的ですが、症状は必ずしも手・足・口の3箇所全てに症状が出るとは限らず、個人差があり、以下のような可能性があります。
- 手足だけに水疱が発生するケース
- 口内だけ水疱が発生するケース
- お尻の範囲にも水疱が発生するケース
- 背中にまで水疱が発生するケース
- 水疱より、赤い発疹に見えるケース
- 治癒過程でかさぶたを形成するケース
手足口病で高熱が出るのは稀で、多くの場合は37度台で38度以上の熱が出るのは、罹患者の30%程度です。
ほとんどの感染者は、数日のうちに治る病気ですが、稀に中枢神経系(髄膜炎、小脳失調症、脳炎など)の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出現する場合があります。特にエンテロウイルス71(EV71)に感染した場合には、他のウイルスによる手足口病と比べて、中枢神経系の合併症を引き起こす可能性が高いことが明らかになっています。
手足口病の初期症状
手足口病の初期症状は、感染後3〜5日後に発疹が出始めます。口の中、手のひら、足底や足背などに2〜5mmの水疱性発疹が出て、水疱に痛みがあるのが特徴です。
発熱の症状が出ないことも多く、体に発疹の症状が現れてから手足口病と気づくことが多いです。口の中の発疹は痛みを伴うことも多く、喉の痛みによって症状に気づくこともあります。
特に言葉を話すことができず、自分で訴えることができない赤ちゃんの初期症状に気づけない可能性が高いです。赤ちゃんに以下のようなサインがある場合は、手足口病に感染している可能性があります。また口の中に発疹ができているかどうかも確認してください。
- 泣き止まない
- 機嫌が悪い
- よだれが多い
- ミルクや母乳をを飲んでくれない
- 離乳食を食べようとしない
以上のように、赤ちゃんが水分や食事を摂取できないと、体内の水分が不足して脱水症状を引き起こすことや、低血糖になる可能性があるため、早急にかかりつけ医の受診をするべきです。
また、手足口病は軽度の症状で済む場合が多いですが、以下のような子供は重症化のリスクがあるため、同じくかかりつけ医を受診しましょう。
- 3ヵ月未満の子供(特に新生児)
- 免疫不全症の子供
- 免疫抑制剤を服用している子供
発疹
手足口病の発疹の症状は、感染後3〜5日後に出始めます。口の中、手のひら、足底や足背などに2〜5mmの水疱性発疹が出て、水疱に痛みがあるのが特徴です。
手や足にできた発疹に関しては、痛みや痒みがないことが多いですが、口の中にできた発疹(水膨れや口内炎)に関しては、痛みを伴う場合が多いとされています。
いずれも3日~1週間程度で症状が消えて治りますが、触ったり掻いたりした場合、水膨れの中には、原因となるウイルスが存在しているため、発疹の症状がひどくなり、治りが遅くなる可能性があります。よって発疹は、触らず、搔かないようにすることが大切です。
喉の痛み
手足口病による症状で、喉にできた発疹により、喉に痛みが現れることがあります。そのため、子供の行動に見られるのが、食事や水分を摂取しなくなることです。刺激の強い食べ物は避けて、以下のような喉越しが良く、柔らかい食べ物を食べさせることが大切です。
- ゼリー
- プリン
- 豆腐
- 冷めたおかゆ
- アイス
また、脱水症状を防ぐために、水分は十分に摂取する事が大切です。
保育園や幼稚園などは熱が下がって、口の痛みなどの症状がなくなるまで休むことを推奨します。食欲が出て、体調が整ってから行くようにしましょう。
発熱
手足口病で高熱が出るのは稀で、多くの場合は37度台で38度以上の熱が出るのは、感染者の30%程度です。
基本的に、普通の風邪の場合と同じような対応で問題ありません。
手足口病の場合、発熱の症状が現れてから、大体は1~2日程度で下がり熱が出ていても元気な場合が多いです。
3日間以上熱が下がらない場合は、手足口病が原因ではない可能性もあるため、早急にかかりつけ医への相談をするべきでしょう。
また、熱が出ていないにもかかわらず、子供がぐったりしていたり、いつもと様子がおかしいなどの場合も、かかりつけ医への受診をしましょう。
下痢・嘔吐
手足口病では、お腹が緩くなったり、吐いたりする場合がありますが、重度の下痢になったり、何度も吐いてしまうケースは少ないと言われています。
また手足口病の原因となるウイルスは、完治した後も数週間という長期間にわたって、便に存在しています。そのため感染を拡大させないためにも、子供のオムツ交換後は、石鹸での手洗いを徹底しましょう。
中でもエンテロウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、アルコール消毒だけではなく、同じく石鹸での手洗いを徹底することが大切です。
手足口病に感染したら
手足口病に感染した場合、診療科目は小児科が基本的です。大人の場合は内科を受診しましょう。
手足口病に対する直接的な特効薬はなく、口内炎(口の中にできた腫瘍)に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方される場合があります。
喉の痛みで食欲がなくなるため、噛まずに飲み込めるものを推奨します。また、脱水症状を防ぐために、水分は十分に摂取する事が大切です。
保育園や幼稚園などは症状が落ち着いて、口の痛みや体の発疹がなくなるまで休む
ことを推奨します。食欲が出て、体調が整ってから行くようにしましょう。
手足口病の治療法
現状、手足口病に対する特別な治療法はありません。手足口病と診断された場合は、自宅で安静にしながら回復を待つことが推奨されます。
手足口病で高熱が出るケースは少なく、基本的には解熱剤は必要ではありません。
水疱が痒みを伴わないケースが多いですが、痒みが強い場合は、医師の判断で必要に応じて、アレルギー反応を抑制し、痒みや発赤などの症状を緩和させる「抗ヒスタミン剤」を処方します。
また口内の水疱や喉の痛みによって、飲食物を飲み込むことが難しくなるため、脱水症状を招く恐れがあるでしょう。そのため場合によっては、医師の判断で点滴からの水分摂取である「経静脈的補液」を検討します。
手足口病の予防法
手足口病は、飛沫や手指を介して感染するウイルス感染のため、予防として手洗いうがい、手指・身の回りの消毒が基本的に挙げられます。
子どもの鼻をかむ手助けをした後や鼻をかんだティッシュに触った際などにも、手洗いをすることを意識しましょう。
また、便にもウイルスがいるため、子供の排泄後は手洗い・手指消毒をするように指導し、赤ちゃんのおむつ交換の後も手洗い・手指消毒をするようにしましょう。
感染している家族がいる場合は、基本的に食器やタオルの共有は避ける事を推奨します。
さらに夏の暑さで体力が落ちているときに、エアコンで部屋の温度を下げすぎたりすると、夏風邪に感染する可能性が高くなります。よって、エアコンの温度にも気を付けましょう。
手足口病と症状が類似している疾患
手足口病と症状が類似している疾患は以下の通りです。
- ヘルパンギーナ
- 水痘(水ぼうぞう)
- 伝染性軟属腫
- ヘルペスウイルス感染症
それぞれの症状を見ていきましょう。
ヘルキンバーナ
ヘルパンギーナとは、子供が感染しやすい三大夏風邪の1つです。
「手足口病」や「プール熱(咽頭結膜熱)」と並んで、夏になると子供に流行する場合があります。
ヘルパンギーナに感染する原因ウイルスは、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどが挙げられます。
ヘルパンギーナは、感染後は2〜4日間の潜伏期間があり、その後に症状が現れます。突然38〜40度の高熱を引き起こし、それに続いて見られるのが、喉の粘膜の発赤です。
口の中の喉の上側に直径1〜2mm、大きい場合は5mm程度に赤く腫れ、中心部に小さな水疱を伴った発疹が見られます。その水疱が破れて、浅い腫瘍となり、痛みを引き起こします。
水痘(水ぼうそう)
水痘とは、いわゆる「水ぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。水痘は主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めています。
空気感染・飛沫感染・接触感染によって感染が広がり、潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。
発熱の症状が出て、発疹の症状が見られると、紅斑(皮膚の表面が赤くなる)が見られ、水疱や膿疱(年度のある液体が含まれる水疱)を経て、茄皮化(かさぶた)して治癒するのが、典型的なケースです。
伝染性軟属腫(みずいぼ)
伝染性軟属腫(以下、水いぼ)は、子供によく見られるウイルス性の皮膚感染症です。皮膚の表面に、1~5mの丸く小さな光沢のあるいぼができる以外に、特にかゆみや痛みといったその他の症状は見られません。数か月かけて徐々に増えていき、いつの間にか自然治癒することが多く、基本的には放置で問題ありません。
しかし、治癒するまで半年以上、数年かかるケースもあります。
また、細菌に感染して患部が化膿したり、アトピー性皮膚炎やその他の基礎疾患がある場合などには、稀に全身に広がったりする可能性があります。
ヘルペスウイルス感染症
ヘルペスウイルス感染症とは、単純ヘルペスウイルスが唇や唇の周りの皮膚に接触して、粘膜に感染することによって引き起こされ、赤ちゃんや子供、大人と幅広く感染します。
ヘルペスウイルス感染症は、一度症状が治まっても、ストレスや疲労などで免疫力が下がった場合に、再発を繰り返すのが特徴的です。
口唇ヘルペスは、以下のような症状が口唇や口唇の周りに見られます。
- むずむず
- チクチク
- ピリピリと痛みを伴う赤みが出る
- 水ぶくれ
これらの症状は、口の中(口内や口腔、舌など)、鼻の下・耳・指・首などの体の特定の部分にも現れることもあります。
まとめ
これまでの内容を踏まえて、手足口病という疾患についてや、感染した場合の初期症状を理解し、適切に対処できるようにしましょう。また、類似する疾患の症状との違いを見分けられるようにしましょう。
【参考サイト】
■キャップスクリニック
https://caps-clinic.jp/herpangina/
■Doctors File
https://doctorsfile.jp/medication/207/
■厚生労働省 手足口病
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html#:
■Medical Note
https://medicalnote.jp/contents/180202-001-MG
■太陽クリニック
https://www.taiyo-cl.com/symptoms04
■E-PARK
https://fdoc.jp/babymama-hot/hand-foot-and-mouth-disease-4144/
■厚生労働省 水痘
■一般社団法人 大阪府医師会
https://www.osaka.med.or.jp/citizen/tv90.html
■新宿駅前クリニック
https://www.shinjyuku-ekimae-clinic.info/hihuka/herupesu.html