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コレステロール値の異常に処方される薬〜コレステロールと中性脂肪〜

[2023.01.18]

健康診断や血液検査の結果、コレステロール値の異常が見つかり、治療を勧められている方も多いのではないでしょうか。

コレステロール値を下げる方法としては、薬を使った治療法が挙げられます。ただし、薬と一口にいっても多種多様であり、それぞれ作用や副作用が異なるため、正しい知識を身につけておくことが大切です。

今回の記事では、コレステロールの概要と異常が起こる原因を踏まえつつ、脂質異常症の治療法やコレステロール値・中性脂肪値を下げる薬剤について解説します。

コレステロールとは

コレステロールとは、血液中を流れている「脂質」の一種です。

脂質はタンパク質・炭水化物とセットで「エネルギー産生栄養素(三大栄養素)」と呼ばれています。これらは文字通り人体を動かすエネルギー源となる栄養素ですが、特に脂質はエネルギー効率が良く、少量でも高カロリーです。

さらに脂質は細胞膜や内臓といった組織の構成、脂溶性ビタミンの吸収促進や体温保持など、他にも重要な役割を担っています。

その脂質に含まれるコレステロールは、細胞・ホルモン・胆汁酸を作るための原料です。コレステロールというと不健康なイメージがあるかもしれませんが、実際は健康維持のために欠かせない成分といっても過言ではありません。

またコレステロールは「体内で作られるもの」が全体の70~80%を占めており、残りの20〜30%は「食事で摂るもの」という比率になっていることも特徴です。後者は小腸で20〜80%吸収された後、便として体外に排出されます。

善玉コレステロール

コレステロールは腸内細菌と同じく「善玉」「悪玉」に分類されます。

善玉コレステロールは「HDLコレステロール」という呼称が一般的です。HDL(High Density Lipoprotein)は「高比重リポタンパク質」を指しますが、このようなリポタンパク質になって、初めてコレステロールは血液と一緒に流れることができます。

HDLコレステロールの主な役割は、体内で増えすぎたコレステロールを回収したうえで、血管壁に蓄積されたコレステロールも除去し、それらを肝臓に戻すことです。また、後述のLDLコレステロール(悪玉)は増加すると動脈硬化を促進しますが、こちらは逆に抑制する働きを持っています。

なおHDLコレステロールは運動不足や喫煙によって減少するため、生活習慣の乱れに注意が必要です。

悪玉コレステロール

悪玉コレステロールは「LDLコレステロール」と呼ばれているものです。LDL(Low Density Lipoprotein)は「低比重リポタンパク質」を指します。

LDLコレステロールの主な役割は、肝臓で合成されたコレステロールを全身に運ぶことです。“悪玉”という位置付けであるものの、体内で増えすぎなければ問題はなく、むしろ体に良い影響をもたらしてくれます。

一方、過剰に増加した場合、動脈硬化のリスクが上昇するので要注意です。各組織で吸収しきれなかったLDLコレステロールは血液中に残存しますが、増えすぎると血管壁の内部へと入り込んで層を作ります。その結果、血管壁が厚く硬く変化するため、血管の弾力性が失われる動脈硬化も進行しやすくなるのです。

コレステロール値が高くなる原因

コレステロール値の異常とは、一般的にLDLコレステロールが増えすぎている状態を指します。

LDLコレステロール値が基準値を大きく上回っている場合、まず考えられる原因は食生活などの生活習慣です。しかし、それ以外の原因で数値が上がるケースもあるので、一通り把握しておくことが適切な治療につながります。

またLDLコレステロール値が高くなると、どのような疾患のリスクが上昇するのかも押さえておきましょう。

食事

脂質に偏った食事は、LDLコレステロール値を高めてしまいます。前述の通り、脂質(脂肪)は人体に欠かせないエネルギー源ですが、過剰摂取はかえって健康に悪影響を与えかねません。

特に脂質の中でも「飽和脂肪酸」や「トランス脂肪酸」を摂りすぎた場合、コレステロール値の異常が起こる可能性も高くなるので、食品を選ぶ際は注意する必要があります。

飽和脂肪酸またはトランス脂肪酸の含有力が多い食品をピックアップしたので、こちらも併せてご確認ください。

【飽和脂肪酸】

  • 肉の脂身
  • バター
  • 生クリーム
  • インスタントラーメン

【トランス脂肪酸】

  • ショートニング
  • マーガリン
  • ファットスプレッド
  • マヨネーズ
  • ビスケット類
  • スナック菓子

日本で好まれている欧米化された食事は脂質が多いので、あらかじめ注意しましょう。

肥満

肥満によって体内の「中性脂肪」が増えている場合、脂質代謝の異常が起こりやすくなるため、結果的にLDLコレステロール値も高まりやすくなります。

中性脂肪とは、エネルギーとして代謝されずに残った余分な脂質(脂肪)のことです。内臓まわりに脂肪が蓄積している「内臓脂肪型肥満」の方は、特にLDLコレステロールが増加しやすいと言われています。

また、小型のLDLコレステローrル(超悪玉コレステロール)にも注意が必要です。サイズが小さい分、血液中に長くとどまって酸化しやすいので、動脈硬化を引き起こすリスクも高くなっています。

小型のLDLコレステロールは中性脂肪に比例して増加するため、肥満を改善して中性脂肪を減らしましょう。

体質・遺伝

本人の体質的な問題または遺伝子の異常により、肝臓の処理機能がうまく働かず、LDLコレステロール値が高くなってしまうケースもあります。これは「家族性高コレステロール血症」と呼ばれるものですが、生活習慣や年齢に関係なく発生するため、原因を掴みづらいことが厄介なポイントです。

家族性高コレステロール血症に該当する方は、若い頃から動脈硬化が進行するので、心筋梗塞や狭心症といった心疾患を発症しやすいと言えます。

心疾患の発症ピークは男性なら40代、女性なら50代が一般的ですが、幼児期から発症するケースもあるので注意しましょう。

脂質異常症の治療法

血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態、もしくはHDLコレステロールが少なすぎる状態は「脂質異常症」に該当します。自覚症状がほとんど出ないため、血液検査などで定期的に調べることが大切です。

もし脂質異常症と診断された場合、以下のような治療法を検討しましょう。

食事療法

食事療法を実践する場合、栄養バランスを考えることはもちろん、1日にどれくらいカロリーを摂取すべきか把握しておくことも大切です。

1日に必要なカロリー量を知りたい場合、以下の計算方法から算出しましょう。

身長(m)×身長(m)×22=標準体重(㎏)

標準体重(㎏)×25~30=カロリー量(kcal/日)

コレステロール値が基準値より高い場合、1日の摂取カロリーが多すぎる可能性もあります。摂取カロリーを減らすためには、過食を避けるとともに、糖質(炭水化物)の過剰摂取を控えましょう。

脂質異常症の治療にあたり、他に食事療法で意識すべきポイントをまとめました。

  • 脂質・コレステロールが多い食品を控える
  • 動物性脂肪より植物性脂肪を摂る
  • 野菜やきのこ類から食物繊維を摂る
  • 肉類より魚類を食べる
  • 節度ある飲酒量を心がける

また食事療法では「1日3食」を心がけることも重要となります。規則正しい食生活は、脂質異常症以外の症状・疾患を予防することにもつながるのです。

運動療法

LDLコレステロールや中性脂肪を減らすためには、脂肪を燃焼させる有酸素運動が有効です。息が上がるほど激しく体を動かしたり、長時間の運動を続けたりする必要はありません。

運動療法で意識すべきポイントは、以下の通りです。

  • 1日30分以上、週3回以上の運動を行う
  • 1日の運動は分けてもOK(10分の運動を3回行うなど)
  • 週180分以上の有酸素運動を行う(ウォーキング・水泳・ヨガ・サイクリングなど)
  • 日常生活の中でも運動を取り入れる(階段を使う・1駅分歩くなど)

慣れないうちは無理をせず、少しずつ運動に慣れることを心がけましょう。また足腰の持病や不調を抱えている場合、あらかじめ医師に運動しても問題ないか確認することを推奨します。

薬物療法

脂質異常症を治療する場合、まずは食事療法や運動療法によって生活習慣の改善を図ることが大切です。これらの治療法を実践したうえで、LDLコレステロール値や中性脂肪値の目標値を達成できず、なおかつ動脈硬化やそれに伴う疾患のリスクが高いと判断されたら、薬物療法を検討することになります。

薬物療法は脂質の値をコントロールする補助的なアプローチなので、薬を使わなければ脂質異常症を治療できないわけではありません。

薬による治療

脂質異常症の治療薬は大きく分けると、以下の3種類があります。

  • コレステロール値を下げる薬剤
  • コレステロール値と中性脂肪値を下げる薬剤
  • 中性脂肪値を下げる薬剤

薬の作用や副作用については後述するので、引き続きお読みください。

コレステロール値を下げる薬剤

コレステロール値を下げる薬剤は、以下の3種類です。

スタチン系製剤

スタチン系製剤は、肝臓でコレステロールの合成を担う「HMG-CoA還元酵素」の働きを阻害して、コレステロールの産生を抑制する薬です。

肝臓はコレステロールが不足した場合、血液中に含まれるコレステロールを取り込もうとするので、結果としてLDLコレステロール値を下げることができます。善玉のHDLコレステロールを増やす効果もあるため、脂質バランスを整えることが可能です。

また動脈硬化に対する予防効果も認められているので、脂質異常症(高コレステロール血症)の治療薬として最初に処方されるケースもよく見受けられます。

一方、副作用としては手足のしびれや脱力、肝機能障害などがあります。腎機能を弱める「横紋筋融解症」が起こる可能性もありますが、非常にまれなのであまり心配する必要はありません。

陰イオン交換樹脂(レジン)製剤

陰イオン交換樹脂(レジン)製剤は、コレステロールの体外排出を促進する薬です。

肝臓で合成されたコレステロールの一部は胆汁酸に変わって、最終的に便として排出されるまで消化・吸収のサポートを担います。この薬で胆汁酸の排出を促せば、肝臓のコレステロールが減少して、それを補うために血液中のコレステロールが取り込まれるため、コレステロール値を下げることができます。

副作用は比較的少なめですが、便秘・下痢・腹部膨満感・皮膚症状などが起こる可能性もあります。

小腸コレステロールトランスポーター阻害剤

小腸コレステロールトランスポーター阻害剤は、文字通り小腸によるコレステロールの吸収を抑えて、血液中のコレステロールを減少させる薬です。

前述のスタチン系製剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)と併用すれば、さらに高い効果が見込めるようになります。

副作用は便秘・下痢・腹痛など、他の薬でも起こり得る症状が中心です。

コレステロール値と中性脂肪値を下げる薬剤

コレステロール値と中性脂肪値を下げる薬剤は、以下の1種類です。

ニコチン酸誘導体製剤

ニコチン酸誘導体製剤は、肝臓での中性脂肪・リポタンパク質の合成を抑制する薬です。

脂質代謝を促進させる作用により、脂肪組織から中性脂肪が作られないよう働きかけ、中性脂肪の減少をさせることができます。また、脂質の分解を促してLDLコレステロール値を下げつつ、HDLコレステロールを増やすことが可能です。

さらに末梢の血管を広げて、血行を良くさせることもできます。

副作用はほとんど起こりませんが、顔の赤らみ・ほてり・便秘・下痢などが挙げられます。

中性脂肪値を下げる薬剤

中性脂肪値を下げる薬剤は、以下の2種類です。

フィブラート系製剤

フィブラート系製剤は、中性脂肪の合成を抑えるとともに、中性脂肪から脂肪酸への分解を促進する薬です。

中性脂肪に加えてLDLコレステロールを減らすことができ、なおかつHDLコレステロールの増加も見込めるので、脂質バランスをまとめて調整できます。ただし、LDLコレステロールの減少効果は低いため、あくまで中性脂肪値が高い方向けに処方される薬です。

副作用としては肝機能障害や横紋筋融解症のほか、スタチン系製剤や抗血栓薬(ワーファリン)との併用で悪影響が生じるケースもあります。

EPA製剤

EPA製剤は、脂質の合成を抑えたり、血管内で血液が固まることを防いだりする薬です。

EPAはサバやイワシといった青魚に含まれる「不飽和脂肪酸」の一種であり、中性脂肪を分解して減少させる作用があります。また、動脈硬化の進行や心疾患などを予防する効果が見込めることも特徴です。

ただし抗血栓薬(ワーファリン)と併用した場合、出血しやすくなるので注意しましょう。また胃の不快感や肝機能障害、発疹といった副作用が起こる可能性もあります。

まとめ

コレステロール値の異常が見つかった場合、偏食や運動不足といった生活習慣、あるいは体質・遺伝に関して問題が起こっている可能性があります。すぐ自覚症状が出るケースはあまり見受けられませんが、そのまま放置すると動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞・狭心症などに発展しかねないため、早めに治療・改善に取り組むことが大切です。

また、コレステロール値について病院で相談する際は、あらかじめ正しい知識を身につけておくことも重要なので、ぜひこの機会に学んでみてはいかがでしょうか。

参考サイト一覧

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大塚製薬 https://www.otsuka.co.jp/college/nutrients/lipid.html

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EPARK https://epark.jp/medicalook/trans-fatty-acid/#i-4

生活習慣病オンライン https://www.sageru.jp/ldl/knowledge/cause.html

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順天堂医院栄養部 https://www.juntendo.ac.jp/hospital/support/eiyo/patient/method/syokuji04.html

健達ねっと https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/12810

Fujimoto Medical System  http://www.fujimoto.or.jp/tip-medicine/lecture-193/index.php

Dクリニック東京ウエルネス https://www.sumahoshin.or.jp/lab/hyperlipidemia/dyslipidemia/

Fujimoto Medical System  http://www.fujimoto.or.jp/tip-medicine/lecture-207/index.php

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